海の向こうでも3歳三冠戦線の幕開け 見どころ満載のアイルランド競馬

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2024年05月22日 21:00  netkeiba

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▲合田直弘が海外競馬の「今」を詳しく解説!(c)netkeiba
【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】

◆注目はリチャード・ハノン調教師が管理する2頭に集まる

 アイルランドにおける3歳三冠初戦となるG1愛2000ギニー(芝8F)、G1愛1000ギニー(芝8F)の開催が、今週末に迫っている。

 カラ競馬場で現地時間25日(土曜日)に行われるG1愛2000ギニー。現地時間4日(土)に行なわれたG1英2000ギニー(芝8F)勝ち馬ノータブルスピーチ(牡3、父ドゥバウィ)は、ロイヤルアスコット開催初日のG1セントジェームズパレスS(芝7F213y)に直行とのことで、ここは不在だ。

 英2000ギニーからは、2着と3着のロサリオン(牡3、父ブルーポイント)とハーテム(牡3、父フェニックスオブスペイン)という、いずれもリチャード・ハノン調教師が管理する2頭が、ここに駒を進めて来る予定だ。

 シェイク・モハメッド・オバイド・アル・マクトゥームによる自家生産馬で、G1クイーンアンS(芝8F)勝ち馬トリプルタイムや、G1ジャンロマネ賞(芝2000m)勝ち馬アジュマンプリンセスの甥にあたるのがロサリオンだ。2歳時は4戦し、G1ジャンリュックラガルデール賞を(芝1400m)を含めて3勝をあげている。父ブルーポイントの初年度産駒の1頭で、父が6F以下のG1を4勝したスプリンターだっただけに、初めてのマイル戦を懸念する声もあったのが英2000ギニーだったが、距離に関しては問題なくこなしたと見て良さそうだ。半年の休み明けを使われての上積みも見込めるとあれば、ここは2度目のG1制覇の好機だろう。

 一方のハーテムは、22年10月にニューマーケットで行われたタタソールズ・オクトーバーセールのブック2にて、2万7千ギニー(当時のレートで約466万円)で購買されていた「掘り出し物」である。同馬の父フェニックオヴスペインもまた、今年の3歳世代が初年度産駒という若手種牡馬だ。フェニックスオブスペインは19年のG1愛2000ギニー勝ち馬で、ハーテムが勝てば親子制覇達成となる。2歳5月という早期デビューを飾ると、10月までの5カ月間に実に9戦を消化。グッドウッド競馬場のG2ヴィンテージS(芝7F)を含む2勝を挙げたが、2歳最終戦となったG1デューハーストS(芝7F)では、勝ち馬シティーオブトロイから8.1/2馬身差の5着に敗れていた。今季初戦となったG3クレイヴンS(芝8F)を制し2度目の重賞制覇を果して臨んだ英2000ギニーが3着だったハーテム。同競走で9着に終ったシティーオブトロイには13.1/2馬身先着したから、2歳時の借りはきっちり返したことになる。

 ここに、地元アイルランドの大御所エイダン・オブライエンは、昨年秋のG1BCジュベナイルターフ(芝8F)勝ち馬アンクエスチョナブル(牡3、父ウートンバセット)、昨年のロイヤルアスコットでG2コヴェントリーS(芝6F)を制しているリバータイバー(牡3、父ウートンバセット)らをぶつけてくる模様だ。

 続いて、同じくカラ競馬場で現地時間26日(日曜日)に行われるのが、牝馬によるG1愛1000ギニー(芝8F)だ。

 出走してくれば人気になりそうなのが、エイダン・オブライエン厩舎のオペラシンガー(牝3、父ジャスティファイ)である。米国産馬で、半兄にG1BCジュヴェナイルターフ(芝8F)勝ち馬ヒットイットアボム、半姉にG1チェヴァリーパークS(芝6F)勝ち馬ブレーヴアンナがいて、つまりは2頭のG1勝ち馬の妹という良血馬がオペラシンガーだ。2歳6月にデビューし、7月にレパーズタウン競馬場のメイドン(芝8F)を制しデビュー2戦目で初勝利。続くカラの条件戦(芝7F)は2着に惜敗後、4戦目となったのがパリロンシャンのG1マルセルブーサック賞(芝1600m)で、ここを5馬身差で快勝して、G1で重賞初制覇を果した。

 シーズンオフの間、英1000ギニーの前売りでも英オークスの前売りでも1番人気の座にあった同馬だが、今年の3月になって一頓挫があり、二週間ほど調教を休んだことで、現地時間5月5日の英1000ギニーを回避。だが、4月以降は順調に乗り込まれてきたようで、5月19日の段階でオブライエン師が「オペラシンガーは愛1000ギニーに向けて調整されている」とコメントを出している。

 気がかりなのが、今年の春はオブライエン厩舎が全体的に、エンジンのかかりが遅い点だ。前述したように、英2000ギニーに送り出したシティオヴトロイが1.6倍の1番人気を裏切り9着に大敗。現地時間5月12日にパリロンシャンで行われたG1仏2000ギニー(芝1600m)に送りだしたヘンリーロングフェロー(牡3、父ドゥバウィ)も、オッズ2.5倍の1番人気を裏切り8着に沈んでいる。というわけで、今季のオブライエン厩舎は現時点でG1未勝利だ。そろそろ、反転攻勢をかけたいところだろう。

 オペラシンガーが回避した英1000ギニーからは、首差の2着に泣いたポルタフォーチュナ(牝3、父カラヴァッジオ)が、愛1000ギニーに出て来る模様だ。ちなみに、ポルタフォーチュナはエイダン・オブライエンの生産組織ウイスパーヴュー・トレーディング社による生産馬で、管理するのは子息のドナカ・オブライエンである。

 さらに、4月7日にレパーズタウン競馬場で行われたG3プライオリーベル1000ギニートライアル(芝7F)を制し、デビューから無敗の3連勝で重賞初制覇を果しての参戦となるアライラックローラ(牝3、父ハリーエンジェル)も、注目の1頭である。

 また、愛1000ギニーと同日にカラで行われるG1タタソールズゴールドC(芝10F110y)には、今季初戦のG1ドバイシーマクラシック(芝2410m)で12着に大敗したオーギュストロダン(牡4、父ディープインパクト)がエントリーしている。

 今週末は、アイルランドの競馬に注目したい。

 なおこの原稿は、最終登録発表前に書いており、確定の出馬表は主催者や競馬メディアが発表するものをご参照ください。

(文=合田直弘)

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  • 今月頭の時点で凱旋門賞のアンティポスト1番人気のオペラシンガーと2番人気のオーギュストロダンだけど、26日の結果次第でオッズが大きく動きそうね。出走するかどうかはともかくとして。
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