日本銀行、注意喚起 新札発行の際によくある詐欺とは?

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2024年05月26日 18:40  リアルサウンド

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新札がまもなく発行。詐欺には注意が必要

■お札が20年ぶりにモデルチェンジ


 7月3日から、いよいよ新札が発行される。実に20年ぶりとなるモデルチェンジである(ただし、2000円札はモデルチェンジされない)。なかでも、1984年から約40年にわたり、1万円札の顔を務めてきた福沢諭吉とはお別れとなる。埼玉県を代表する偉人の一人・渋沢栄一にバトンタッチされるわけだが、1万円札を“ユキチ”と呼んでいた世代は、“エイイチ”と呼ぶことに若干の違和感を抱いているようだ。


(参考:【写真】ギザ10が10万? 和同開珎など歴史好きも魅了するコインの世界


  X上では「新札のデザインがダサい」「ユキチの方が紙幣にふさわしい」など様々な意見が見られるが、筆者の知人で60歳になるライターに話をよると、「1万円札の肖像が、聖徳太子から福沢諭吉に替わった時のほうがずっと違和感があったよ。だって、それまでは5千円札も聖徳太子で、高額紙幣といったら聖徳太子だった。お札のサイズも小さくなったし、デザインもちょっと風格がなくなったように感じたね」とのことである。


  ところで、新札切り替えの際に出てくるのが、「従来のお札が使えなくなるので交換します」「交換するので、従来のお札を私に預けてください」という手口の詐欺だ。こういった誤情報や詐欺行為について、日本銀行が公式Xで注意喚起を行っている。日本銀行は、「従来のお札は、新しいお札が発行された後も、引き続き、使うことができますので、新しいお札に交換いただく必要はありません」と投稿している。


■使用できる最古の紙幣は明治時代のもの  


  こう日本銀行が述べているように、新札が発行されてからも、現在流通している野口英世の1000円札、樋口一葉の5000円札、福沢諭吉の1万円札は使うことができる。2024年から2025年頃までは、新旧のお札が混在して使われることになると思うが、徐々に切り替わっていくと推測される。自動販売機や駅の券売機なども、最初は新札が使えないケースが見られると思うが、じわじわと更新されていくことだろう。


  さて、日本ではこれまで数多くのお札が発行されてきた。江戸時代には藩の中だけで使える“藩札”というものがあったし、西南戦争の際に西郷隆盛軍が戦費調達のために発行した“西郷札”という変わり種もある。さすがにこれらのお札は使うことができないが、現在、法的に使用可能な最古の日本のお札は、いったいなんだろうか。


  それは、1885年に発行された日本銀行兌換銀券の1円札、通称“大黒札”である。1885年は明治18年だ。『るろうに剣心』などの漫画・アニメでおなじみの明治時代である。ちなみに、明治18年は、新選組隊士の斎藤一や永倉新八、第15代将軍の徳川慶喜もまだ存命でバリバリ活躍していた時代であった。ちなみにこの3人は大正時代まで生きており、長寿である。


■戦後に発行されたお札は、大抵は使用できる


  話が逸れたが、大黒札は今でも1円として通用する。つまり、近所のコンビニやファミレスでも使うことができるのだ。もっとも、このお札はプレミアがついており、古銭商に持っていけば額面以上で買い取ってもらえるので、わざわざ1円で使うのはもったいない。というより、コレクターを除けばほとんどの現代人は見たことがないと思うので、「偽札?」と疑われることになりそうだ。


  大黒札は他にも5円、10円、100円が発行されたが、1円札のみが通用する。これは、1946年の新円切替などの際に、1円以外のお札のほとんどが失効したためである。そのため、戦後に発行されたお札であっても、戦後間もない時期に発行されたものについては使用できないものが何種類か存在するのは事実だ。


  とは言っても、聖徳太子の1万円札や、新渡戸稲造の5000円札(筆者は1985年生まれだが、このお札を知らない人が増えていると聞いて衝撃を受けた)など、大抵のお札は問題なく使用できると考えていいだろう。繰り返すが、「従来のお札が使えなくなるので交換します」という話は、ほぼ100%詐欺なので気を付けるようにしたいものだ。


(文=山内貴範)


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  • 紙幣のモデルチェンジや100円札、500円札の廃止は経験してるけどそんな詐欺の例は聞いたことなかった。意外と初体験となる若い世代が危ないのか?
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