50万円台の激安ベンツが「実はお買い得といえる」ワケ。“壊れそうなイメージ”の実体とは

2

2024年06月16日 16:30  日刊SPA!

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊SPA!

W169型Aクラスは、総額30万円程度で程度が良さそうな車両が入手可能
―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―
◆激安ベンツはありかなしか?

 クルマ好きの腕時計投資家、斉藤由貴生です。

 私は、W140型メルセデスベンツのSクラス(以下、W140)に5年以上乗っています。W140は、クルマに詳しい方からすると「いかにも壊れそう」と思われるでしょう。しかし、私はそういったクルマを普段使いできるぐらい快適に乗っているのです。

 先日も東京から岩手まで行ってきましたが、約30年落ちのW140はどこも壊れる様子がなく、往復1000kmの長距離走行も全く問題ありませんでした。

 ネットを見ると「W140は壊れる」という意見が多く、「興味はあるけど手は出さない」という人が大半であることが伺えます。これは、W140に限らず、“いかにも壊れそう”なクルマ全般にいえることでしょう。

 そして、その「いかにも壊れそう(買った後にお金が掛かりそう)」というクルマは、中古輸入車全般に当てはまります。そういったイメージからか日本の中古車市場では、程度が良さそうな輸入車が安く売られているわけです。

 実際、メルセデスベンツといった高級車でも30万円台(総額)で選択肢がいくつも出てきますが、その手の「激安ベンツ」を見ても、多くの人は「買った後、お金がかかるのでは?」と思い、“なし”という結論になるのだと思います。

 ということで、今回はW140を5年にわたって維持している私が、「激安ベンツ」は“あり”か“なし”か、ということをお伝えしたいと思います。

◆ベンツの維持費−ヤングクラシック世代

 私は、W140以外にも、自分の所有物や友人へのプレゼントとして、数台のベンツをこの5年間に買った経験がありますが、車種によってベンツは、お金がかかる/かからない傾向が分かれるといえます。

 ベンツは、基本的に頑丈であるため、いわゆる「壊れる」ことはあまりないのですが、だからといって「お金がかからない」わけではありません。

 特に、W140やW124、R129といった「ヤングクラシック」系の年式は、良い乗り味を実現させるための消耗品が多く、「良さを味わうためにはお金がかかる」といえます。

 また、1995年ぐらいまでの年式では、機械式のATが採用されているため、10万kmに1度ぐらいの頻度でATのオーバーホールが必要となります。私は、W140とR129を「気持ちいい状態」にまで整備していますが、いずれもその状態になるまで約200万円程度かかりました。

 こういった金額を見ると、「やはりベンツはお金がかかるから、激安個体なんて“絶対なし”」と思われるでしょう。

 しかし、現在「激安」となっているベンツの年式は、ヤングクラシックよりも後の世代なのです。

 現在、激安価格で売られているメルセデスの主な年式は2010年や2008年といった世代。また、売られているのは、AクラスやBクラス、Cクラスが中心であります。私の経験上、こういった車種・年式は、ベンツの中でもあまりお金がかからないといえます。

 ざっくりいうならば、年式では2000年以降、Eクラスまでのグレードがそこまでお金がかからず維持できるという感じです(Eクラスでも古い年式(例:W124)はお金がかかる)。

 ですから、現在「激安ベンツ」として売られている個体の中には「維持費がそこまでかからず乗れる」モノがある状態といえるのです。

◆ベンツの維持費−Aクラス(W169)

 では、現在激安価格で売られている年式のベンツの維持費はどんな感じなのでしょう。私は、2020年に友人にW169型Aクラスをプレゼントしたのですが、これが今、ちょうど「激安ベンツ」として総額約30万円で売られています。

 では、2020年から現在までにかけて、Aクラスの維持費(車検代等の費用以外に発生した整備代)がどれくらいかというと、約7万円でした。

・運転席のパワーウィンドウが締まりきらなくなった⇒修理
・トランクに雨水がたまる⇒修理

 約4年にわたってW169を維持する様子を見てきましたが、エンジンや変速機が壊れるといった不具合はありませんでした。直した部分は、「窓が締まりきらない」とか「雨漏り」といった程度であります。

 こういった不具合は、日本車ではあまり聞かないため、「やはり輸入車ならでは」と思う一方、「修理代がすごく高い」というわけではありません。仮に総額30万円で買ったならば、修理代7万円を足したとしても、総額37万円で乗れてしまうため、「安物買いの銭失い」とはいえないでしょう。

◆ベンツの維持費−Eクラス(W211)

 次に、W211のE320CDIワゴンを2年維持しているのですが、2年で約3万km走行してかかった維持費(車検代等の費用以外に発生した整備代)は、約25万円といったところでした。

 総額70万円で買ったため、修理代を入れても100万円以内で収まっている計算です。

 CDIはディーゼルターボのため、0-100km加速は約7秒という速さ。どれでも燃料代が安く済みます。また、ハイブリッド車とは異なり、飛ばしても燃費が良いのです。修理代がかかったとはいえ、総額100万円程度でこのようなクルマに乗ることができるというのは、とても良い選択だと思います。

<25万円の内訳>
・ターボ関連部品が壊れて、ターボ効かない状態
・リアのエアサスが駄目で交換(左右)

 上記不具合は、買った直後に起こったのですが、それ以来約3万km、不具合はありません。オイル交換(5000kmに1度)以外はノーメンテナンス状態ですが、約17年前のベンツを「2年で3万km走行」という使い方をしても壊れる気配はありません。

 W211の後期は、特に維持費が安価といわれていますが、E320CDIの経験からしても、それは事実だと思います。なお、W211は、W140世代のように、各ゴムブッシュといった消耗品を交換しなくても「快適」と思える乗り味であるため、結果的にかかるお金が安価なのだと思います。

◆壊れないベンツの特徴をまとめてみた

 つまり、ベンツは年式と車種をうまく選べば、「買った後に大金がかかった」とはならないといえます。ですから、激安ベンツだとしても、車種と年式によっては「安物買いの銭失い」とならず、「おおいにありな選択」といえるのです。私の経験から「壊れづらいベンツ」の特徴と注意点をお伝えしたいと思います。

<AT>
・電子制御5速以降(特に2000年頃から)は、そこまで壊れない(ただし、2002年前後ぐらいの年式では、ラジエターからの水漏れにより、ATが破損する心配あり)
・W169型Aクラス、W245型BクラスのCVTは、そこまで恐れることはない。特に後期型(2008年〜)のCVTは壊れづらくなっているという話を聞く。

<エンジン>
・激安価格で売られている世代のV6(M112)は、あまり壊れないが、ヘッドカバー部分からのオイル漏れが多い。ただし、その部分のオイル漏れ修理は、そこまで高い代金がかからないといえる。(筆者は約5万円で修理した経験あり)
・M112の1つ後世代のV6(M272)は、2009年以降が無難。(エンジンのバランスシャフトに不具合があり、交換すると30万円程度の予算が必要。2009年以降の個体は新車時から対策済みといわれている。)

<注意点>
・コンプレッサー付きエンジンは、壊れた場合はアッセンブリーごと交換。部品代がものすごく高価となるため、廃車にする人が多い。

◆総額50万円以下の「おすすめ激安ベンツ」

 上記のポイントを考慮すると、おすすめといえる激安ベンツ(総額50万円以下)は以下のようになります。

・W169 Aクラス A180
・W245 Bクラス B180
・W203 Cクラスセダン/ワゴン C240
・W204 Cクラスセダン/ワゴン C250

 これらを選べば「絶対に壊れない」というわけではありませんが、維持しやすい傾向のベンツだといえます。もちろん、当たり外れはあるでしょうが、買った後にざっくり「30万円ぐらいの予算」を用意しておけば、安心して乗れることだと思います。

 現在、AクラスとBクラスは、総額30万円程度、CクラスはW204型がセダンでもワゴンでも総額50万円程度で入手可能。仮に修理代が30万円かかったとしても、A・Bクラスは総額60万円、Cクラスは総額80万円で乗ることができる可能性があるいえます。

 メルセデスベンツは、乗るとものすごく良いクルマであります。どの年式、どの車種を選んでも、「ベンツ哲学」といったことを感じ、長距離でも疲れず安全に快適に移動できるのです。

 ですから、激安ベンツは「おおいにあり」だといえます。

 今、新車200万円ぐらいの軽自動車を買うという選択が一般的なのでしょうが、それを買うなら「激安ベンツ」のほうが良いと私は思います。新車200万円のクルマを買うぐらいなら、「総額50万円でベンツを買って、30万円の維持費を覚悟して乗る」ほうが、金銭的にも快適さでも、お得に上質なクルマ生活を楽しめるのではないでしょうか。

<文/斉藤由貴生>

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

【斉藤由貴生】
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

このニュースに関するつぶやき

  • 自動車税は初年度登録から13年経つと追徴課税されるのを差し引いてもお得なのかい?���å��å�
    • イイネ!1
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

前日のランキングへ

ニュース設定