高所得層が「子供を東大生にするために読ませていた本」とは?”世界に関心を向ける”ための3冊

1

2024年06月16日 16:30  日刊SPA!

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊SPA!

写真
―[貧困東大生・布施川天馬]―
 東大生の出身家庭の半数近くは世帯年収950万円以上。これは全国の平均年収である545.7万円(2022年発表 厚生労働省『国民生活基礎調査の概況』より)を大きく上回る数字です。

 ちなみに、東大生を輩出するような家庭は世帯主が40代〜50代の可能性が高く、所得が高くなることも予想されますね。そこで調べてみたところ、厚生労働省「2022(令和4)年国民生活基礎調査の概要」によれば、世帯主が50代の家庭の所得は平均740万程度でした。やはり、東大生の大半は「裕福な家庭」出身だとしてよさそうです。

 では、「裕福」な家庭で育てられた東大生たちは、どのような暮らしをしてきたのでしょうか? 今回は、幼少期の彼らがどのような本を読まされてきたのか、東大生30人にインタビューした意見をまとめてみました。

◆〇伝記(『日本の偉人100』など)

 意見として多かったのが「伝記」でした。東大生は通り一遍の伝記を幼少期に読んでいる印象があります。「エジソン」や「ナイチンゲール」など有名どころの名前がちらほら出ましたが、具体的に誰というわけではなく、『日本の偉人100』などのまとめられた本を読んでいたそうです。

 私も、ナイチンゲールとエジソン、ノーベルの伝記は読んだ覚えがあります。私が読んだのはマンガ版でしたが、それだけによく頭にエピソードが入ってきました。「コミック版 世界の伝記」など、偉人に関する本はさまざまな角度から掘り下げられた出版物があるので、文字媒体が苦手ならば、マンガから入るのも一つの道でしょう。

 伝記とは少し離れますが、裕福な家庭、もしくは頭のいい子の家庭には、地球儀があるという意見もありました。伝記を読むのが重要なのではなく、小さなころから世界への興味を育むことが大事なのかもしれません。

◆〇『ファーブル昆虫記』

 次に多く名前が挙がったのが『ファーブル昆虫記』。「フンコロガシが糞を転がすのはなぜ?」「カリバチはどうして狩りをするの?」「カミキリムシはなぜ葉に穴をあけてトンネルを作るの?」など、さまざまな昆虫の不思議にファーブルが迫ります。

 その読みやすさが特徴的。「伝記というよりも、小説のように読み物感覚で楽しめる」という意見もありました。特に理系学生からの支持が厚く、ある人は「自分の理系への探究心のきっかけとなった」と語ります。

 理系チックな本というと、ブルーバックスシリーズなど、少し固めの本が多い中で、本書はマンガ版も刊行されているなど、比較的入りやすい入り口を作ってくれているといえるでしょう。子どもの好奇心を育んでくれる一冊です。

◆〇「小学館の図鑑NEO」シリーズ

 みなさんの中にも「お金持ちは図鑑を持っている」とイメージする人も多いのではないでしょうか。実際、「小学館の図鑑NEO」シリーズは、多くの東大生が愛読書として名前を挙げていました。

「図鑑が読み物として楽しかった」「絵がたくさん載っていて、絵本のようにビジュアルを楽しんでいた」という意見がありました。恐竜、深海生物、人間、鉄道など幅広い分野をカバーしている本シリーズは、どんな子どもたちでも好奇心を刺激できるような多様性を備えています。

 図鑑を楽しんでいたといっても、図書館から借りていたわけではありません。全巻を家にそろえていたようです。2024年6月現在で、一巻あたり2640円。「小学館の図鑑NEO」と付くシリーズは、公式サイトで見た限りでは27冊あるようですから、合計で7万円ほど。子どもに買い与える本としては少々値が張りますが、その投資の結果として東大生に成長しているのですから、十分払った甲斐はあるといえるかもしれません。

◆ノンフィクションが多い傾向に

 いかがでしたでしょうか。お金持ちの子どもたちが読んでいる本の傾向としては、フィクションよりもノンフィクションが多いようでした。もちろん、小説を読んでいるからダメというわけではありません。実際私は、図鑑や伝記はあまり読んでいませんでしたし、むしろファンタジー小説を多く読んでいました。ですが、実学に基いた興味関心を育むのであれば、ここで紹介したような本が何よりも効果があることは間違いないでしょう。「お金持ちの子どもたちが読んでいる」のには、それなりの理由があるのかもしれません。

―[貧困東大生・布施川天馬]―

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Twitterアカウント:@Temma_Fusegawa)

このニュースに関するつぶやき

  • ま確かに図鑑セットに地球儀、ピアノも顕微鏡もあった。オーロラを知ったのも図鑑だった。まさか数十年後にオーロラの研究をするようになるとは思わなかったが。
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

前日のランキングへ

ニュース設定