自衛隊のオートバイってどんな役割? どんな車種を使っている?

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2024年06月18日 11:10  マイナビニュース

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陸上自衛隊の乗り物といえば「戦車」のイメージが強いと思いますが、実は緑色に塗装されたオートバイが存在するんです。戦車と比べると戦力的にはちょっと貧弱な感じもしますが、自衛隊におけるオートバイの役割とは? どんなバイクを使っているのでしょうか?


ヒント:機動力の高さをいかす!?



日常生活で自衛隊を目にする機会といえば、発災時の救助活動だったり、観閲式などの式典や総合訓練だったりします。そうした場面で自衛隊仕様のオートバイを目にしたことがあるかもしれません。

自衛隊のオートバイに乗車している隊員は、戦闘服を身にまとい、小銃を背負っていることがあり、今すぐにでも戦えそうな装備なのが特徴です。また、バイク後方には細長いアンテナらしきパーツもあります。はたして自衛隊のオートバイの役割とは? 自衛隊勤務経験もあるライターの室井大和さんに聞きました! 次のページで教えていただきます。


――正解は次のページで!



○問題をおさらい!


正解はこちら!


○【答え】偵察用オートバイ


正解は「偵察用オートバイ」です。正式名称は「オートバイ(偵察用)」。



偵察用オートバイは、主に陸上自衛隊の偵察隊に配備されています。筆者の父親もかつて自衛隊員でしたが、所属していた普通科連隊に配備されていたといいます。


偵察用オートバイの主な役割は、その言葉の通り、偵察任務に従事する隊員の移動手段です。



近年の戦争は「情報戦」といわれるほど、多くのデジタル機器が投入されています。ドローンなどを使えば、相手に気づかれることなく情報を収集することが可能です。しかし、デジタル機器が投入できなければ、隊員が敵地に潜入し、情報を収集しなければなりません。



戦車のような大きな車両は偵察に向きません。そこで活躍するのが、機動力が高く、何より目立ちにくく、敵に見つかりにくいオートバイなのです。

四輪車では進むことができない悪路でも、オートバイなら進入できます。当然、川や道幅の狭い山林も余裕で走り抜けることができます。



隠密行動をとるため、車体に葉っぱやワラをまとわせて、できる限り目立たず周囲の環境に溶け込むような仕様にすることもあります。無線用のラックも装備しており、偵察任務で得た情報は無線機を使って伝達します。無線が使えなければ、オートバイを走らせて味方の基地まで引き返し、直接情報を伝えることもあります。機動力の高いオートバイは、偵察任務で欠かせない装備品となっているわけです。


オートバイならではの利点は他にもあります。例えば、四輪車よりも軽いため、トラックの荷台やゴムボートに積んで移動したり、ヘリコプターに積み込んで遠くの敵地近くまで複数台のオートバイを運び込んだりすることも容易です。偵察隊員だった筆者の知人の話によれば、かなり過酷な環境で使っても、ほとんど壊れることがなかったそうです。



偵察用オートバイのベースとなっている車両は、川崎重工業(カワサキ)のオフロード「KLX250」です。スペックは排気量249cc、最高出力24PS、最大トルク2.1kgf・m、車重154kg、最高速度135km/h。自衛隊では過去にホンダ製のオートバイを使用していた時期もあったようです。



スペックは民生用と大きな変更はありませんが、後方に無線機を搭載するためのラックが追加されています。車体を陸自カラーであるオリーブドラブ(濃緑色)に塗装してあるのも特徴です。金属部分は光の反射で目立ってしまわぬよう、マットなオリーブドラブか黒で塗装。フレームの一部は耐久性向上のため補強されています。



前述の知人によれば、泊りがけの訓練に行くときは、任務で必要な装備品のほか、着替えや食料など、かなりの量の荷物を持っていかなければならないそうです。そのようなときでも、リアシートに荷物をしっかりとくくりつければ、車体がふらついてしまうこともなく、かなり安定して長距離走行できるとのこと。「フレームが補強されているからではないか」とその知人は話していました。



なお、民生用KLX250(1998年発売)はすでに生産が終了していて、新車での入手は難しいでしょう。中古なら、状態にもよりますが20〜70万円台で入手できそうです。ここまでタフなら通勤やレジャーの移動手段としても大活躍しそうですね。


以上、室井大和さんの解説でした。それでは、次回をお楽しみに!



室井大和 むろいやまと 1982年栃木県生まれ。陸上自衛隊退官後に出版社の記者、編集者を務める。クルマ好きが高じて指定自動車教習所指導員として約10年間、クルマとバイクの実技指導を経験。その後、ライターとして独立。自動車メーカーのテキスト監修、バイクメーカーのSNS運用などを手掛ける。 この著者の記事一覧はこちら(MN ワーク&ライフ編集部)

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  • とはいえ能登の地震で活躍したという話はまるで出て来てない。 だからこそこの記事なのだろう。
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