シャンソンの女王・越路吹雪生誕100年 殿堂「銀巴里」出演経験持つクミコは今も第一線で活躍

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2024年06月24日 05:00  日刊スポーツ

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エターナルソング・コンテストで「愛の讃歌」を歌唱したクミコ(6月9日、東京・渋谷区の古賀政男音楽博物館けやきホール)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>



今年は、シャンソンの女王・越路吹雪の生誕100年である。1924年(大13)2月28日に東京で生まれ、80年11月7日に56歳の若さで亡くなった。


マネジャーだった岩谷時子が訳詞した越路のヒット曲「愛の讃歌」「ラストダンスは私に」「サン・トワ・マミー」「ろくでなし」などは、死後44年の歳月が流れた今も、どこかで流れている。越路がシャンソンを日本に根付かせた功績は大きい。


シャンソンはフランス語で「歌」の意味。そのシャンソンの故郷のフランスで7月26日に、パリ五輪が開幕する。くしくもパリ五輪は越路が生まれた1924年以来、100年ぶり3回目となる(1回目は1900年)。越路の生誕100年と、100年ぶりのパリ五輪という相乗効果で、日本国内でシャンソンが再注目されている。


かつてシャンソンの殿堂が、東京・銀座7丁目にあった。1951年(昭26)にオープンしたシャンソン喫茶「銀巴里」である。美輪明宏、戸川昌子、金子由香利、青江三奈らが出演。三島由紀夫、なかしに礼、寺山修司、吉行淳之介ら文化人も集い、演出も行った。09年10月に閉店するまで、日本のシャンソンをけん引した。


その銀巴里で出演経験を持ち、今も第一線で活躍するのが歌手クミコ(69)である。売れない時代も経験したが、今ではシャンソン歌手の第一人者として認知されている。


7月10日にカバーアルバム「私の好きなシャンソンVol.2〜シャンソンティックな歌たち〜」を発売する。越路の「愛の讃歌」「アプレ・トワ」(直訳は「あなたのあとに」)を始め、シャンソンの代表曲の「倖せな愛などない」「帰り来ぬ青春」「私はあなたのもの」の5曲を新録音で収録。このほか、18年のライブ録音「サン・トワ・マミー」、クミコが日本産の最高のシャンソンと呼ぶ「ヨイトマケの唄」(美輪明宏)、菅原洋一とのデュエット「今日でお別れ」など15曲が収録されている。


発売元の日本コロムビアによると、今年は越路の生誕100年だけでなく、越路が「愛の讃歌」を初めてレコード化してから、70年の節目でもある。


クミコは、越路の歌を聴いて初めてシャンソンを知ったという。今回のアルバムリリースにあたり、「今の時代、絶滅危惧種と言ってもいいようなシャンソンの録音物を、またリリースできることは、信じがたい幸運です。今年は越路吹雪さんの生誕100年、そして代表曲『愛の讃歌』のレコード盤録音から70年。はたまたパリオリンピックの年。ナニカシラ背中を押されるような気持ちで、新録音も含め、アルバムの形で発表することになりました。(略)今の時代に生きるシャンソンを、お聴きいただければ幸いです」とコメントしている。


クミコはBS朝日で6月30日に放送される「ニッポン・シャンソン〜越路吹雪・銀巴里…歌い継がれる愛の讃歌〜」(午後9時)に出演する。同局によると、BS民放初の日本のシャンソンに特化した番組という。


越路吹雪の後継者として、シャンソンを歌い続けてほしい。(敬称略)【笹森文彦】

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