宮田莉朋、波乱万丈のバルセロナ戦に続き「またタフな週末になる」初のレッドブルリンクへ/FIA F2第7戦プレビュー

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2024年06月27日 07:00  AUTOSPORT web

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2024 FIA F2第6戦バルセロナ 宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)
 2024年FIA F2第6戦バルセロナの週末は、宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)にとって波乱万丈の週末となった。

 全日本スーパーフォーミュラ選手権とスーパーGT GT500クラスのダブルタイトル獲得を経て、今年からヨーロッパでの戦いに臨む宮田。FIA F2では未経験のコースにおけるライバル勢との経験値の差で苦戦することも少なくはなかった。

 しかし、FIA F2のインシーズンテストやELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズで走行したことのあるカタロニア・サーキットでは、経験値の差が縮まり、スプリントレース(決勝レース1)では5レースぶりの入賞、さらにはFIA F2では初となるファステストラップもマークした。

「バルセロナは知っているコースですので、初めてのサーキットに比べれば気持ちにも余裕がありました。いつもどおりのマシンパフォーマンスがあれば、まともに戦えるという感覚で初日を迎えることができ、予選も僅差のなかで6番手になれました」と、第6戦後に実施された囲み取材で宮田は振り返った。

「スプリントレースはスタートが決まれば表彰台に、という状況でスタートを迎え、まさにそれがうまくいき、ターン1で2番手に浮上できました。その後、トラックリミット違反によるペナルティを受けることとなりましたが、レースを楽しめたと思います」

 FIA F2のスプリントレースは予選の上位10番手までがリバースグリッドとなり、予選6番手の宮田は4番グリッドからスタート。ポールシッターのクッシュ・マイニ(インビクタ・レーシング/アルピーヌ育成)、3番グリッドのファン・マヌエル・コレア(ダムス・ルーカスオイル)が出遅れるなか、宮田はターン1で2台をオーバーテイクし、ビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)に続く2番手に浮上した。

「スタートに関しては自分自身に“決まった”という感覚はそこまではなく、蹴り出しは良くも悪くも普通という感じでした。ただ、位置取りがすごく良かったと思いますね」と、宮田。

「カタロニア・サーキットはグリッドからターン1までが長いので、その間に意外とスリップストリームが効きます。そのスリップを使えたこと、それに加えてフォーメーションラップの際にタイヤをしっかりと温めておいたことでいいグリップを感じることができ、ターン1での2台のオーバーテイクに繋がったと感じます」

 その後はファステストラップをマークするなど、快調に周回を重ね2番手でチェッカーを受けた宮田。ただ、トラックリミットを5回違反したとして、レース中に5秒ペナルティを2度、計10秒受けることとなり、最終的な順位は7位となった。

 無線での黒白旗の伝達がなく、レース終盤にペナルティを知るという状況となったが、宮田は「僕のツメが甘かった」と語り、状況を受け入れている。

「スプリントレースの後、チームにも状況を聞きました。それにFIA(国際自動車連盟)の方にも行き、自分がどのようにトラックリミット違反を取られたのかを聞いたりした。そのため、気持ち的に引きずることもなく、次に向けて切り替えています」

 スプリントレースで好走を見せただけに、翌日に行われたフィーチャーレース(決勝レース2)でも、宮田の好走ぶりが見られるかと期待された。しかし、宮田のマシンにはスプリントレースで見せたペースがなく、入賞圏外の13位でチェッカーとなった。

「苦戦の要因はまだ細かい部分まではわかっていませんが、おそらくセットアップの部分かなと。バルセロナではチームメイト(ゼイン・マローニ/ザウバー育成)も調子が良くはなかったので、なぜダメだったのかという部分をしっかりと分析しないといけないと考えています」

 初のトップ争い、初のファステストラップ、一転苦戦となったフィーチャーレースという、波乱万丈のバルセロナ戦を終えた宮田は「ポジティブな要素の方が多かったですね」と話した。

「当然、理想の結果にまでは届きませんでしたが、“コースを知っていれば戦える”ということはわかったと思います。また、開幕戦のバーレーン(編注:開幕前テストで走り込んだコース)よりも前でポジションを争うこともでき、開幕以降自分が学んできたことが少なからず活きたと実感できました」

「周りとのギャップは“コースを知らない”という経験値の差だけだと感じます。バルセロナは知っているコースとはいえ、それでも(ヨーロッパでキャリアを積んできた)ライバルたちと比べると圧倒的に僕の走行経験は少ないです。そんなコースでもトップ争いができたということは、少なからず時間と経験を積めば、彼らとも普通に戦えることがわかりました」

「逆に言えば、バルセロナでも他のコースと同様に、ずっと苦しい戦いだったら、僕にポテンシャルがないと感じていたかもしれません。バルセロナでは少なからず、そうではないことがわかったので、自分の自信に繋がりました」

 次戦となるFIA F2第7戦シュピールベルクはオーストリアのレッドブルリンクでの開催となり、宮田にとってふたたび初めてのコースとなる。

 また、2023年はF1でも83件ものトラックリミット違反(違反の疑いは1200件以上)が多発した地であり、同年のFIA F2でもトラックリミット違反が多数検出されたコースだ。

「コースも変化があった(編注:ターン9、最終ターン10の縁石の外側にグラベルが追加された)とは聞いていますが、実際にトラックリミット違反が減るのかどうかは、走らないとわからない部分がありますね」と宮田。

「自分にとっては初めてのコースですし、簡単には行かないと思います。それでも精一杯頑張って、結果がついてきたらと思います。またタフな週末になるかとは思いますが、チームとともに頑張ります」

 バルセロナで得た経験と自信は、宮田の成長にとって大きな後押しとなったのかもしれない。

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