松下由樹、55歳。年齢をネガティブに捉えない心得を語る「伊東四朗さんにも“若いね”って」

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2024年06月27日 09:10  女子SPA!

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 俳優の松下由樹さん(55歳)が、三宅裕司さん率いる大人気シリーズ「熱海五郎一座」新橋演舞場シリーズ第10回記念公演、「スマイル フォーエバー〜ちょいワル淑女と愛の魔法〜」にゲスト出演しています。

 喜劇界のレジェンド伊東四朗さんをはじめ、豪華東京喜劇人たちが集うなか、“ちょいワル淑女”を好演しています。

 松下さんは1983年に芸能界デビュー。昨年、芸能活動40周年を迎えましたが、舞台のみならず、映画・ドラマと精力的に活躍されています。芸能活動で大切にして来たこと、50代をどう過ごしたいか、などいろいろな話を聞きました。

◆『ナースのお仕事』以降の変化

――1983年デビューということで、2023年には芸能活動40周年を迎えられましたね。

松下:この世界に入ってからの歳月について、今まで思うことはなかったです。仕事を始めた時は中学3年生で、お芝居をしたくて始めて今に至る中で、本当にいろいろな役をやらせていただいて、それはなかなかできないことだなと思っています。とてもありがたいことです。偏ることなく、さまざまな役柄を演じさせていただいています。

――初期の頃は、シリアスなキャラクターが多かったとのことですが、96年の『ナースのお仕事』以降、役柄に幅が出たそうですね。

松下:初期は(視聴者に)嫌われる役柄が多かったのですが、『ナースのお仕事』に出てからイメージが変わりました。ほかにも時代劇や『ココリコミラクルタイプ』などのバラエティ番組も経験しましたが、あれ以降職業モノの作品が増えました。『ナースのお仕事』の撮影現場にはいつもナースの方がいて、質問ができて勉強になったので、職業モノの面白さも知れてよかったです。

◆職業モノのドラマの魅力

――ある意味、転機になったシリーズなのですね。

松下:そうですね。あの作品に出会えて印象が変わり、そこから役柄もシリアスだけでなく、明るい役柄も見ていただけるようになったと思います。

――ナースのようなモデルとなる業界の方がいて、その方たちの想いも背負ったりすることもあるかと思いますが、それを託されて丁寧に表現していく俳優という仕事は、続けていてよかったと思うことはありますか?

松下:あります。わたしがどんな役でも、職業モノだったらやっぱり憧れてもらいたいなって、勝手なのですが、思っちゃうんですよね。

わたしが知らない職業だったり、まだ世の中に定着していない職業だったりすることもありました。ナースの時もそうでしたが、ナースをコメディで描くって、当時はタブーとされていたと思います。今や普通ですが、当時はNGも多かったんです。特にパート1の最初は。

でも、世の中に認知されていくと、だんだんとOKが出るようになるんです。大変なイメージのある職業や、誰もが憧れるわけではない職業が、ドラマがきっかけで憧れの的になっていく。そうやってその職業が知られていくっていうことが、すごく素敵なことだなと思いました。

◆台本の1ページ目からおもしろい

――俳優として今後、より追求したいことは何かありますか?

松下:もっと深みが出るように、もっと感じられるように、相手役のことを気遣いたい、など、挙げていくとキリがありません。今回の舞台では、喜劇を通じてほんの少しでもお客さんとの距離を近くに感じたいと思いました。日々のお客さんの様子まで感じ取れる余裕がある役者になりたいです。

――その今回の舞台、三宅裕司さんを筆頭にゲストの伊東四朗さんをはじめ、日本最高峰の東京喜劇人たちが集い、笑いはもちろん、アクション、歌、ダンスと、盛りだくさんの内容ですね。

松下:(台本の)1ページ目から面白いですよ(笑)。わたしは東京都知事の役をやらせていただくのですが、サブタイトルにあるちょいワル淑女の役です。クセがあり、難ありなのですが、男性陣とどういう関わりを持つのか、それにより最後にわかる愛の魔法とは何か。そもそも魔法学校が日本にもあるシチュエーションで、みんな魔法学校に通っているのですが、どうして通っているのか、その中に本当の魔法使いがいるのかどうか……など、さまざまな面白さがあります。

◆伊東四朗に「まだ若いね」と

――前回出演したときはどうでしたか?

松下:歌ありタップあり殺陣あり、東京の喜劇、軽演劇をやらせていただきました。一座のみなさんとご一緒して、三宅裕司さんの演出を受けるという楽しさもありましたし、熱海五郎一座を楽しみに舞台を観に来てくださるお客さんの笑顔や笑い声のエネルギーを存分に感じた1か月でしたので、本当に楽しかったです。また出たいと思いました。

――最近でも映画に出演もされ精力的に活動されていますが、50代、どのように過ごしたいですか?

松下:年齢のことをネガティブに捉えがちなところがありますが、今回の舞台で諸先輩方の姿を見ていると、年齢について言えなくなりました(笑)。『お終活 再春!人生ラプソディ』という映画では、大村崑さんが92歳なので、すごいですよね。軽やかさを持って50代後半は進みたいと思っています。

――前向きな気持ちが大切ということですね。

松下:そうですね。伊東四朗さんにも「まだ若いね」と言われましたし。もちろん、現実問題として年齢には向き合っていかないといけないとは思いますが、自分と付き合っていく以外にはないわけですよね。なので、いかにネガティブに捉えないか、ですかね。

それぞれの年齢ならではの楽しみを見つけることで生き生きとしていられると思うんです。人と比べたりすることなく、こういうわたしがいたっていいじゃないですか、くらいの気持ちでいきましょう(笑)。

<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>

【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。
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