濡れ場にドキドキ…セックスレス夫婦の「公認不倫」を濃厚に描く『1122』。昨年話題の『あなして』との“決定的な違い”は

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2024年06月27日 16:10  女子SPA!

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画像:Prime Video ドラマ『1122 いいふうふ』公式サイトより
 1〜3話が6月14日に、4〜5話が21日に配信され、6〜7話が28日に配信予定のPrime Videoドラマ『1122 いいふうふ』。渡辺ペコ氏による人気漫画を原作にした本作は、結婚7年目の夫婦・相原一子(高畑充希)と二也(岡田将生)が主人公。一見仲睦まじい夫婦に思えるが、二也は子持ちの既婚者・柏木美月(西野七瀬)と不倫関係にある。しかし、一子は二也の不倫を了承しており、“婚外恋愛許可制(公認不倫)”を採用している夫婦なのだ。そんな前衛的な制度を導入している相原夫妻が、夫婦関係に悩みながらも前に進むために奮闘する姿を描いたストーリーになっている。

※以下、ドラマ『1122 いいふうふ』『あなたがしてくれなくても』に関する一部ネタバレを含みます。

◆2023年話題のドラマ『あなして』のパラレルワールド?

 セックスレスをキッカケとした2組の夫婦のすれ違いや交わりを描いたヒューマンドラマと言えば、2023年4月から放送された『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)を連想する人は多いだろう。『あなたがしてくれなくても』では、夫・陽一(永山瑛太)とのセックスレスに悩むみち(奈緒)が、会社の上司であり同じく妻(田中みな実)とのセックスレスに悩む新名誠(岩田剛典)と不倫関係に発展するかどうかの瀬戸際をいじらしく描かれていた。

 ただ、みちと誠は肉体関係を持ってはおらず、一方で『1122 いいふうふ』の一子と二也は別の相手としっかり関係を持っている。いわば『あなたがしてくれなくても』では先に進まなかった2人の、ある種“パラレルワールド”のような内容になっており、一子と二也にみちと誠を重ねて視聴すると味わい深さが増す。『あなたがしてくれなくても』を観ていた人は特に楽しめるかもしれない。

◆重いテーマ、クズ男ムーブもポップに仕上げる高畑と岡田

 次に『1122 いいふうふ』について語りたい。『あなたがしてくれなくても』と比較してポップな空気が流れているが、それはメインの高畑と岡田の演技による部分が大きい。高畑特有ののほほんとした雰囲気が一子から醸し出されており、セックスレスというセンシティブなテーマの緩衝材になっている。また、美月の好意を雑に考えたりなどクズ男ムーブが目立ち、ヘイトを集めそうな二也ではあるが、岡田の少年のような無垢さを覗かせる演技により、二也に不思議とイライラ感を覚えない。「二也も二也なりに悩んでいるのかも」とついつい考えたくなる。

◆長い濡れ場にドキドキ。“事前”や“事後”まで濃厚

 ただ、濡れ場は『あなたがしてくれなくても』に負けず劣らずの濃密さ。本作では、“行為中”よりもその前後についつい注目したくなる。3話で一子が女性用風俗を利用した際、セラピストの池端礼(吉野北人)から「最近マッサージ練習してて、よかったらやってみません?」と提案を受ける一子。それを了承すると礼は一子の背中に回って肩や腰のコリをほぐしていくが、その手は次第に一子を包み込みバックハグをする。そして、耳元で「ベッド行こうか」と囁き、一子をお姫様抱っこしてベッドに搬送した。

 4話の一子と礼が行為終了後に風呂場でイチャイチャするシーンも刺激的。浴槽につかりながら、またしても礼が一子をバックハグして2人で微笑み合っている様子にはニヤニヤさせられた。地上波ではなかなか濡れ場をしっかり流すことが難しいのか、濡れ場が結構アッサリした地上波ドラマが少なくない印象。配信ドラマだからこその強みなのかもしれないが、『1122 いいふうふ』では濡れ場も時間をかけて流されていたため、一子のドキドキをしっかりと堪能できた。

◆しっかりと嫌な気持ちになった「印象的なシーン」

 濃厚な濡れ場もポップな日常パートも魅力的ではあるが、2話で一子の実家に夫婦で訪れたシーンの雰囲気もたまらない。一子の母親・山根奈々(風吹ジュン)と一子は関係が良好とは言えず、奈々は「あんたのその喋り方と目の座り方、あの人と同じ」と苦言を呈すように話し、DV気質だった亡き夫と一子を重ねる。これに一子は「あの人がDVクズなのはわかるけど、私はその遺伝子半分受け継いじゃってんの」「でもそれ、私のせいじゃないから」「結婚生活解消できるのにそうしなかったのは自分の選択でしょ?」と反論。2人が笑い合うことはなく、ただただ重苦しい空気が流れた。

 愛情たっぷりに育てられたわけでもなく、かといって凄惨な虐待を受けたわけでもない。そんな相容れない親子の絶妙な距離感がリアルに映し出されており、しっかりと嫌な気持ちになった。いろいろな空気感が味わえ、なにより公認不倫といういびつな制度を通して夫婦の向き合い方を示す『1122 いいふうふ』。どのような結末を迎えるか気になって仕方ない。

<文/望月悠木>

【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki

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