トヨタのクックが“7台ごぼう抜き”で移籍後初勝利。最終周の逆転劇でBMWヒルは5勝目/BTCC第5戦

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2024年06月27日 17:50  AUTOSPORT web

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レース2では8番手発進だった好調ジョシュ・クック(LKQユーロ・カーパーツ・ウィズ・シネティック/トヨタ・カローラGRスポーツ)が、オープニングラップで“7台抜き”の離れ業を演じることに
 早くもシーズン折り返しを迎えた2024年のBTCCイギリス・ツーリングカー選手権第5戦が6月21〜23日にオールトンパークで開催され、週末3ヒートそれぞれが劇的な展開を見せ、異なる3名のウイナーが誕生することに。

 予選で今季3回目のポールポジションを獲得した2022年王者トム・イングラム(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)がレース1を制すると、続くヒートでは8番手発進だった好調ジョシュ・クック(LKQユーロ・カーパーツ・ウィズ・シネティック/トヨタ・カローラGRスポーツ)が、オープニングラップで“7台抜き”の離れ業を演じてみせる。

 これでクックが今季初、トヨタ陣営移籍後の初勝利を飾ると、最終ヒートではファイナルラップのオーバーテイク劇を成功させたジェイク・ヒル(レーザー・ツールズ・レーシング・ウィズ・MBモータースポーツ/BMW 330e Mスポーツ)が早くも5勝目を手にし、サマーブレイクを選手権首位で過ごすこととなった。

 幕開けのフリープラクティスこそヴォクスホール陣営が先行したオールトンパークの週末は、予選に入ると一転してチャンピオンシップの主役級が上位を争う展開に。ここで今季導入“クイック・シックス”のシュートアウトに楽々と進出していたイングラムが、昨年記録されたラップレコードからほぼ0.5秒短縮となる1分24秒194という新記録を計時し、同地史上最速のポールシッターとなった。

「このために一生懸命頑張ってきた。今週末のマシンは活き活きとしており、チーム全員の功績を称えなければならない。彼らが素晴らしいことを成し遂げたマシンをドライブするのは特別なことだ」と喜びを語ったイングラム。

「このサーキットはすべてをうまくまとめることが重要なので、この結果には本当に自信が湧くね。粘り強く続けることが目標で、マシンの調子が良く、追いかける必要がなければ本当に良い状態だ。夏休みを控え、明日は前向きに臨めると確信している」

 そう語ったとおり、イングラムは選手権のライバルであるディフェンディングチャンピオン、アシュリー・サットン(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)とレース1のオープニングから激しい鍔迫り合いを演じると、2周目のアイランドヘアピンでインを刺したフォードがヒョンデに接触する。

■レース2スタート直後のターン1でBMWが道を塞ぐ
 続くヒスロップスへの降りでも並走しながらコンタクトを続けた2台は、イングラムが芝生エリアを滑走しながらもリードを死守し、サットンとその僚友ダン・カミッシュ(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)を従えポール・トゥ・ウインを飾ることに。これがイングラムにとって正真正銘、BTCCキャリア通算30勝目の節目となった。

 続くレース2は、フィニッシュ後にも「近年で最も素晴らしいオープニングラップのひとつ」と称される快走が実現し、その主役を8番手発進だったサテライト・トヨタのクックが演じてみせる。

 グリップに優れるグッドイヤーのソフトタイヤを履いたイエロー&グレーのカローラGRスポーツは、ターン1への進入でほぼ横に並んでいたアダム・モーガン(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)が姿勢を乱すなか、からくも接触を回避。これでBMWがトラック中央をほぼ塞ぐかたちとなり、後続がバッサリと分断されたことも功を奏し、直後のヘアピンで前方4台のアウトサイドを回ったクックが一気に首位イングラムの背後へと迫る。

 そのままサイド・バイ・サイドに持ち込み、スタート/フィニッシュラインを前にトップ浮上を果たしたカローラは、その後は振り返ることなくチェッカーに向け快走。その背後ではイングラムとふたたび接触したサットンが右リヤのバンパーを破損してオレンジボール対応のためピットへ。2位イングラムに続き、終盤カミッシュを逆転したヒルが最後のポディウムをもぎ取った。

「ようやくレースに勝ててうれしい。自分がソフトタイヤを履き、周りがハードタイヤを履いていると、ずっと楽になるね」と、これがトヨタ陣営移籍後の初優勝となったクック。

「とても良いスタートが切れて1周目から周りのドアが開き、いいポジションにつけることができた。とにかく速くラップを走ることに集中したし、見ていてあまり面白くなかったかもしれないが、それでいい」

「タイヤを酷使しすぎないように注意し、セーフティカーが出た場合に備えて余裕を持っておくようにした。チーム全員におめでとうを言いたいし、僕ら全員が本当にこのような結果を必要としていたんだ」

■レース3はヒルがヴォクスホールの牙城を切り崩す
 最終ヒートを前にしたリバースグリッドドローにより、アーロン-テイラー・スミスとマイキー・ドーブル(エバンス・ハルショウ・パワー・マックス・レーシング/ヴォクスホール・アストラBTCC)の2台がフロントロウを確定させたレース3は、ライトが消えた瞬間から完璧なホイールワークを見せたドーブルが首位を独走。その背後を守り続けたテイラー・スミスだったが、終盤に来てレーザー・ツールズ・レーシングのBMWに先を譲ることに。

 これでヴォクスホール陣営の牙城を切り崩したヒルは、残り数周で首位ドーブルのリヤバンバーに肉薄。セオリーでもあるアイランドヘアピンからヒスロップスへの進入で仕掛けたBMWが、最終ラップで見事なオーバーテイクを決めて劇的な今季5勝目を手にした。

「今季前半を締めくくるには最高の方法だ。5勝目を挙げ、BTCCのポイントリーダーとして夏休みに入るんだからね」と、ここまでの第3戦、第4戦と週末各2勝ずつを記録し、今回の勝利でも満足げな表情を浮かべたヒル。

 一方、ランキング首位でオールトンパークに乗り込みながら、そのヒルに逆転を喫した王者サットンは、ブレイク明けの後半戦から安定思考を捨てた「全開アタック」の決行を宣言した。

「今週末はBTCCの浮き沈みをすべて経験したと言ってもいいと思う。やはり、僕とオールトンパークはまったく相性が良くないようだ」と、レース2の車体破損に続き、最終ヒートもパンクで失っていたチャンピオン。

「今週末の結果は、僕らがチャンピオンシップ争いで後退したことを意味する。つまりシーズン後半に24ポイントの差を埋めるために、やるべきことがあるよね? これまでは簡潔で一貫性のある方法でタイトルを獲得しようとしてきた。でも(第6戦)クロフトに向かうときには、かつての僕のように最大限の攻撃を繰り出す必要があると考えているよ!」

 そうディフェンディングチャンピオンが決意を示したとおり、続くBTCC第6戦のクロフトは、約1カ月強のサマーブレイクを経た7月26〜28日に争われる。

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