データが示した「本当に注目を集めた春ドラマ」ランキング、2位は『アンチヒーロー』。最下位は?

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2024年06月28日 16:20  女子SPA!

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女子SPA!

画像:TBSテレビ 日曜劇場『アンチヒーロー』公式サイトより
 6月29日に『街並み照らすヤツら』(日本テレビ系)が最終回を迎え、春ドラマのシーズンが幕を閉じる。28日には『笑うマトリョーシカ』(日本テレビ系)が早くもスタートし、夏ドラマへと移り変わり始めるが、ここで4月期のゴールデン・プライム帯民放連続ドラマをTVerお気に入り登録者数の「増加数」から振り返ってみよう。

◆TVerの「お気に入り登録者数」で人気度がわかる?

TVerは、2024年3月には月間動画再生数が4.5億回を突破するなど、無料見逃し配信サービスとしてすっかり定着。その勢いを牽引しているのがほかならぬドラマであることは、2024年1月〜3月期のTVer総合番組再生数ランキングのトップ5がすべてドラマであったこと、加えてトップ20の8割以上(17作品)がドラマで占められていたことからも明らかだ。

近年はドラマ公式SNSが「見逃し配信再生数●●万回突破!」「TVer総合1位獲得!」とアピールしている様子もよく目にするように。いまや視聴率と並んで重要な指標となるのがTVerなのだ。

そしてそのTVerには「お気に入り登録」という機能がある。「お気に入り」はかつては「マイリスト」という名称で、共に登録者数が公開表示されていることもあり、番組人気を測る指標のひとつとして見られている。2022年に「マイリスト」から「お気に入り」にリニューアルされた際には、それまでの登録者数が一度リセットされたため、とある番組の公式SNSが慌ててお気に入り登録を呼びかける一幕もあった。テレビマンがお気に入り登録者数を重要だと考えていることがうかがえるエピソードだ。

TVerのお気に入り登録者数が多いからといって、必ずしも再生回数がそれに比例するわけではない。だが、放送中にどれだけお気に入り登録者数が伸びたかは、その作品に対する世間的な注目度や期待度がある程度は反映されているのではないだろうか。

そこで、ドラマ放送前の4月3日時点のお気に入り登録者数と、その作品においてもっとも多かったときの数字(最終回を迎えると登録解除が増えるため)とを比較し、どれだけ増加したかをランキング化してみた(全ランキングは記事最後に掲載)。

◆『Destiny』『アンチヒーロー』…考察要素のある作品がTVerで強い?

春ドラマでお気に入り登録者数がもっとも伸びたのは、石原さとみ主演の『Destiny』(テレビ朝日系)。春ドラマでは唯一100万の大台を超え、最終回放送前の6月1日の時点で121.2万人に到達した。放送開始前の4月3日時点でも22.8万人とゴールデン・プライム帯ドラマでは最多となっていたが、そこから+98.4万と増加数も1位に。韓国ドラマテイストだった『Destiny』は、真樹(亀梨和也)とカオリ(田中みな実)の間に何があったのか、奏(石原さとみ)の父親はなぜ死ななければならなかったのか、といったミステリー要素で視聴者を引き付けるのに成功したのだろう。

増加数2位は、長谷川博己主演のTBS系日曜劇場『アンチヒーロー』(+81.3万)で、『Destiny』と併せて考えると、考察要素の多い作品がTVer受けしやすいとも言える。4位の木村拓哉主演・テレビ朝日系木曜ドラマ『Believe−君にかける橋−』(+77.4万)もそのひとつだろうし、3位の川口春奈主演・TBS系金曜ドラマ『9ボーダー』(+79.6万)は“ヒューマンラブストーリー”ではあったものの、コウタロウ( 松下洸平)の記憶喪失の謎がどう解き明かされるのかヤキモキしていた視聴者も多かったはずだ。

◆途中からお気に入り登録者数が減少した作品も…。減少幅が大きかったのは

ドラマのお気に入り登録者数は、多くが最終回まで伸び続けるが、中には途中から減少に転じる作品もある。

春のゴールデン・プライム帯ドラマでいえば、『9ボーダー』、山下智久主演の『ブルーモーメント』(フジテレビ系)、赤楚衛二主演の『Re:リベンジ−欲望の果てに−』(フジテレビ系)、篠原涼子とバカリズム主演の『イップス』(フジテレビ系)、森本慎太郎主演の『街並み照らすヤツら』(日本テレビ系)、間宮祥太朗主演の『ACMA:GAME アクマゲーム』(日本テレビ系)の6作がそれにあたる。

中でも減少幅が大きかったのが『ブルーモーメント』で、第7話放送後の6月8日には98万人まで伸びたお気に入り登録者数が、そこから減少の一途をたどり、最終回放送直前の26日には95.6万人まで下がった。とはいえ、増加数自体は春ドラマ6位と悪くない結果だ。

◆日テレ苦戦の春ドラマ、増加数最下位は『街並み照らすヤツら』

増加数最下位となったのは『街並み照らすヤツら』。同作はお気に入り登録者数自体が少なく、第5話放送直前の5月25日に同作最高の11万人に達し、しばらくそのままで推移した後、第9話放送直前の6月22日に10.9万人に減少。26日には10.6万人と、とてもプライム帯ドラマのドラマとは思えない数字だ(実際、多くの深夜ドラマのお気に入り登録者数を下回る)。

企画の立ち上げからクランクインまでわずか1カ月という急造作であり、放送開始まで2週間を切る4月18日までTVerの作品ページすら存在しなかったあたりからも“突貫工事”ぶりがうかがえたが、それにしてもSixTONESのメンバー主演でここまで伸び悩むとは。

タイトなスケジュールの中で放送まで漕ぎつけた制作陣・出演者には同情するが、急造作なりのクオリティだったことは否めず、はたして無理をしてまで実現させる企画だったのか。当初予定されていた作品がキャンセルとなった事情を含め、いろいろと考えさせられる結果である。

◆春ドラマで強かったのはテレビ朝日とTBS

このランキングからは、春ドラマは視聴率だけでなくTVerにおいてもテレビ朝日とTBSが強く、一方で日本テレビは(『花咲舞が黙ってない』は視聴率のみ健闘したが)厳しい結果にあったことがわかる。とくにテレビ朝日のゴールデン・プライム帯ドラマは「世帯視聴率は強いものの配信は弱い」傾向が強かったこともあり、『Destiny』と『Believe』の成功は特筆すべきところ。

夏ドラマは、TVerで累計7300万回超えという歴代最高の再生数を叩き出した『silent』のチームが再集結した月9『海のはじまり』(フジテレビ系)が控えていることも話題だが、フジテレビはまた新記録を打ち立てるだろうか。

◆2024年GP帯春ドラマTVerお気に入り登録者数「増加数」ランキング

1位 『Destiny』(テレビ朝日)+98.4万
2位 『アンチヒーロー』(TBS)+81.3万
3位 『9ボーダー』(TBS)+79.6万
4位 『Believe−君にかける橋−』(テレビ朝日)+77.4万
5位 『366日』(フジテレビ)+76.0万
6位 『ブルーモーメント』(フジテレビ)+74.0万
7位 『アンメット ある脳外科医の日記』(フジテレビ)+71.1万
8位 『Re:リベンジ−欲望の果てに−』(フジテレビ)+67.6万
9位 『くるり〜誰が私と恋をした?〜』(TBS)+58.0万
10位 『イップス』(フジテレビ)+50.7万
11位 『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ)+50.5万
12位 『ダブルチート 偽りの警官 Season1』(テレビ東京)+35.9万
13位 『ACMA:GAME アクマゲーム』(日本テレビ)+28.4万
14位 『ミス・ターゲット』(テレビ朝日)+25.3万
15位 『特捜9 season7』(テレビ朝日)+11.8万
11位 『街並み照らすヤツら』(日本テレビ)+11.0万

【調査方法】
ドラマ放送前の4月3日時点のお気に入り登録者数と、その作品においてもっとも多かったときの数字(最終回を迎えると登録解除が増えるため)とを比較し、どれだけ増加したかをランキング化(筆者調べ)

【新城優征】
ドラマウォッチャー。俳優インタビュー、Netflix配信の海外ドラマの取材経験などもあり。
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