2年ぶりのスズキワークス活動に意欲。サステナブル仕様のGSX-R1000Rは「戦闘力が高い」濱原と生形が太鼓判/鈴鹿8耐テスト

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2024年06月28日 21:40  AUTOSPORT web

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生形秀之(Team SUZUKI CN CHALLENGE)/2024鈴鹿8耐 合同テスト
 いよいよ本戦まで1カ月を切った2024年の鈴鹿8耐は、今年も様々な注目チームやライダーが名を連ねている。なかでもスズキが2022年以来にワークス活動を復活させ、新たな試みで『チームスズキCNチャレンジ』として参戦することにも大きな期待が集まっている。サステナブル要素を取り入れたスズキGSX-R1000Rは、ライダー達にどのような印象を与えたのだろうか。

 スズキは、ロードレース世界選手権のMotoGPクラスでチーム・スズキ・エクスターを運営し、さらにFIM世界耐久選手権(EWC)でもヨシムラSERT Motulとしてファクトリー体制で参戦。両選手権でチャンピオンに輝いた実績もあるが、2022年をもって撤退を発表し、以降は全日本ロードやEWCなどに参戦するスズキチームへのサポートに留まっていた。

 そんななか、2024年の鈴鹿8耐にワークス活動として『チームスズキCNチャレンジ』で参戦することが発表された。実験的クラスとして設定されるエクスペリメンタルクラスに、サステナブルパーツを採用したスズキGSX-R1000Rで環境性能と技術の向上を目指すという新たな挑戦となる。

 そして、ライダーにはスズキでの経験が豊富なエティエンヌ・マッソン、濱原颯道、生形秀之の3名が起用された。2017年から2022年まで全日本ロードJSB1000クラスを戦い、スズキとホンダのマシンを駆ってきた濱原は、チーム加入の経緯を次のように説明した。

「僕は1年半レースをしていませんが、今年はどこかのチームで走りたいと思っていました。レーサーとしてTeam HRCさんのような勝てるチームで乗ることにも憧れはありますが、僕たちがしているレースはあくまでも市販車に反映しないと意味がないと思っています」

「その中でそういうサスティナブル要素のタイヤや燃料を採用して、レースに出るということは今後のためになるという思いもあり、チームスズキCNチャレンジに乗ってみたいと連絡しました。候補のひとりとして考えていたと言って頂いてすごく嬉しかったですし、今までレースをしてきてよかったと思います」と嬉しそうに語った濱原。

 そして、自身のチームであるS-PULSE DREAM RACING・ITECでライダーとしても活躍を見せている生形。2023年は4年振りにJSB1000クラスにフル参戦を決断したが、開幕前の公開テストと最終戦前の走行で怪我を負い、レースに参戦できていなかった。しかし、今年は自身のチームとしてではなく、チームスズキCNチャレンジの第3ライダーとして鈴鹿8耐を戦うことになった。

「僕はいつも自分のチームでやってきましたが、今年も走らせるとなると、あまり現実的ではなかったのが正直なところです。去年2度の大怪我をして、コンディション的にも非常に厳しい状況でしたし、例年のようにいろいろな業務と並行してライダーとしても準備を進めるイメージがどうしても沸きませんでした」

「そのなかでスズキさんの新しいプロジェクトとジョイントできたらいいなというお話をした際、可能性もあったので僕はその準備をしてシーズンオフを過ごしました。そして、レース業界も環境への配慮などもこれから無視できなくりますし、僕も賛同しています」

 そんなふたりが公の場でマシンを初めて走らせたのは、6月4〜5日に鈴鹿サーキットでのテストとなった。そのテストではマッソンの姿はなかったが、ヨシムラSERT Motulの開発兼第4ライダーを務める渥美心が参加していた。そして、その際にお披露目されたマシンは、ヨシムラSERT Motulカラーを纏ったものだった。

「ヨシムラが全面的にバックアップをしていて、全日本ロードで作り上げてきたバイクをそのまま提供しているような感じです。よく知っているバイクですし、僕もライダーとして鈴鹿もよく走っているので頼まれて今回参加していました」と渥美。

 また、新たな試みとしてサステナブルパーツを採用することもあり、事前のテストも何度か行われていたようだ。スズキのテストコースでは、開発ライダーを務める津田拓也がパーツの選別をしながらマシンを走らせていたという。

 6月4〜5日の事前テストでは、すでに40%バイオ由来のFIM公認サステナブル燃料やタイヤやオイル、カウル、ブレーキなどといったサステナブル要素のパーツが採用されていたとのこと。採用していたパーツは基本、津田が選別したものだったというが、3名のライダーは初めて走らせたマシンについて次のような印象を語った。

「特別なアイテムを使用していますが、遜色なく戦えていると思います。渥美選手のタイムを見てもわかるように、マシンとしては戦闘力が高い方だと思っています。彼は鈴鹿が得意なので、今は僕と少しタイム差はありますが……」と濱原。

 さらに、2023の全日本ロード最終戦前における走行以来にマシンを走らせた生形は、久しぶりの走行ということもあり、嬉しそうな表情も浮かべていた。

「実際乗ってみたところ、オートバイとして大きな問題はなかったですね。ヨシムラさんのマシンですが、メーカーのスズキさんがしっかり準備してきています。トップとの差は当然ありますが、僕らの想像を超えていたなと思いました」

 6月4〜5日の事前テストの時点では、2分07秒451をマークしており、トップ10圏内にも名を連ねていた。さらに、EWCフル参戦チームも参加した6月19〜20日のテストでは、マッソンも合流してテストを行っていた。その際は2分07秒557がベストとなったが、他チームと遜色ない走りを変わらず見せていた。

 2度の事前テストも終え、いよいよ残すは本戦のみ。新たな取り組み、そしてスズキのワークス活動の復帰と様々な面で多くの期待が集まっている。そんな鈴鹿8耐本戦に向けて濱原と生形は次のように意気込みを語った。

「サステナブル要素を使っているとは言え、ファクトリーが2022年ぶりに復活しているので、ファクトリーチームらしい走りができればと思っています。他と劣っているマシンに乗っているという自覚は全くないですし、トップ10に入りたいです。僕自身もトップ10トライアルに出たことないので出たいですね」

「一発の速さで戦えるところがあるかは分かりませんが、鈴鹿8耐というお祭りの中でチームスズキCNチャレンジとしても選手としても、僕たちが1番目立つということが目標です」と濱原。

「去年も走れなかったですし、(自身の)チームとしてやることはできましたが、結果的には悔しい思いもしましたし、やはり自分が走れなかったことが一番残念な部分もありました」

「今年に向けては『まず走るぞ!』と準備もしてきました。まだ準備は完璧ではないですが、鈴鹿8耐には間に合わせられると思うので、しっかりコンディションを戻して、よりレベルを上げてプロジェクトに貢献できるようにと思っています」と生形。

 さらに1度目のテストに参加した渥美も「タイム的には遜色なく走れているので、レースで戦って得るものを得て、ゆくゆくは表彰台や優勝をできるような環境に良いマシンにしていって頂けると良いなと思っています」と語った。

 サステナブル要素のパーツを使用し、環境性能と技術の向上を目指す取り組みとして鈴鹿8耐に参戦するチームスズキCNチャレンジ。まずは第一に完走が目標になるとはいえ、タイムも申し分ないゆえに本戦でどのような戦いぶりを見せてくれるのか楽しみだ。

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