佐々木蔵之介“宣孝”に身をゆだねる吉高由里子“まひろ”、その背中を押すのは結ばれない愛しい人|「光る君へ」25回

0

2024年06月30日 16:20  女子SPA!

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

女子SPA!

大河ドラマ『光る君へ』第25回(C)NHK(以下、同じ)
越前から都へと戻ってきたまひろ。宣孝から結婚を申し込まれたのがきっかけだ。まひろの人生が大きく変わる瞬間がやってきた。

一方、道長は政から心が離れている一条天皇に頭を悩ませていた。

◆愛が国を傾けるのか

離れていた時間が愛を育てる、などというが、それは一条天皇(塩野瑛久)に当てはまるのだろうか。

定子(高畑充希)が戻ってきてからというもの、通い詰めている一条天皇。政もおろそかになるほど。道長(柄本佑)も会うことができず、難儀するばかり。蔵人頭の行成もなかなか会うことが叶わない。

民のことを案じていた一条天皇だというのに、今は定子の幸せばかりを願っているようにも見える。

一方、定子はどうか。かつては家の繁栄のため、心を砕いていたように思うが、今は子どもの幸せが一番なのかもしれない。母が子のことを一番に考えるのは仕方がないこと。ただ、ふたりの愛は国を傾けかねない。

◆左大臣として成長する道長

頭を悩ませるのは道長だ。安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)は今後、凶事が続くと言う。地震、疫病、火事、日食、嵐、大水か、と問う道長に晴明は全てだと答える。邪気払いをしたところで災いの根本を取り除かなければならない。当然、道長の脳裏には一条天皇と定子のことが過る。

悪しき政は凶事を呼び寄せるのか……自然の力に人間がどうにかできるものではない、と思うかもしれないが、政がしっかりとしていれば、災害が起こったとしても立ち直りは早いだろう。しかし、政がおろそかになっていれば、災害は想定以上の被害になってしまう可能性は大いにある。……なんだか他人事のようには思えない話である。

そして、懸念していたことが起こってしまう。大雨で鴨川の堤が崩れた。その被害で多くの命、家や田畑が失われた。

道長は堤の修繕を一条天皇に奏上していたが、それが伝わらず。道長が独断で修繕を進めたが間に合わず、大事に至ってしまった。これは、自身が煮え切らなかったため、左大臣である自分の罪であるとし、辞職を申し出る。一条天皇は自分が悪いと言い、道長の辞職を認めない。

もちろん、道長が辞めるつもりがあるわけではない(いや、ほんの少しぐらいは辞めたいなあと思っているかもしれない)。一条天皇との駆け引きだろう。

あんなに真っすぐな道長が駆け引きなどするようになったのだな……と感慨深いものがあるが、そうならざるを得ないのだろう。

◆都に戻ってきたまひろ

宣孝(佐々木蔵之介)に結婚を申し込まれ、都に戻ってきたまひろ(吉高由里子)。

越前に行っている間に状況はいろいろと変わっていた。屋敷にはいとの「いい人」だという福丸がいた。乙丸は越前からきぬという女性を連れて帰ってきていた。ある意味、変わらないのは惟規(高杉真宙)だけかもしれない。彼は彼で、乙丸やまひろの変化に戸惑いを感じているようだ。

それぞれに「いい人」ができ、屋敷はにわかに賑やかだ。

まひろが帰ってくると、さっそくやってくる宣孝。相変わらず、イケオジなだけではなく、ほんの少し欲が覗かせる感じが絶妙である。

心なしか、まひろも前より楽しそうだ。為時からは潔癖ゆえに宣孝にほかにも妻がいることが心の負担になるのでは、と言われていたが、まひろはまひろでどこか割り切っているところがあるのかもしれない。

どんな形であれ、幸せになってほしいとは思うが……。

◆まひろの結婚に道長は

すっかり大人になった道長とまひろだが、宣孝はふたりの何枚も上手だ。

宣孝は除目で山城守に任命された礼を言いに道長を訪れる。

そこで「為時の娘も夫を持てるようになりました」と切り出す宣孝。明らかに動揺する道長。「それはめでたいことであった」と言うが、そこに、「実は夫は自分である」と追い打ちをかける。紙を持つ手にグッと力が込める道長。おお、耐えてる耐えてる……。この一瞬にきっといろんなことが頭をよぎったのだろうな、ということが想像がつく。

もし自分が道長だったとしたら「宣孝と結婚するなら、俺でもいいじゃん!!」って多分思ってしまう。口には出さずとも。

道長はまひろに大量の婚礼祝いを届ける。祝いの言葉が書かれた文もあったが、その筆跡は道長のものではない、とまひろはすぐに気がつく。

その日の夜、まひろは宣孝に身をゆだねる。自分から宣孝に文を書いたのだ。道長の行動が、まひろの背中を押してしまったのだな、ということが分かる。そういえば、道長が倫子(黒木華)のもとを訪れたのは、まひろの言動がきっかけだった。

あくまで、ふたりの心の中にはお互いがいる、というのが大前提。にも拘わらず、結ばれないのか……ということをあと何度思うことになるのだろうか……。

<文/ふくだりょうこ>

【ふくだりょうこ】
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ
    ニュース設定