WECの“カスタマー締め出し”にポルシェが警告。10メーカー参戦の2025年、残枠はわずかに『2』か

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2024年07月01日 18:20  AUTOSPORT web

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2024年、WECハイパーカークラスに1台のポルシェ963でエントリーしているプロトン・コンペティション
 ポルシェ・モータースポーツの責任者トーマス・ローデンバッハは、2025年以降、WEC世界耐久選手権ハイパーカークラスのプライベーター参戦枠が不足することになるため、他のマニュファクチャラーがカスタマーに対して車両を提供しないのではないかとの懸念を表明している。

 この動きは、6月初めにFIA世界モータースポーツ評議会によって『メーカー1社あたり最低2台の車両の参戦義務付け』が承認される中で起こったものだ。

 来年、アストンマーティンは10番目のハイパーカーメーカーとしてWECに参戦する予定であり、一方で各社2台ずつが参戦するLMGT3メーカー9社は残留する可能性が高いため、理論上は、拡大された40台のフルシーズングリッドにプライベーターのハイパーカーがエントリーできる余地は2台だけとなる。

 ポルシェは現在、ファクトリーチームのポルシェ・ペンスキー・モータースポーツとカスタマーの間で5台の963をフルシーズン参戦させているが、現在のカスタマーであるハーツ・チーム・JOTAは、来季はキャデラック・レーシングの2台体制を運営するものと予想されている。

 ACOフランス西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長は、グリッドの空き状況により、現在5台あるポルシェのエントリー数は、減少する見込みであると示唆している。

「プライベートチームもいくつか参加できる」とフィヨンは述べた。

「だが結局のところ、(参戦枠は)40台しかない。もちろん、同じブランドで6台を参戦させるといったことは難しいだろう」

 一方ローデンバッハは、ポルシェのカスタマーがWECから締め出される事態につながる可能性があると警告した。

「それが、我々のカスタマーのひとつがエントリーを拒否されることを意味するものではないことを願っている」とローデンバッハは述べた。

「しかし、最終的にはFIAとACOの決定だ。彼らができる限り多くのメーカーを参加させたいのは理解できる」

「個人的には、カスタマーがいるのは良いことだと思っている。おそらく今後どこかでまた何年も続くだろうし、カスタマー・チームがいるのは嬉しいことだ」

「最終的にそれが何を意味するのかは分からない。我々だけがそれ(カスタマープログラム)をやっているので、最終的には我々のカスタマーにとって制限がないことを願っている」

 ローデンバッハはまた、ハイパーカーのカスタマーがWECグリッドにつける台数が限られているため、他のメーカーがLMH(ル・マン・ハイパーカー)またはLMDh車両をプライベーターに提供しなくなるのではないかと懸念している。

「他のメーカーがカスタマーカーにコミットした場合、WECには非常に多くのクルマがあり、またメーカーがカスタマーカーを作ることを決定できるようになっているため、WECでレースをする可能性がなくなり、難しいことになるかもしれない」と彼は述べた。

「これにより、他のメーカーにとっては、カスタマーカーに関する決定がはるかに難しくなると思う」

 ポルシェはJOTAの切り替えによりカスタマーエントリーを2台失う予定だが、ローデンバッハは、グリッドスペースが空くようなら、来年963を走らせたいという他のチームからの関心がまだあると述べた。

 さらに、プロトン・コンペティションはWEC用に2台目の963導入を検討していることが知られている。

「カスタマーを獲得することには、問題はないと思う」とローデンバッハは語った。

「我々はトップクラスで走っているので、ポルシェ963を走らせている人がいるなら、その人がそれをこなす能力をすべて備えていることを確認したい」

「我々は、きちんとした仕事をできると本当に思えるチームだけを選ぶ」

「ビジネス上の理由ではない。できるだけ多くのクルマを売ることではないのだ。いま、我々のようなレベルのチームは多くないと思う」

「10チームも可能性を持っているわけではない。だが、ステップアップできるチームは確かに存在する」

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