2号機踏襲、実績重ねる=商用化に向け布石も―H3・3号機

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2024年07月01日 21:01  時事通信社

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時事通信社

H3ロケットは打ち上げる衛星の大きさに応じて液体燃料エンジンや固体燃料補助ロケットの数が変化。1〜3号機は左から2番目で2基ずつある形態(JAXA提供)
 初の実用衛星打ち上げに成功したH3ロケット3号機は、今年2月に初成功した2号機と機体構成などを踏襲し、成功の実績を重ねた。

 H3は、衛星打ち上げビジネスへの参入を視野に、積み荷となる衛星の大きさに応じ、第1段の液体燃料エンジン「LE―9」や固体燃料補助ロケット(SRB)の数などにバリエーションがある。

 当初の計画では、1号機でLE―9とSRB各2基の構成を試した後、2号機ではLE―9のみ3基で「だいち4号」を打ち上げるはずだった。しかし、1号機が昨年2月、第2段エンジンのトラブルで失敗したため、構成を変更。第2段に再発防止対策を講じた上で、1号機と同じ構成でダミー衛星を打ち上げた。

 1、2号機に付いていた「試験機」の名称が取れ、通常運用の段階に入った3号機は、改めてだいち4号を搭載することになったが、当初計画のLE―9のみの形態にせず、1、2号機と同様の構成にして確実性を優先した。

 一方、将来に向けた布石もある。LE―9は飛行中に出力調整が可能で、推力を絞って衛星に加わる加速度を弱めることができる。衛星の「乗り心地」は受注競争でも有利に働くため、3号機では第1段燃焼終了前の20秒間、出力を約66%に絞って機能を実証した。

 この機能は、「H2Aの半額」というH3の価格目標を実現する、LE―9のみの打ち上げにも必須。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の有田誠プロジェクトマネジャーは「(次の段階に向けて)大きなステップになった」と話した。 

公開されたH3ロケットの機体=3月21日、愛知県飛島村
公開されたH3ロケットの機体=3月21日、愛知県飛島村


H3ロケット3号機の打ち上げ=1日午後、鹿児島県・種子島宇宙センター
H3ロケット3号機の打ち上げ=1日午後、鹿児島県・種子島宇宙センター

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