NHK『虎に翼』登場の25歳俳優の“出身地ならではの繊細さ”。色っぽい横顔にも注目

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2024年07月02日 09:00  女子SPA!

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『虎に翼』©︎NHK
『虎に翼』(NHK総合)で、かつて「光三郎ちゃん」と呼ばれていた少年が、こんなに立派な姿で再登場するとは。

 本田響矢が演じることで、凛々しさと繊細さが絶妙に共存するというのも、大きな見どころ。

 イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、取材現場でのエピソードを交えながら、本作の本田響矢を解説する。

◆本田響矢の登場

 次はどんな魅力的な男性俳優が、『虎に翼』の画面上を彩ってくれるだろうかと思っていたら、本田響矢が登場した。第13週第61回。ある一家が遺産相続の検認のために家庭裁判所にやってきたのだ。

 判事補として担当することになった主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)は、意外な訪問者のひとりに心をざわつかせる。かつて明律大学女子部に講義に来た弁護士・大庭徹男(飯田基祐)の妻で、最年長の学友だった大庭梅子(平岩紙)が神妙な面持ちで部屋に入ってくる。

 徹男を家長として、梅子が常に虐げられた立場に置かれていた大庭家の揉め事だ。事情を察する寅子は、梅子との再会を公然と喜ぶことが出来ない。

 10年以上の月日が流れ、梅子が一度連れて家を出た三男・大庭光三郎(本田響矢)だって立派な青年だ。

◆凛々しい好青年に成長

 一家の面々がぞろぞろと部屋に入って行く。光三郎の後ろ姿だけでわかる。何と凛々しい好青年に成長しただろうかと。まだ幼かった頃の彼は、いつでも梅子の側にくっついていた。

 第4週第18回で、明律大学の男女混合のハイキングに出掛けたときにも、光三郎はちゃっかりついて来ていた。梅子お手製のおにぎりを配りながら、寅子たちを見上げて、自分も参加しようとしていた愛くるしい様子が、懐かしい。

 帝大エリートの長男・大庭徹太(見津賢)は、学生時代から父親ばりの尊大さだったが、あれだけ愛くるしい光三郎なら、きっと素直な青年に育っているはず……、と思った視聴者は少なくないだろう。

◆弱々しさと凛々しさが矛盾しない

 相続の権利を主張していがみ合う徹太や次男・大庭徹次(堀家一希)、祖母・大庭常(鷲尾真知子)、徹太の妾・元山すみれ(武田梨奈)に対して、光三郎は中立の立場で必死に仲裁に入ろうとする。

 でもまだ学生の彼の言葉が、民法が改正されてもなお、家父長制が根深いこの一家の対立を抑制することはなかなか難しい。

 梅子は光三郎について、「お人よしが過ぎる子」と言う。頼りないわけではないが、力強い推進力があるわけでもない。性格が優しい分、極めて繊細で、どちらかと言うと弱々しい存在。

 ただ、この繊細な弱々しさと持ち前の凛々しさが矛盾するかと言うと、そうではない。ものすごく紙一重。それが光三郎の大きな魅力であるのだが、本田響矢が、実に的確にそのキャラクター性を伝えている。

◆取材現場でのエピソードトーク

 本田響矢という人は、おそらく現在の若手俳優の中でもっとも繊細な演技を得意とするひとりだろう。単に技術的なことではなくて、何か本能的に、素肌で繊細さを表現できてしまう感じ。

 ドラマ初主演作となった『ジャックフロスト』(MBS、2023年)で、筆者はオフィシャルライターを担当したのだが、その取材現場でのエピソードトークや空気感をよく覚えている。同作は、イングランドの霜の妖精ジャックフロストをモティーフにしたBLドラマ作品。

 雪の情景と本田が妙にマッチしているなと感じ、「雪国の出身ですか?」と筆者が聞くと、「福井県の出身です。まさに雪国です」(2023年4月26日BANGER!!!掲載インタビュー)と答える。雪国育ちの人はどこか抒情的で、だからこそ、凍てついた雰囲気の画面上で、繊細に研ぎ澄まされるのではないか。

 本田自身、雪のような肌の白さで、凛々しさを洗い上げている。ほんとは彼が雪の妖精なんじゃないかと思ってしまうくらい。そんな出身地エピソードを語ってくれる間もまた繊細な冬景色が目の前に広がるような気がした。

◆繊細さが大胆さへと踏み込んだ瞬間

 取材では、「脚本に書かれていない背景を、クランクインの前にまとめていました」とも話していた。雪国出身というバックグラウンドを持った上で、本田が役作りで実践しているのは、履歴書作りなのだった。

 履歴書作りとは、演じる役柄について脚本上には書かれていない事実も補足しながら、その人物の経歴を書き起こす作業のこと。すべての俳優が実践しているわけではないが、役柄を理解する一助になる。

『ジャックフロスト』では、履歴書作りの過程で役柄と丁寧に向き合った結果として、本田の繊細な息づかいがキャラクターから伝わってくるのだと考えられる。『虎に翼』の大庭光三郎役でも同様なアプローチをしているのかもしれない。

 ただし、光三郎役ではもう少しアクセントがきいている。第64回、帰宅中の寅子が、路地の陰で光三郎とすみれが熱い抱擁を交わしているのを目撃する。光三郎の色っぽい横顔からは、本田の繊細さが大胆さへと踏み込んだ瞬間をキャッチすることができたからだ。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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  • 今回の作品、演者の顔が白い!ってのはちょーっとだけ気になる所。もうちょい日焼けがあってもよさそーですが…?(やぼなこと、言いました…反省m(__)m )
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