ドゥカティの隆盛とバニャイアの無欠。その背景/MotoGP第8戦オランダGP

0

2024年07月02日 13:30  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

オランダGPで今季5勝目を挙げたバニャイア
 オランダGP“もまた”、という表現が適切だろう。決勝レースはドゥカティライダーが表彰台を独占した。ポディウムに立ったのは、優勝したフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)、2位のホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)、3位のエネア・バスティアニーニ(ドゥカティ・レノボ・チーム)だ。

 決勝レースでドゥカティが表彰台を占めるのは、第4戦スペインGPから数えて5戦目である。つまり、決勝レースについては、5戦連続でドゥカティのライダーだけが表彰台に立っている。

 そのなかでも、アッセンにおいて完璧な週末を過ごしたのが、言うまでもなくバニャイアだ。今季初めてのポールポジションを獲得し、スプリントと決勝レースで優勝を飾った。どちらのレースも、ポール・トゥ・ウインだった。もちろん、オールタイムラップ・レコードも、レース中のファステストラップも、バニャイアが更新している。まさしく他を寄せ付けぬレースウイークだった。

 ドゥカティ、そしてバニャイアは、シーズン序盤には安定感を欠いている印象があった。その一因にはタイヤからくる振動があったようだ。しかしシーズンが中盤に入った今、2023年シーズンを上回る勢いを持っている。なぜだろうか?

 バニャイアはオランダGP決勝レース後の会見で、こう説明している。

「シーズン序盤はとても苦しんでいた。カタールのスプリントレースでは、バイクにひどい振動があって、転倒しそうなくらいだったことを覚えているよ。僕たちは毎回改善していったけど、ほかのサーキットを走るとさらに悪くなった」

 開幕戦カタールGPのスプリントレースを終えた後、バニャイアは「フロントの挙動に苦しみ、リヤからはトラクションが得られなかった」と語っており、シーズン序盤はこうした状況に対する改善が試みられていたということだ。カタールの土曜日を終えたバニャイアは状況に反して落ち着き払っているように見えたが、これはドゥカティやチームの仕事への信頼から来るものだったのかもしれない。今回の会見で、バニャイアは、現在ドゥカティが問題の解決に至った理由に、組織力を挙げている。

「理解するのに時間が必要だった。もしかしたらほかのライダーよりも先に理解したのかもしれない。ただ、同じバイクが8台コースを走っているという事実を考えている。確かに2024年型は新型だけど、2023年と比べても革新的というわけじゃない。フィーリング改善への道筋を考えることが、容易な状況なんだ」

 2位のマルティンも「ドゥカティは振動についてかなり取り組んだのだろうと思う。新しいタイヤに何がベストなのかを理解したんだ」と答えている。

 オランダGPの結果により、バニャイアは依然としてランキング2番手ながら、ランキングトップのマルティンとのポイント差を10に縮めた。やや早計ながらチャンピオンシップを考えたとき、バニャイアには有利な状況だと言えるだろう。

 現在のランキングは、トップがマルティン、2番手がバニャイア、そして3番手がマルク・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)、4番手がエネア・バスティアニーニ(ドゥカティ・レノボ・チーム)で、トップ4をドゥカティが占めている。

 このうち、マルティンとバスティアニーニは、今季をもってドゥカティを離脱することが、すでに発表されている。マルケスは2025年にはドゥカティのファクトリーチーム加入が決まっているが、今季については2023年型マシンを走らせている。

 とはいっても、もちろん、全20戦が予定されている2024年シーズンはまだ半分も終わっていない。ドゥカティの、そしてバニャイアの勢いを止める、あるいはその勢いに並ぶメーカー、ライダーは現れるだろうか。
    ニュース設定