史上初5回の延長決着を生き残り“燃料切れ”ジョーイ・ロガーノが息継ぎの勝利/NASCAR第19戦

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2024年07月03日 12:50  AUTOSPORT web

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燃料切れでエンジンが息継ぎを起こしながらもチェッカーを受けたジョーイ・ロガーノ(Team Penske/フォード・マスタング)が、大逆転を決めて今季初優勝を達成
 シリーズ史上初、実に5回のオーバータイム決着に持ち込まれた2024年NASCARカップシリーズ第19戦『アリー400』は、燃料切れでエンジンが息継ぎを起こしながらもチェッカーを受けたジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が、大逆転を決めて今季初優勝を達成。リスタートごとに主役が入れ替わるなか、予選26番手、延長当初7番手からのプレーオフ進出を決める重要な勝利を手にした。

 レギュラーシーズンも残りわずか。6月最後の週末にナッシュビル・スーパースピードウェイで開催された1戦は、走り出しのFPからトヨタ陣営が先行する展開に。ここで最速を記録したタイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)に続き、予選ではデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)がポールウイナーに輝くことに。

 そのハムリンも決勝では70周のリードラップを刻んだが、序盤からレースを牽引したのは前戦ウイナーのクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)で、両ステージを制覇してレースハイの130周をリードしてみせる。

 そのままトヨタ勢による勝負が続くと思われたファイナルステージを前に、トラック上には雷雲が接近したことからNASCARの運営側はライトニング・コーションを発令。するとその直後に豪雨が路面を濡らし、ここから1時間20分の赤旗中断へと突入する。これが終盤の波乱を巻き起こす最大要因となり、フューエルウインドウが約80周の1.33マイルでは、レース再開以降に次々とアクシデントが連鎖していく。

 ここでライリー・ハーヴェスト(リック・ウェア・レーシング/フォード・マスタング)やエリック・ジョーンズ(レガシー・モーター・クラブ/トヨタ・カムリXSE)、さらにはチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)までもが並走集団のなかで姿勢を乱し勝負権を失うと、そのエリオットから遅れることわずか数周。局面が大きく動く事態が発生する。

 残り73周で新品タイヤセット交換直後に中団を走行していたベルのカムリXSEは、ターン2でタイヤが外れ「ステアリングが効かず」リヤからウォールに激突。これで圧倒的な支配力で隊列を牽引した20号車トヨタがレースを去ることに。

 さらに残り58周でブラッド・ケセロウスキー(RFKレーシング/フォード・マスタング)がクラッシュすると、最終盤には“犬猿の仲”ロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)を仕留めたハムリンが、自力でトップランを奪い残り2周までレースをコントロールしていく。

 このまま“トヨタの日”として締め括られるかと思われたレースは、直後にオースティン・シンドリック(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が接触からバックストレッチでスピンを喫し、ここで延長戦突入が決定する。

■ターン3で燃料警告灯が点灯

 その最初のリスタートでは、首位ハムリンの隣に並んだカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が暴れ、コースをはみ出してチャスティンと接触して仕切り直しに。続く2回目もラーソンがボトムに降りてマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)らとコンタクトして隊列が乱れると、ホワイトフラッグが振られる前に後続がバックストレッチで多重クラッシュを引き起こし再度のコーションに。

 さらに3回目のリスタートでも蹴り出しが遅れたラーソンが起因となり、カイル・ブッシュ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)らが追突してイエロー、アコーディオン効果で僚友エリオットらも巻き込まれる事態となる。

 そして4回目のリスタートまでにジリジリとポジションを回復したロガーノは、ジョシュ・ベリー(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)のスピンによる中断を前に、ターン4まででチェイス・ブリスコ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)をパスし、ホワイトフラッグ直前のコーションで首位に躍り出ると、この段階でJGR艦隊のハムリンとトゥルーエクスJr.は燃料給油のため無念のピットレーンへと向かう。

 これでリードを引き継いだロガーノは、実に5回目となる最後のリスタートでもゼイン・スミス(スパイア・モータースポーツ/シボレー・カマロ)やタイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)らを抑え切り、キャリア通算33回目、待望の今季初勝利を手にした。

「最後は(ターン)3で燃料ランプが点灯し、エンジンが息継ぎしながらフィニッシュラインを越えた。間違いなくそれがすべてだった」と、延長331周となったレースで221周目にピットインを実施し、最後のタンクで110周を走破してみせた勝者ロガーノ。

 これでプレーオフの当落線上カットラインを行き来していた自らの不遇を断ち切り、ポストシーズン進出を確定させ「このShell/Pennzoil Mustangのチームとクルーをとても誇りに思っている。プレーオフに進出するために数週間ストレスが溜まっていたが、ここで勝てたことはシーズンにとって大きなこと。勝てて最高だよ」と、2度のカップ王者は胸を撫で下ろすことに。

 金曜に併催されたNASCARクラフツマン・トラック・シリーズ第13戦『ラックリー・ルーフィング200』は、圧倒的な強さを見せた23歳のクリスチャン・エッケス(マカナリー・ヒルゲマン・レーシング/シボレー・シルバラードRST)が、レース150周すべてを単独ドライバーがリードするというシリーズ12年ぶりの記録を樹立して勝利。

 同じく土曜に併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第17戦『テネシー・ロッテリー250』では、蒸し暑い午後を乗り切ったジョン・ハンター・ネメチェク(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタGRスープラ)が今季2勝目を飾っている。

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