鈴鹿8耐:強豪揃いのSSTに「今まで以上に気が抜けない」と岩戸。Kawasaki Plaza Racing Team、体制新たに目指す2度目のクラス優勝

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2024年07月05日 07:40  AUTOSPORT web

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岩戸亮介(Kawasaki Plaza Racing Team)/鈴鹿8耐テスト
 2024年の鈴鹿8耐開催まで2週間ほどに迫ってきた。総勢46チームがエントリーしており、今年もSSTクラスに多くの強豪が集結している。なかでも、直近2大会連続で優勝と表彰台を経験しているKawasaki Plaza Racing Teamは、今年も優勝チームの有力候補のとして挙げられるだろう。そんな彼らは2年ぶりの優勝を目指し、準備を進めているという。

 Kawasaki Plaza Racing Teamは、2022年に発足したチームで全日本ロードレース選手権と鈴鹿8耐のSSTクラスと並行して出場している。鈴鹿8耐のSSTクラスにおいては初出場の2022年に優勝、2023年には2位表彰台を獲得している強豪チームだ。今年はライダーラインアップを新たに、岩戸亮介、彌榮郡、ミカ・ペレスの布陣で臨む。

 今年もSSTクラスに参戦するが、このクラスは昨年度までタイヤメーカーの選択は自由だったが、今年はダンロップタイヤのワンメイクで争われる。そのため、チームの体制が変わったこともあるが、前年度と違ったタイヤを仕様することも相まって、「四苦八苦している」と西嶋修監督は語る。

 西嶋監督は「ライダーも去年から変わり、タイヤも今年はダンロップのワンメイクになり、全ていちからの組み立てになってしまいます。いちからライダーを走らせてアベレージタイムを計って、僕たちがどういった作戦を立てられるのかを考えている段階で、本当に手探り状態です」と続けた。

 SSTクラス表彰台常連チームになっていることもあり、多くのファンがさらなる優勝や活躍を期待している。そのため、チームとしてもその声援に応えなければならないと、プレッシャーも少なからず感じていることだろう。チーム発足からライダーとして関わり続けている岩戸も次のように語った。

「ストッククラスが今年は全チームが同じダンロップタイヤとなり、僕たちも全日本ロードで普段から履いてるとはいえ少し種類も違い、バイクも耐久仕様で重量なども変わるので、そこを踏まえてライダー3人でセットアップしています。やはり今年は他のフル参戦チームや強力なライバルも多いので、今まで以上に気が抜けないですし、優勝するための準備がすごく大変ですね」

「やはり耐久レースにおいての経験が多ければ多いほど強いと思いますし、BMW勢においてはタイヤの交換時間も早いので、僕達がどこで強さを補うかということが課題だと思います。まずは自分たちのやるべきことを徹底して、しっかりやりきることが必要ですし、ミスは絶対に許されません」

 また、岩戸は発足からチームに携わっているが、2023年の鈴鹿8耐ではウイーク中における事前の走行でクラッシュを喫し、ドクターストップにより本戦では走ることが叶わなかった。その悔しさもあり、彼自身にとって2024年の鈴鹿8耐にかける思いも強いという。

「まずは同じようなミスがないよう、自分でメンタルをコントロールできるようにと常に意識はしています。事前テストでも同じところで同じようになりそうでしたが、心の余裕があったので普通にセーブできました。しっかりレースを終えるまでは何があるかわからないので、気を抜かずに集中していきたいです」

 さらにピラティスなども導入しつつ、減量にも努めて身体作りにも精を出しているとのこと。「しっかり動ける身体ができている」と語る岩戸は、事前テストで本番想定のロングランも何度も試みて、さらに予選用のQタイヤでもしっかりと一発タイムを出せている様子だった。

 その成長した姿に、西嶋監督もしっかり手応えを感じていたようだ。西嶋監督は「やはり岩戸亮介は速いですね。毎回僕たちの予想を上回ってきてくれます。チームを引っ張ってくれているので、チームの士気も盛り上がりますし、なくてはならない存在で、ザ・エースライダーです」と語った。

 そんな頼れる存在の岩戸とともにしのぎを削るのは、新たに加わった彌榮とペレスだ。今年からST1000クラスで同チームから初参戦している彌榮、そしてWSSP300(ワールドスーパースポーツ300)やMotoEでの経験があるペレスだが、実はふたりにとっては初めての鈴鹿8耐となる。

 事前テストから耐久仕様のカワサキNinja ZX-10Rをライドした彌榮は、先輩である岩戸にも多くのことを学んでいたようだ。ただ、やはり緊張も感じている反面、課題も多かったという。

「初めての鈴鹿8耐なので緊張はあります。大きなチームからライダーとして任されたので、本当に大丈夫なのかと自分の中でもすごく緊張しています。ただ、普段から全日本ロードも一緒に戦っているチームなので、不安に感じることはないので、自分が走り集中して全力を出し切って頑張るしかありません」

「1000ccは第1戦もてぎから乗り始めて、もてぎとSUGOではこれほど苦戦する感じはありませんでした。鈴鹿に関しては、自分は切り返しがあまり得意ではなく、バイクを動かすのがとても大変なので苦労しています。体力面的にも、タイム的にも全然足りないものばかりなので、改善するところを見つけていきたいです」と彌榮。

 さらに、新しく加わったペレスは事前テストから合流し、完全体となる体制ですでに走行を重ねている。レース経験が豊富なペレスだが、事前テストで初めて鈴鹿サーキットを走行したようで、ある“プチ事件”もあったという。

 岩戸いわく「鈴鹿8耐も日本に来るのも初めてですが、前の日に一緒にコースを歩いている時に、『ここが最終シケインで4輪用だからね』って教えると、『F1で見てるから知っているよ』と言っていました。でも、次の日初めてコースインして最初に4輪用シケインに入っていく姿も見えて、『違う違う!』と焦りました」と語った。

「僕も予感はしていたので後ろに張り付いて、誰もいないかを見ながらケアしていたので事故にはなりませんでした。ただ、ミカ選手のペースは上がってきているのですごく期待していますし、頼りにしています。鈴鹿8耐というレースにはまだ慣れていない感じがあるので、そこはチームでケアしていきたいです」と続けた。

 初めて鈴鹿を走るライダーあるあるな“プチ事件”もあったとはいえ、岩戸を含め、経験豊富な上に期待も集まるペレス。そして、若手として様々なことを吸収して切磋琢磨しながら成長を見せている彌榮。エースライダーとしてチームを牽引しながら、去年の悔しさもバネに鈴鹿8耐に挑む岩戸は、「意地を見せてもらいたい」とふたりの成長と走りに期待している様子だった。

 新たな体制となったKawasaki Plaza Racing Teamが、今年はどのような戦いぶりを見せてくれるのか。そして、強豪が揃うSSTクラスで2年ぶりの優勝を獲得できるか、本戦では彼らがどのようなバトルを繰り広げるのか注目したい。

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