【インタビュー】日本を離れ台湾チアとなった日本人KAHOに聞く、「台湾チア」の奥深い魅力

　野球球場を盛り上げ、選手とファンをつなぐチアリーダー。中でも、台湾プロ野球（CPBL）のチアリーダーは数年来、ネットユーザーや日本のファンからも熱視線が向けられています。

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　台湾では、2023年韓国から楽天に移籍された李多慧（イ・ダヘ）さんが人気に。2024年の台湾チア界には、日本人のチアリーダーが3人誕生しました。

　西武の公式パフォーマンスチーム「ブルーレジェンズ」に所属していたChihiroさんとNozomiさんは統一ライオンズに、東北ゴールデンエンジェルスに所属していたKAHO（高橋佳帆）さんは楽天ガールズのメンバーとなりました。台湾プロ野球チーム6球団で見ると、海外籍のチアリーダーは約11人所属し、盛り上がりをみせています。

　ねとらぼでもこれまでチュンチュン、リン・シャン、Yuki、Kimi、十元などへの取材を通じて台湾チアの魅力をお届けしてきましたが、本稿では、現地から日本向けに台湾チアの魅力を伝える「台湾チアTV」協力の下、台湾で活躍する日本人チア、KAHOさんに話を聞きました。

●台湾チアに惹かれた理由

台湾チアTV　 KAHOさんは、2023年に東北ゴールデンエンジェルスでチアリーダーを始められていますよね。日本のチアを辞めてまで、なぜ、台湾のチアになろうと思ったのですか？

KAHO　一番大事なところですよね。

　初めに興味を持ったのは、2023年7月のYOKOSO（編注：楽天モンキーズが実施した日本をテーマにしたイベントDay）で、東北ゴールデンエンジェルスのチアとして楽天モンキーズから招待いただいて台湾に来たときです。

　それまで台湾の球団については知ってはいましたが、実際に見たのはそのときが初めてで、本当に惹きつけられた、というのが正直な気持ちです。

　惹きつけられた理由は2つあって、1つは台湾の応援方法です。

　日本は「試合観戦」ですが、台湾はお祭りに近い感じ。とにかくみんなで楽しく応援しようという雰囲気は、私がかつて法政大学の応援団チアリーディング部に所属していたときの、神宮球場の大学野球の応援とよく似ているんです。

● 台湾の応援スタイルと個性の尊重

台湾チアTV　お祭り的に盛り上げる感じですか？

KAHO　はい。台湾の応援も、チアが観客の目の前で踊ったり、観客も一緒に踊ったりと、六大学野球の応援と似ているところがあって。そういった光景を目にして、もともと自分が好きだった環境を思い出しました。そこにすごく魅力を感じたんです。

　もう1つは、チア一人一人の個性が際立っていることです。特にこのチームは、髪色ひとつとってみても、自分はこれだっていうのが、一人一人違います。日本や韓国だともう少し画一的というか、衣装も髪型も踊り方も似ていて、全員で魅せることが求められますし、それが人気の要因になっています。

　でも台湾は、個人を尊重する部分が強い。踊りも、「自分がそれが良いと思うならそれを表現しなさい」という感じ。そういうところに私は挑戦してみたいと思いました。

　チームとしての見せ方を重視する日本のチアのやり方は、個々人の個性を強調していくのは難しい。日本とは全く逆の環境になるのはチャレンジングでしたが、ぜひやってみたいと思い台湾に来ました。

台湾チアTV　所属したチアチームを離れ、日本での生活を捨てて、台湾に一人で来られたのはすごいことですね。

KAHO　それぐらい魅力を感じたということです。どうしてもここしかないっていう。2023年7月のイベントではチアとして踊らせていただいたのですが、その後、10月に一人で試合を見るためだけに台湾に行きました。そのときにやっぱりここでチアをやりたいと思いました。

●台湾での活動と生活

台湾チアTV　台湾の楽天に加入されて、違いは実感されましたか？　応援の違いや、チアのシステムの違いなど。

KAHO　日本は野球がメイン。皆さん野球を観に来られているので、それはもう当たり前のことですし、日本にいたときはそれをサポートするのが自分たちの役目だと感じていました。

　台湾は、それが半々というか、ありがたいことにチアへの注目度がとても高いと感じます。チアとしての活動の幅も台湾はとても広く、私は来て良かったと感じます。

台湾チアTV　ちなみに、楽天ガールズ35人全員とお会いできましたか？　仲の良いメンバーや憧れているメンバーはいますか？

KAHO　全員お会いしました。

　大前提として、私からすれば皆さん憧れの存在だったことは、絶対記事に書いてくださいね！（笑）　ユンシー（Yuhi）さんとユハン（Yuhan）さんの2人は日本語が話せて、特にリーダー（紅隊長）をされているユンシーさんは日本で活動していたこともあってか、会うたびに「最近生活どう？　慣れてきた？」みたいな感じですごく気にかけてくれています。

台湾チアTV　ユンシーさんはもともとウェザーガールズですよね？

KAHO　そうです。食事にも誘ってくれて、中国語しか話せないメンバーが一緒のときには、ユンシーさんが通訳のように間に入ってくださって。本当にありがたいです。早く中国語をしゃべれるようになって恩返ししたいと思います。

台湾チアTV　KAHOさんは、台湾にいらっしゃる前から勉強されていたと聞きました。

KAHO　10月に試合を見に来た後から、覚悟は決まっていたのでそこからオンラインの中国語のレッスンを毎日1時間ぐらいやり続けました。その時はまだ（楽天ガールズに）合格していたわけでもなく、台湾に行くことが決まっていたわけでもないのですが、準備の一環として。

　でも、実際に生活してみたら全然ダメでしたね（笑）。言葉が分からなくても活動できることに驚いています。本当に空気を読むことだけでこの1カ月ほど過ごしてきました。

台湾チアTV　 KAHOさんがマネジメント契約を結ばれている事務所には、2024年から楽天ガールズの副キャプテンとなったKimiさんや、2023年のシーズン終了後に楽天ガールズからDRAGON BEAUTIESに移籍されたリン・シャン（林襄）さんもおられます。7月6日には台湾の高雄でイベントに出演されましたが、同じ事務所の方たちとコミュニケーションを取る機会はあったりするのですか？

KAHO　はい。今同じ事務所の先輩方を尊敬して追いかけてきたようなものなので。林襄さんは今はチームが変わってしまってはいますが、Kimiさんともども尊敬しています。7月6日に開催されたビールフェスで一緒に踊らせていただきましたが、その練習で週に何回かお会いしたり。でも中国語がしゃべれないとなかなかコミュニケーションが取れないのであいさつと笑顔、これだけで頑張っています！

台湾チアTV　チアリーダーとしてKAHOさんの、長所、セールスポイントは何ですか？

KAHO　ダンスはもちろんですけど、それはもう当然のことというか、日本はダンスのレベルが高いので、日本の基準で練習するとちゃんとできるようになります。私の強みはやっぱり「めちゃくちゃ体力あります！」に尽きるかなと（笑）。台湾のチアってたくさん踊るじゃないですか。

台湾チアTV　野球の応援いつ終わるか分からないですからね。チャンスが続くと踊り続けないといけないですよね。

KAHO　そうなんです。私は踊り出しから応援曲が何回も続いても、ずっと同じクオリティーで踊れます！　これは強みだと思っています。やっぱりこれ（体力）も大学野球の応援活動がかなり生きています。大学のチアは厳しかったので。

台湾チアTV　いにしえの「練習中に水飲むな」スタイル的な？

KAHO　その時代は終わっていたので水は飲んで良かったんですけど（笑）。暑い中、チャンス法政っていうチャンステーマをずっとやり続けていた過去があるので。当時は先輩方のありがたいご指導もたくさん受けて、本当に休むことが許されなかった。そういう経験もあって体力もついたし、妥協せずに踊り続けられる。それでお客さんも盛り上がってくれたらうれしいです。

台湾チアTV　台湾の生活についてお聞きします。台湾にいらっしゃったのは5月ですが、台湾で生活してみてどんな印象をお持ちですか？

KAHO　すごく感じるのは台湾は優しさの塊だなと。皆さんが助けてくれるんです。メンバーの方だけじゃなく、普通に生活しているときも、大家さんが急に食べ物を届けてくれたり。

　なので、言葉は分からないですが、精神的に追い詰められることなくポジティブな気持ちで生活できています。あとはYou Bike（レンタル自転車、台湾全土にスポットがあり、スポットで乗り捨てが可能）が便利ですね。

台湾チアTV　あれは便利ですよね、最近は電動タイプも増えてきました。

KAHO　台湾に来てこんなに自転車乗るとは思っていなかったので（笑）。いろいろな場所で乗り捨てができるのは、なんて素晴らしい文化なのだと。

台湾チアTV　ちなみに好きな台湾料理はありますか？

KAHO　タピオカ。普通でつまらないか（笑）。最近、自炊が多くて基本的に外食はしないのですが、台湾ってパン屋さん多くないですか？　メンバーの菲菲さんがくれたおいしいパンがあって……名前が分からないけどおいしかったです。ご飯も安くて量が多い。多くないですか？　日本と比べて。

台湾チアTV　多いなと思って頼むと少なかったりするんですけど、（基本は）多いですね。

KAHO　あと、西門の（麺線）ホルモン素麺。すごい人だかりができていたので、何も知らずにチャレンジしてみて、後から有名店だと知ったんですけど。

台湾チアTV　油飯というのも売っていて、それもおいしいですよ。台湾のローカルフードは日本よりもリーズナブルなので、これからいろいろとチャレンジしてみてください。生活はもう順調で、台湾では困ることはあまりありませんか？

KAHO　そうですね。あとは言葉だけ。そこがクリアになるともっと見えてくると思います。ちょっとコンビニに行くだけでも気合い入れて家を出ないといけないというか。日本だったら「コンビニ行くかー」って感じでドア開けられるんですけど、台湾だと「よしっ行くか！」みたいな。結構気合い入れてます、毎日毎日。

●今後の目標と日本チアへの還元

台湾チアTV　これからチャレンジしてみたいことなどはありますか？

KAHO　まだ来たばかりで環境に慣れるのに必死というのが正直な気持ちなので、とにかく目の前の活動を毎日全力で頑張ろうと自分の中で固く決めています。そして、台湾での活動をやり切ってまた日本に戻りたいと思います。戻った後は、この経験を生かして日本のチアに何らかの形で貢献したいと考えています。

台湾チアTV　昨今、台湾や韓国スタイルの応援が日本でも知られるようになり、国際大会、2023年のAPBCでは、日本チームでもジャイアンツのチアがステージで踊って応援していました。そうした文化が広がりつつある中、台湾の経験は生きるかもしれませんね。

KAHO　まさに私も同じ考えです。将来的には、日本に還元したい気持ちが強いです。でも、まず第一に、日本人が台湾でチアをやっていること、台湾のチアがどういうことをしているのかは、もっともっと日本に伝えていきたいと考えています。

　自分が日本人メンバーとして台湾でチアをやっていることや、魅力的なメンバーがそろった楽天ガールズを、日本の皆さんにも伝えていくのが今の私の大事な役目だと考えています。私は本当に楽天ガールズが大好きなので、その良さを伝えたい一心ですね。今は。

台湾チアTV　最後に、日本の方にお伝えしたいこと、メッセージをお願いします。

KAHO　楽天モンキーズの本拠地である桃園は空港から近くアクセスがよいので、ぜひ一度来てください。ネットでも動画を見たりはできますが、実際見るのとでは全然違いますし、私も実際に台湾でチアを見て、楽天ガールズに入りたいと思った人間ですので。

　チアが好きな人も野球が好きな人も、皆さんとりあえず一度来てください！　後悔はさせません！

　最後に、私のインスタグラムのフォローをよろしくお願いします（笑）。