国土交通省では、8月10日を「道の日」として定めている。そうした背景もあり、毎年同日はX上に様々な道路の画像がアップされ、話題を呼んでいるのだが…。
今年は、思わず二度見してしまう情報量の案内標識が話題となっていたのをご存知だろうか。
■こんな標識、初めて見た…
今回注目したいのは、地図情報に造詣の深い「株式会社ゼンリン」公式アカウントが投稿した1件のポスト。
こちらの投稿には「速度10km制限の道(ただし戦車とトレーラーに限る)」と、意味深すぎる文章が綴られている。思わず、流石にそんな道路は存在しないだろう…と首を傾げつつ、ポストに添えられた画像を見ると…。
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そこには確かに「10」「戦車・トレーラー」と表示された、レアすぎる標識が写っていたのだ。
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■「スゴい条件」とネット民驚愕
驚きの情報が満載な標識は瞬く間に話題となり、件のポストは投稿から数日で1,000件以上のリポストを記録。
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特に「戦車」の2文字に度肝を抜かれた人物が多く、Xユーザーからは「戦車? 初めて見た…!」「これまたスゴい条件」「本当に戦車って書いてある…」など、驚きの声が寄せられていた。
ポストを投稿したゼンリンの担当者に確認したところ、件の写真は大分県玖珠郡の玖珠町にある「陸上自衛隊 玖珠駐屯地」付近の道路にて撮影したものと判明。
なお、発見時の心境について、担当者からは「時速10kmって…人が走るより遅い! と思いその下を見ると『戦車』と書いてあり納得…できるわけもなく、戦車用の標識を初めて見たということもあり、今回投稿させて頂きました」と、ノリノリなコメントが得られている。
そこで今回は、こちらの玖珠駐屯地に詳しい話を聞いてみることに。すると、こちらの制限速度が「いかに重要であるか」が、明らかになったのだ…。
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■道路の「誕生経緯」で納得
速度10km制限の道(ただし戦車とトレーラーに限る) #びっくり道路選手権2024 #道の日 pic.twitter.com/eRgeMSVSTQ
— 株式会社ゼンリン (@ZENRIN_official) August 10, 2024
話題の標識が設置されているのは、陸上自衛隊玖珠駐屯地に向かう「玖珠町道37号(上の原線)」である模様。
こちらの道路の詳細について、玖珠駐屯地の担当者は「防衛省の管轄である、防衛省道路となります。当駐屯地より演習の際は、戦車や水陸両用車、その他大きな装備品を日出生台(ひじゅうだい)演習場まで自走で用意する必要があるのです」と、説明する。
つまり、決して「民間の道路を自衛隊が利用するようになった」ワケでなく、もともと防衛省が建設した道路を民間にも開放している…という背景があったのだ。
ちなみに、道路が開通したのは1957年(昭和32年)だが、件の標識が設置されたのは2006年と、比較的最近の話であることも明らかになった。
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■戦車が時速10km以上で走ってしまうと…
中には「10km/h」という最高速度を大げさに感じたり、自衛隊がゆっくり走っている横でスピードを出して良いのだろうか…と不安を覚えるドライバーもいることだろう。
そんな思いが伝わったのか、玖珠駐屯地の担当者は「総重量が40t以上に達する戦車の走行は振動が大きく、地域の方々の安全に配慮しています」と、補足している。戦車のパワーを考えれば、こちらの最高速度は決して大げさではないのだ。
また「最高速度10kmなのはあくまで戦車・トレーラーだけで、民間の車両は対象とならないので、ご安心ください」と、笑顔のコメントを寄せてくれたので、こちらも安心してほしい。
このようにゼンリンのXアカウントでは毎年、「道の日」に合わせて全国のスゴい道路や標識・交差点などをXユーザーに投稿してもらう「びっくり道路選手権」なる企画を実施している。
ゼンリンの担当者は「こちらの標識に限らず、Xにて『#びっくり道路選手権2024』のタグをご覧頂き、多くの皆様に、全国にある様々な道路に関心を持って頂けると嬉しいです」ともコメントしていた。
Sirabee編集部では今後も個性豊かな「びっくり道路」の謎を解明していく所存なので、読者諸君もぜひ一緒にゼンリンの企画を盛り上げてほしい。
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■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)