関空特急「ラピート」運行30周年 かつては難波から29分で直行…“ノンストップ特急”が消えた理由とは

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2024年09月21日 09:20  まいどなニュース

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30周年を迎える南海の空港特急「ラピート」(Nakano/stock.adobe.com)

今年は関西国際空港開港30周年と同時に、関空特急「ラピート」運行開始から30周年を迎えました。「ラピート」は運行当初から50000系が使われています。ラッピングイベントは頻繁に行われていますが、外観デザインや塗装は変わっていません。

【写真】南海はJRと同じ「狭軌」…りんくうタウン〜関西空港間は線路を共用しています

しかし、「ラピート」利用者の変遷により、「ラピート」の停車駅は大きく変わっています。今から見ると運行当初のダイヤに驚くかもしれません。運行当初からの「ラピート」の停車駅の変遷を見ていきます。

運行当初はノンストップだった

現在、難波〜関西空港間で運行するラピートは停車駅の違いにより、「ラピートα」と「ラピートβ」があります。大多数は「ラピートβ」です。「ラピートβ」の停車駅は難波、新今宮、天下茶屋、堺、岸和田、泉佐野、りんくうタウン、関西空港です。

一方、「ラピートα」の停車駅は難波、新今宮、天下茶屋、泉佐野、りんくうタウン、関西空港です。難波〜関西空港間の「ラピートα」の所要時間は34分、「ラピートβ」は37分です。

1994年運行当初も「ラピートα」と「ラピートβ」がありましたが、停車駅は大きく異なりました。「ラピートα」はノンストップ、つまりJR線との接続駅、新今宮駅や大阪メトロ堺筋線との接続駅、天下茶屋駅も通過していました。一方、「ラピートβ」の停車駅は天下茶屋駅、りんくうタウン駅の通過以外は現在と同じです。「ラピートα」の所要時間は最短29分でした。

現在、「ラピートα」が走る時間帯において難波→関西空港は平日朝ラッシュ時間帯、関西空港→難波は夜間時間帯(平日・土休日)です。一方、1994年運行当初、「ラピートα」は昼間時間帯も運行されていました。

「ラピートα」のノンストップ運転が崩れたのは2001年ダイヤ改正です。この時から、新今宮駅と天下茶屋駅停車がはじまりましたが、まだノンストップは残っていました。そして、2003年ダイヤ改正時にすべての「ラピートα」が新今宮駅、天下茶屋駅に停車し、ノンストップ運転は廃止されました。2005年には大半が「ラピートβ」になり、「ラピートα」は大きく減少しました。

なぜノンストップでなくなったのか

「ラピート」のノンストップがなくなり、停車駅が増加した背景には「ラピート」利用者数の減少が挙げられます。

「ラピート」の利用者数に関して、1995年度は300万人を超えました。しかし、1996年度から2000年代前半にかけて減少が続き、2003年度は160万人台まで落ち込みました。この減少は関西経済の低迷を背景にした関西空港の低迷に関連づけられます。

利用者数の低迷から、ラピートにテコ入れが行われました。つまり、他線からの乗り換え客の便宜を図るために新今宮駅、天下茶屋駅に停車。また、「β」の増加に関しては、こまめに乗客を拾う作戦に転じた、と考えられます。

2010年代に入ると、LCC(格安航空会社)の関空乗り入れ、訪日外国人客の増加など、関西空港の利用者数は増えました。これに伴い、「ラピート」の利用者数も増えました。

関西空港アクセス交通機関別輸送人員(1日平均)によると、2013年度は南海約18,000人、JRは約22,000人。2023年度は南海約32,000人、JR約33,000人でした。10年前は南海よりもJRの方が利用者数が多く、現在はほぼ互角。南海の勢いを感じます。

コロナ禍で利用者数は大幅に減少しましたが、現在は順調に回復しています。しかし、「ラピート」のノンストップ運転は復活していません。現在の新今宮駅周辺の賑わいや発展ぶりを見ると、難波〜関西空港間のノンストップの復活は考えにくいと思います。

(まいどなニュース特約・新田 浩之)

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  • ラピートが代走する泉北ライナー乗って来ました♪
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