手を取り合いながら生きてきた老夫婦の美しい時間『SONG OF EARTH』本編映像解禁

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2024年09月23日 16:01  cinemacafe.net

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『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』© 2023 Speranza Film AS
第96回アカデミー賞国際長編映画賞ノルウェー代表に選ばれたドキュメンタリー映画『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』の本編映像が解禁された。

本作は、ノルウェー西部の山岳地帯「オルデダーレン」の渓谷に暮らす老夫婦の姿を、娘でドキュメンタリー作家のマルグレート・オリンが一年をかけて密着撮影したもの。大自然に根を下ろし、シンプルで豊かに生きる両親の姿から、娘は人生の意味や生と死について学んでいく。

『PERFECT DAYS』のヴィム・ヴェンダースと、『仮面/ペルソナ』のリヴ・ウルマンが製作総指揮を担当。2023年北欧ドキュメンタリー映画祭で最優秀撮影賞を受賞するなど、多くの映画祭で称賛を浴びた。

この度解禁されたのは、手を取り合いながら生きてきた老夫婦の仲睦まじい姿を捉えた本編映像。生い茂る緑がまぶしい草原を夫ヨルゲンと妻マグンヒルドが手を取り合いながらゆっくり歩き、ふたりの愛犬が自由に動き回る。マグンヒルドが歌うのはこの地に古くから伝わる民謡。

夕暮れ、ふたりは湖のふもとのたき火のそばで踊り、たき火から火の粉がはじける音が鮮明に伝わってくる。結婚式の時の写真が映し出され、お互いのことを「彼女はユリのように細かった」「彼は想像どおり」当時の印象を笑いながらふり返る。

絵葉書のように美しいのは景色だけではなく、手を取り合い肩を寄せ合うこのふたりの姿もだ。監督はそんな両親のロマンチックな関係について「父と母は本当にずっと仲が良いんです。むしろ、お互いを悪く言っているのを聞いたことがありません」と説明。

さらに、「子どもの頃、例えば私と妹が家で宿題をしていて母が夕食を作っている時、母が急に歌ったり笑い出したりするんです。なんだろうと思って聞いていると父が外で歌っていて、家の中と外でふざけているんですよ。ふたりは本当にいつも笑っていました」と明かす。

ふたりの愛が長く続いてきた理由について「ふたりはいつもお互いに褒め、尊敬し合っているんです。そんなことができるのか?って思うんですよ。でも、ふたりは喜びの時間しか過ごしていなくて、月火水木金土日いつも喜びと笑い声に満ちていました」と、驚きを込めて語っている。

また監督は、「いつか故郷の風景についての映画を撮ろうと、何年も前から考えていました。私たちが最初に覚えた言葉はフィヨルド、滝、山、氷河という言葉なんです。育った環境は、その人の性格や人間性を決定づけるとよく言いますが、私もそう思います」と語る。

雄大な自然と一体になりながら生きてきたヨルゲンがここで見つめてきたものに迫ることを通じて、監督は何を描こうとしたのだろうか。「この映画はゆっくりと進んでいきます。なぜなら、今日の私たちはやることなすことすべてが急ぎすぎて、ペースが速すぎるから。観客には身を乗り出して、父や自然からの贈り物をただ受け止めて欲しいですね」とメッセージを寄せた。

『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』は9月20日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、シネマート新宿ほか全国にて公開。





(シネマカフェ編集部)

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