ギタリスト山本恭司の矜持Part2 想定外の大合唱「あるべき姿に落ち着きました」

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2024年09月24日 05:00  日刊スポーツ

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14年振りに復活したVOWWOWの人見元基(左)と山本恭司(撮影・森島興一)

BOWWOWとVOWWOW、WILD FLAGのバンドに加え、ソロでは「弾き語り・弾きまくりギター三昧」や同郷の俳優佐野史郎(69)との「小泉八雲朗読のしらべ」など、さまざま活動を並行して行うギタリスト山本恭司(68)。ファンが待ち望んだVOWWOW(以下Vバウ)復活の裏側と今後を中心に、その原動力を探った。【川田和博】


 ◇  ◇  ◇  


−実際に2日間やって、どうでしたか


山本 これだけ素晴らしい音楽を自分たちが満足してできて、そして、あれだけのお客さんがもう本当にほぼみんな号泣して喜んでくださる。そんな音楽を僕らは生み出すことができるんだと。


−SNSで「ROCK ME」の大合唱シーンをアップされていましたが


山本 あれはうれしい誤算というか、現役時代にはなかった反応でしたね。コール&レスポンスはやろうと思っていたけど、突然みんなが歌い始めたので、その場でアレンジを変えたんです。だから、「どうやって戻ろうか」と元基とささやいていました(笑い)。Vバウには昔からそういう要素もあったけど、あまりにも皆さんが聴く体制に入っていた。自分で言うのも何ですけど、Vバウはすごいことをやっていたので。聞くところはじっくり聞いてもらい、参加して盛り上げるところは盛り上げてもらう。そんなあるべき姿に、デビュー40周年目にしてようやく落ち着きましたね(笑い)


−今回チケットを入手できず、見られませんでした。それもあって先日「GENKI SESSION」に行きましたが、元基さんが全く衰えていない。ボーカルの場合、どうしても身体が楽器ですから、年齢が影響することもあると思います。でも、全く感じませんでした。


山本 Vバウを歌うのは大変なことなんです。Vバウの2日間は、普通のセッションライブの1週間連続に匹敵すると思います。それでも声がかれたりとかは一切なかった。元基も節制していたみたいです。普段結構飲んでやるのを、ほとんど飲まずにやったりとかね。その辺のプロ意識があった。誰1人として劣化していなかったし、むしろ進化していた。


−進化というと


山本 少なくと僕に関して言えば、自分の辞書に“退化”はないんです。これだけ長く生きていて、誠実に音楽と向き合っていれば、進化し続けるしかない。年齢を重ねれば深みが出ますからね。でもそれを変に怠けたり、「これぐらいでいいか?」にしたら劣化する。だから、僕は小さなライブでも真剣勝負だし、そうやっている人たちに音楽的な劣化は絶対にない。あとは体力ですが、その辺のコントロールも、今回みんなできていたと思っています。


−ライブでは、元基さんのプロ復帰宣言も飛び出したようですが


山本 2日目のMCで「今期より僕はプロに戻りますから」ってね。お客さんはもちろん、僕らも驚きました(笑い)


−これは恭司さんに聞くことではないかもしれませんが、あれだけのボーカリストがあっさり業界を去り、教職へと転身しましたが


山本 プロというと、当時は事務所やレコード会社に縛りみたいなのがあったんです。「自由に音楽をやりたい」というのはミュージシャンの当たり前の欲望なんだけど、「そういうところではあまりやらないでくれ」とか、「こういう人とはあんまりそういう音楽をやってほしくない」とかが、どこかにあったんです。だからまあ、そんなところも含め元基としては嫌だったのかなと思うんだよね。でも今僕らは誰1人として事務所にも、レコード会社にも所属していない。本当に完全なフリーで、自分のやりたいことをやりたい時にやれるミュージシャンの集合体なんです。だから一応表からはプロに見えるけど気持ちはアマチュア。「やりたいことをやりたいようにやる」という、ある意味理想的なんです。そんなこともあって元基も、あえて言うような感じになったんじゃないかな。


−6月のライブでは来年1月の追加公演を発表しましたが、おそらくファンが気になるのは、その後だと思います


山本 正直まだ決まっていません。でも少なくとも、年に1回はやっていきたいという気持ちは、みんなの中に芽生えたと思います。


−恭司さんとしては「できるうちにできることをしていきたい」と


山本 そうですね。自分ができるうちに。そして、ファンが見られるうちにね。それはもう完全にそういう気持ちです。それ以上の気持ちもあるけど、まだそこはちゃんと話し合っていないので、これは僕の中の気持ちです。(つづく)

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