伊藤健太郎、本宮泰風が映画「静かなるドン２」伊藤「役者としての幅広がった」／連載 ＜１＞

＜伊藤健太郎×本宮泰風　対談連載1＞

俳優伊藤健太郎（27）が、公開中の映画「静かなるドン2　前編」に主演している。27日には「−−後編」も公開。伊藤が演じるのは昼間はデザイナーとして会社で働き、夜は3代目新鮮組総長という2つの顔を持つ近藤静也。新鮮組最古参で静也の教育係を務める突撃隊長・猪首硬四郎を演じ、総合プロデューサーも務めるのが本宮泰風（52）だ。伊藤と本宮の対談を、全6回にわたって連載する。【聞き手＝小谷野俊哉】

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原作は新田たつお氏のコミックで、過去には香川照之や中山秀征が主演して、オリジナルビデオや連ドラ化されている。伊藤は昨年の映画「静かなるドン」に続いて主演に起用された。

伊藤　もちろん作品自体の存在は、僕も知ってる有名な作品。そういうものに自分を、しかも静也という役でオファーしていただいたのはすごく光栄でしたしすごくうれしかったですね。

本宮　僕は任侠（にんきょう）作品に深く関わって来てて、これもちょっと色は違いますが、そういうジャンルです。プロデューサーをやってくれないかと言われた時に、僕が知ってるノウハウ、知識を生かすことができれば、作品の役に立てると思いました。主役が伊藤健太郎と聞いて、仕事したことがなかったけど、もちろん興味がある俳優だったので、一緒に仕事してみたいと思ってお受けしました。

伊藤のイメージは、ソフトな今どきの若者。静也はソフト＆任侠。

本宮　いろんなタイプの俳優さんがいて、何でもできるマルチな俳優さんもいれば、コアなものが専門にある人もいる。彼は二枚目の感じが多い。2・5次元出身の俳優さんとか、いずれはみんな年をとっていって自分の幅を広げていかなきゃいけない時が来る。健太郎も、もう30歳目前で、これから彼の可能性をどんどん広げていかなきゃいけない。任侠作品っていうのは絶対に“役者伊藤健太郎”としてプラスになるだろうなと思った。真剣に取り組んでくれれば、きっと彼にプラスになるという思いもあった。「静かなるドン」で初めてヤクザ役をやったのを見て、期待することが多い。任侠作品を盛り上げたいと思っている自分にとっては、彼みたいな俳優にやってもらえればなっていうのがある。

本宮は「日本統一」シリーズなど、現在の任侠作品の第一人者だ。

本宮　僕は若い時からやっていたので、それが当たり前みたいな仕事みたいな感じでやっていました。健太郎は、そういう役をやったことがなくて、30歳前後という年になってやるのは、僕が若い頃にやってたのとは違う、もっと意味深いものになるんじゃないかなっていう気はする。

伊藤が演じる近藤静也は、任侠と普段のデザイナーの時と2つの顔を持つ。

伊藤　こういう任侠ものの作品というか、キャラクターの役柄っていうのは、全くやったことなかった。ただ自分の中でも、いつかチャレンジしたいジャンルでもあると思っている中で、「静かなるドン」っていう作品、そして本宮さんと出会えて、いろいろ教えていただく、やれたっていうのはすごく勉強になりました。なんて言うんだろう。自分で言うのもあれですけど、どこか自分の中でお芝居に対しての幅というものが、ちょっと引き出しが増えた感覚がある。この作品と出会えたことは、この先、自分が役者として生きていく上でターニングポイントというか、重要なタイミングでやらせていただけたなというのは思います。

（続く）

◆伊藤健太郎（いとう・けんたろう）1997年（平9）6月30日、東京都生まれ。「kentaro」名義でモデルとして活動をはじめ、14年にフジテレビ系「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」で俳優デビュー。17年「デメキン」で映画初主演。18年に日本テレビ系「今日から俺は！！」で人気となり、役名「伊藤」から本名の「伊藤健太郎」と改名。19年、NHK連続テレビ小説「スカーレット」。20年、FOD「東京ラブストーリー」、映画「十二単衣を着た悪魔」。23年「静かなるドン」主演。24年NHK大河「光る君へ」。179センチ。血液型A。

◆本宮泰風（もとみや・やすかぜ）1972年（昭47）2月7日、東京都生まれ。妻はタレント松本明子。兄は俳優原田龍二。94年に日本テレビ系ドラマ「シュプールは行方不明」で俳優デビュー。テレビは14年TBS系「S−最後の警官−」、18年テレビ東京系「駐在刑事」、20年にNHK大河「麒麟がくる」など。映画は15年「龍三と7人の子分たち」、22年「劇場版　山崎一門〜日本統一〜」主演など。ビデオ映画は98年「ワル外伝」、99〜00年「日本極道史　仁義絶叫」シリーズ、13年から「日本統一」シリーズなどに主演。趣味は格闘技、野球。185センチ。血液型O。