バスティアニーニとマルティン、アクシデントの見解と、バニャイアの「ありえない」転倒/MotoGP第14戦エミリア・ロマーニャGP

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2024年09月25日 00:00  AUTOSPORT web

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優勝争いは最終ラップの4コーナーで決着した
■ドゥカティ、100勝目の快挙と、2024年コンストラクターズタイトル獲得
 エミリア・ロマーニャGPの決勝レースは、エネア・バスティアニーニ(ドゥカティ・レノボ・チーム)が優勝した。ドゥカティはこのバスティアニーニの優勝により、MotoGPクラスで100勝目を飾った。

 ドゥカティは157勝を挙げているホンダ、125勝のヤマハに次ぐ、MotoGPで100勝目を飾った3つ目のメーカーとなった。また、1949年に始まったロードレース世界選手権の最高峰クラスとしては、ホンダ(313勝)、ヤマハ(245勝)、MVアグスタ(139勝)に続いて4番目に100勝を達成したことになる。

 今回でドゥカティのライダーによる決勝レースの連勝記録を11に伸ばした。今季は、決勝レースではマーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)、スプリントレースではビニャーレスとアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)だけが、ドゥカティ以外で優勝したライダーである。

 さらに、エミリア・ロマーニャGPの結果をもって、ドゥカティはコンストラクターズタイトルを獲得した。同じくコンストラクターズタイトルを獲得した2023年は、10月中旬のインドネシアGPで決定しており、それよりもひと月ほど早いことになる。

 といっても、ここまでの14戦中、決勝レースでは10戦で表彰台を独占しているのだから、当然といえば当然の結果かもしれない。エミリア・ロマーニャGPもまた、優勝したバスティアニーニ、2位のホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)、3位のマルク・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)によって、ドゥカティが表彰台を独占している。

 ちなみに、エミリア・ロマーニャGPと同じ週末に、イタリア北部のクレモナ・サーキットでスーパーバイク世界選手権(SBK)が開催されており、ここでもレース1、レース2でドゥカティが表彰台を独占していた。

■マルティン「あれはやりすぎ」
 こうしてドゥカティ歓喜のエミリア・ロマーニャGPの週末となったわけだが、決勝レース後の会見で喜びとは裏腹の表情を浮かべていたのが、マルティンである。

 決勝レースの最終ラップ、トップを走っていたマルティンは、4コーナーでバスティアニーニにインサイドに入られ、さらに止まり切れずにはらんだバスティアニーニと軽く接触してコースアウト。結果的にバスティアニーニがトップを奪い、マルティンが後退したのだ。

 映像を確認してみても、バスティアニーニは4コーナーで外側のゼブラゾーンまではらんでいる。立ち上がりで後方を振り返っていることから、バスティアニーニも若干の無茶があったという自覚があったのかもしれない。マルティンはこれに対して左手を上げ、抗議するそぶりを見せていた。

 ただ、このアクシデントについては日曜日の「FIM MotoGPスチュワード・パネル・アクティビティ・レポート」に、マルティン、バスティアニーニどちらに関するレポートも載っていない。つまり、調査の対象にはならず、レース後の両者の聞き取りもなかったということだ。

 というわけで、ライダーのコメントを確認していくことにする。

 バスティアニーニは「最終ラップ、4コーナーで仕掛けるしかないと思った」と言う。

「僕としては、たぶん、あれが唯一のチャンスだと思った。セクター3、10コーナーの立ち上がりは彼がすごく強かったんだ。なぜかわからないけど、長いストレートの最後でいつも0.2、0.3秒差がついていた。だからあそこだけが優勝できるチャンスだった」

 そしてマルティンは、冷静な対応を見せつつも、当然、不満をにじませた。

「あれはやりすぎだったと思うよ。彼(バスティアニーニ)はコースの外に出ていたし……」

「3、4周前から、僕の後ろに迫っているのはわかっていたよ。でも僕には自信があった。3コーナーではすごく立ち上がりがよかったんだ。だから、僕はラインをきっちりと閉じたよ。彼にパスされないようにね。誰も飛び込めないはずだった。でも、もちろん彼はインサイドに入ってきた。僕はバイクを起こし、そして接触もした」

「このまま話していても何も変わらない。でも、彼がラインにとどまっていたら、少なくともコースにとどまっていたら問題なかったんだ。僕がワイドになっただけだ。でも、彼は外側にはらんだ」

 マルティンは「決定を尊重する」としながらも、レースディレクションの決定に一貫性がない、とも言及している。

「僕たちは時々レースディレクションと話をする。でも、いつもはっきりしないし、一貫していない」

 このアクシデントに関して意見を求められたマルケスは、バスティアニーニがペナルティを科されるべきだったと述べている。

「リプレイを見ると、エネアはコースのインサイドにバイクをとどめておくことができていなかった。だから、僕の意見としては“ポジションダウン”。でも、レースディレクションが決定したからね」

■バニャイア「何もかもがおかしかった」
 そして、フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)もまた、喜べないレースの終わり方をした一人だった。

 レース序盤に3番手に後退し、トップのマルティン、2番手のバスティアニーニとの差を広げられていたバニャイアだったが、15周目、16周目にファステストラップを連発した。16周目に記録した1分30秒877は、ファステストラップのレコードを更新するものだった。

 だが、21周目、バニャイアは8コーナーの進入で転倒を喫してリタイアとなった。まだほとんどバイクをバンクさせていないうちからフロントタイヤが切れ込む、奇妙な転倒だった。

 バニャイアは、MotoGP.comのインタビューで以下のように答えている。フロントタイヤだけではなく、リヤタイヤもまた、奇妙な働き方をしていたようだ。

「リヤタイヤが機能し始めたのは、15周目以降だったんだ。信じられないことだよ。その後、僕はあまりフロントを使いすぎることなく攻めていった。フロントにあまりいいフィーリングがなかったから」

「そのあと、ブレーキングの前にフロントが切れ込んだんだ。僕は18、20メートルくらい前にブレーキをかけ始めるんだけど、バイクを傾けることなくフロントを失った。フロントの角度は32度だったし、ドライコンディションで(この状態の)フロントが切れ込むなんてありえない。今日は何もかもがおかしかった。ただ、ここ3戦で、こういうことが起こるのは2回目だ。次は他のライダーにこういうことが起こるかもしれない」

「懸命に取り組んで、速く走り、誰よりも強かったんだ。優勝できるポテンシャルがあった。でも、コントロールできないことだった。そしてこういう結果になった。なんとも言えないけど、3位を獲得できたはずだ。残念だし、すごく悔しい。怒りを感じているよ」

 ポールポジションを獲得し、スプリントレースで優勝したバニャイアは、決勝レースもまた、優勝候補の筆頭であるはずだった。不満を口にするのも無理はない。

 エミリア・ロマーニャGPの結果、チャンピオンシップとしては、ランキングトップのマルティンとランキング2番手のバニャイアとの差は、24ポイントに拡大した。

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