米最強馬フライトラインの父「タピット」 日本では芝・ダ問わず活躍馬を出す万能種牡馬

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2024年10月01日 08:00  netkeiba

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「米最強」のタピット産駒フライトライン(c)netkeiba
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【タピット】

 芦毛の馬体がトレードマークで、現役時代は肺の感染症、脚の腫瘍、喉の疾患に悩まされてベストコンディションで走るチャンスに恵まれませんでした。しかし、それでも米G1ウッドメモリアルSを勝ったように、潜在能力の高さを感じさせる馬でした。種牡馬となってから大成功を収め、2014年から3年連続で北米チャンピオンサイアーに輝きました。その座から陥落したあとも、近年のアメリカ最強馬フライトライン(6戦全勝で米年度代表馬)を出しています。

 日本ではテスタマッタがフェブラリーSを勝ったほか、ラニ(UAEダービー)、ラビットラン(ローズS、ブリーダーズゴールドC)などコンスタントに活躍馬が出ており、ラニはリメイク(コリアスプリント2回、リヤドダートスプリント、カペラS、クラスターC)の父となっています。海外ではコンスティトゥーションが後継種牡馬として成功しています。

 基本的にはダート向きで、距離は万能。配合次第で芝寄りの仔も出し、GIを6勝したグランアレグリアの母の父となっています。同馬以外にも、ララアの仔でサラスとシャムロックヒルの姉妹がマーメイドSを勝つなど、ブルードメアサイアーとして優秀な成績を収めています。母の父としての成績は、芝58勝、ダート50勝。連対率は芝23.3%、ダート18.4%。わが国に繋養される芝向きの種牡馬と交配されると芝寄りに出る傾向が見て取れます。

◆血統に関する疑問にズバリ回答!

「すっかり見なくなったニジンスキー系ですが、存続していますか?」

 JRAにおける最後の重賞制覇は2007年10月20日。マイネルシーガルの富士Sです。この年はサンツェッペリンが京成杯を、エリモハリアーが函館記念を勝つなどニジンスキー系が気を吐きましたが、翌年以降は絶えています。

 ダートグレード競走は2010年11月4日に北海道2歳優駿を勝ったカネマサコンコルドが最後。地方競馬の重賞では、2021年5月13日に園田競馬場で行われたのじぎく賞をクレモナが勝っています。その父系はクラグオー→クラキングオー→スズカコバン→マルゼンスキー→ニジンスキーとさかのぼります。父クラグオー(2010年生)は2024年も種牡馬登録されており、北海道日高町のT・H・Tステーブルにてプライベートで供用されています。まだ強豪を出す可能性はあるでしょう。

 世界的に見ると南アフリカのウェルシンゲトリクス(Vercingetorix)のラインが最後の砦です。父シルヴァノは同国で5回チャンピオンサイアーとなった名種牡馬で、父系はシルヴァノ→ロミタス→ニニスキ→ニジンスキーとさかのぼります。ウェルキンゲトリクスはジェベルハッタ(首G1・芝1800m)、デイリーニューズ2000(南アG1・芝2000m)などを制した国際的な強豪で、ジャスタウェイがドバイデューティーフリー(首G1・芝1800m)をレコード勝ちしたときに2着となった馬でもあります。種牡馬としては2020-21年シーズン以降、2→2→3→2位と上位をキープしており、首位に立つ日も近そうです。

 グリーンダンサーを経由したサンデサン(Saint des Saints)のラインが欧州障害界で勢力を保っていますが、平地競馬に還流することはないと思われます。

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