実売7980円! Ring初のパンチルト対応カメラ「Ring Pan-Tilt Indoor Cam」を試して分かったこと

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2024年10月03日 12:31  ITmedia PC USER

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「Ring Pan-Tilt Indoor Cam」。実売価格は7980円で、写真のホワイトに加え、ブラックモデルも用意される

 Ringの「Pan-Tilt Indoor Cam」は、上下/左右の首振り、いわゆるパンチルトに対応した、屋内向けのネットワークカメラだ。


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 ドアベルも含め多彩なラインアップを展開するRingのカメラデバイスだが、パンチルト対応のカメラは屋内屋外向けを問わず本製品が初ということになる。メーカーから製品を借用したので、レビューをお届けする。


●従来の「Indoor Cam」にパンチルト対応の台座が合体


 本製品の外観は、従来の屋内向けカメラ「Indoor Cam」のボディー下部に、パンチルトを行うための台座が合体したかのようなデザインになっている。スマホアプリからの操作によって、台座が回転し、さらに前傾および後傾する仕組みだ。


 一般的なパンチルト対応カメラは、向きを変えても目立たないよう、ボディーが球形になった製品も多いが、本製品はボディーがダイナミックに可動するため、カメラがどちらの方向を向いているのか、遠目にも一目瞭然だ。筆者もこれまでさまざまなネットワークカメラを見てきたが、ここまで大胆に動作するパンチルト対応カメラは珍しい。


 本製品はプライバシー対策として、カメラのレンズを覆うカバーも搭載している。従来のIndoor Camにもあった機構だが、バネによって開閉がより行いやすいよう改良されており、使い勝手はよい。ただし、樹脂製ゆえのチープな感触は相変わらずだ。


 なお、このプライバシーカバーは手動でしか開閉できず、アプリからのリモート操作で開けることはできない。目的を考えると当然の仕様なのだが、うっかり閉めたまま外出すると帰宅まで映像が見られなくなるので要注意だ。


●パンチルト以外の機能は従来の屋内向けモデルとほぼ同一


 セットアップにあたっては、まずスマホで「Ring」アプリを開き、QRコードを読み取って製品を認識させる。そこからはアプリの指示に従うだけでよい。


 手順としては至って普通で迷うところはないが、Ringのカメラの場合、初回のセットアップ時点であらゆる項目を設定するため、かなりの時間がかかる。他社製品が、詳細な設定は後回しにしてまずは基本設定だけで使えるところまで持って行くのとは対照的だ。取り付け作業を含め、余裕のある時に作業することをお勧めする。


 アプリの機能は、従来の屋内向けモデルとほぼ同一だ。ホーム画面に並ぶカメラ一覧の中から本製品をタップすると、保存済みの映像を表示したり、あるいはライブ表示に切り替えたりすることができる。マイクを使って呼びかけたり、サイレンを鳴らしたりする機能についても、従来の屋内向けモデルと変わらない。


 画角についても、従来の屋内向けモデルとほぼ同じとなる。一般的にパンチルト対応のモデルは、本体の向きを自由に変えられることから、カメラ自体の画角は狭めであることが多いが、本製品はそうしたこともない。ナイトビジョンの感度についても、これまでの屋内向けモデルと違いは感じられないので、共通の部品を使っていると考えられる。


 パンチルト以外で唯一大きな違いは、設定画面の「プライバシー設定」にあったプライバシーマスク機能がなくなっていることだ。これはカメラの角度が固定であることを前提に、カメラが映すエリアの内、特定範囲を記録されないようにする機能なので、パンチルト対応の本製品で省かれたのは理解できる。


 競合製品との比較ではどうだろうか。現在市販されている製品の中で本製品に比較的近いのは、アトムテックの「ATOM Cam Swing」あたりだろう。こちらは屋外利用にも対応する他、ナイトビジョンがカラーに対応するのが大きな相違点だが、同じくパンチルトに対応しており、ボディーサイズも非常に似ている。


 実際に両者を並べて操作してみたが、機能面でもよく似ており、画角もほぼ同等だ。さらに後述するパンチルトの操作方法もよく似ている。メモリーカードへの録画にも対応するATOM Cam Swingに対して、本製品はクラウド録画のみであるなど細かい違いは多数あるのだが、パンチルト対応という条件で探すならば、この両者で比較検討することもありそうだ。


●パンチルト操作はレスポンスも良好でストレスなし


 さて、本製品の注目ポイントは何といってもRingのカメラとしては初となる、パンチルトの操作性だろう。これまでの同社のカメラは固定画角の製品ばかりだっただけに、パンチルトの操作性の良し悪しは気になるところだ。


 結論から言うと、基本的な機能は過不足なくそろっており、使い勝手も良好である。アプリ下部にある「回転」というメニューをタップすると、上下左右に操作できるコントローラーが出現する。これをタップして左右方向のパン、上下方向のチルト操作を行う仕組みだ。


 レスポンスはきびきびとしており、タップしたのに無反応でもう一度タップしたところタップ2回分がまとめて動いてしまうといった、ストレスの原因になりがちな動作はない。小刻みな動きにも対応しており、前述のATOM Cam Swingではありがちな、角度の変更が行き過ぎてしまって戻すとまた行き過ぎてしまうといった挙動も見られない。


 この他、設定画面からはホームポジションの指定や、カメラがあらぬ方向を向いてしまった時にリセットする機能も用意されているなど、パンチルト対応のカメラとして、基本機能は過不足なくそろっている。


 ただし基本機能は充実している反面、多機能というわけではない。具体的には、ホームポジション以外に複数のポジションを登録し、ワンタップするだけでそれらに切り替える機能や、それらを自動巡回するような機能はない。また、被写体を自動追従する機能も搭載していない。このあたりは先行メーカーの製品に比べ、控えめな印象だ。


 とはいえ他社製品ではどれだけ機能が多くとも、タップしてからの反応が遅く、イライラさせられることも少なくないので、常時きびきびと動く本製品の印象は悪くない。将来的に機能が増えていけば、そういった他社製品をトータルで上回る可能性は高いだろう。


 なおパンチルト関連で気をつけたいのが、本体を極端に傾けた状態でパンチルトを行うと、バランスを失ってカメラが転倒する可能性があることだ。何せ本製品は左右360度 上下169度と広範囲に可動するため、カメラを大きく傾けた状態から回転させようとすると、重心が不安定になるのは当然だ。


 本製品は壁掛けでの設置や、天井への取り付けにも対応しており、こちらの場合は固定されていることからこういった問題は発生しない。デスク上などに据え置きで設置する場合も、何らかの方法で台座を固定した方が、利用にあたって気を使わずに済むだろう。


●実売7980円! 手が届きやすいパンチルト対応カメラ


 以上のように、パンチルト対応のカメラとしては決して多機能とまでは言えないものの、基本に忠実な設計で、使っていてストレスがたまらないのは秀逸だ。本体の不安定さについてはユーザー側で対処する必要はあるが、Ringブランドで統一しているユーザーにとっては、待望のパンチルト対応ということで、宅内でフィットする環境も多いのではないだろうか。


 実売価格は7980円と、屋外利用にも対応しながら5680円という前述のATOM Cam Swingには及ばないものの、本製品も十分にリーズナブルといって差し支えない価格帯だ。従来の固定画角の屋内向けモデルのIndoor Camが4980円なので、価格のバランスも妥当だろう。手の届きやすいパンチルト対応カメラとして、今後のセールなどでも人気商品となるのは間違いなさそうだ。



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