日本HPの「OmniBook Ultra Flip 14」は、GPT-4を実質無料で使えるCore Ultra 200V採用のAI PCだ! 20万円切りのQualcomm搭載モデルも追加

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2024年10月05日 07:21  ITmedia PC USER

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OmniBook Ultra Flip 14 AI PC

 日本HPは10月4日、新型のコンバーティブル型2in1 PC「HP OmniBook Ultra Flip 14 AI PC」を発表した。直販サイトでは既に受注を開始しており、10月下旬以降に出荷を開始する予定だ。直販標準価格は24万9700円からとなる。


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●OmniBook Ultra Flip 14の概要


 OmniBook Ultra Flip 14は、9月24日(米国太平洋夏時間)にグローバル発表された新型モデルで、HPの2in1 PCとしては初めて「新しいAI PC(Copilot+ PC)」の要件を満たしたモデルとなる。


 本製品はHPの新ブランドルールを適用している。「OmniBook Ultra」は個人向けプレミアムノートPCという位置付けで、従来ブランドに当てはめると「Spectre」に相当する。


 そのこともあり、本製品は旧Spectreシリーズのデザイン要素を継承している。ボディー背面の「(Spectre)カットエッジ」も健在だ。ボディーカラーは新色の「イクリプスグレー」で、ビジネスシーンで利用しても違和感はない。


 SoC(CPU)はIntelのCore Ultra 200Vシリーズを搭載しており、全構成が「Intel Evo Editionプラットフォーム」に準拠する。


 10月4日時点ではCore Ultra 5 226V(Pコア4基+Eコア4基/16GBメモリ)を備える「スタンダードモデル」、Core Ultra 7 258V(Pコア4基+Eコア4基/32GBメモリ)を備える「パフォーマンスモデル」の2モデルを用意している。12月をめどに、動作クロックの高いCore Ultra 9 288V(Pコア4基+Eコア4基/32GBメモリ)を搭載する「スプリームモデル」も追加される予定だ。


 ストレージはPCI Express 4.0接続のSSDで、容量はスタンダードモデルとパフォーマンスモデルが1TB、スプリームモデルが2TBとなる。OSは全モデル共通でWindows 11 Homeをプリインストールする。Copilot+ PC固有の機能を利用するには、11月に配信予定のWindows Updateを適用する必要がある。


 ディスプレイは2880×1800ピクセル(アスペクト比16:10)表示の14型有機ELで、タッチ操作/ペン入力に対応する他、DCI-P3の色域を100%カバーしている。リフレッシュレートは48〜120Hzの可変式で、輝度は最大400ニトだ。


 パフォーマンスモデルとスプリームモデルについては、純正の「HP リチャージャブル MPP2.0 アクティブペン」が付属する。その名の通りMPP2.0準拠の充電式で、本体側面に磁力で取り付けられるようになっている。スタンダードモデルも、MPP2.0規格のアクティブペンを別途用意すればペン入力可能だ。


 Webカメラは約900万画素で、顔認証用の赤外線撮影にも対応する。このカメラとNPUを生かした画質改善機能「Poly Camera Pro」(後述)を搭載する他、「ページ送り」「音量アップ/ダウン」などに対応するジェスチャー操作機能も備えている。


 キーボードはLEDバックライト付きの日本語配列で、Copilotキーもある。日本市場のユーザーの動向を踏まえて、本製品の日本語キーボードは方向(カーソル)キーの形状を他言語とは変えている。キーボードの右上にある電源ボダンは、指紋センサー付きだ。


 キーボードの下部には大型のハプティックタッチパッドを備えている。


 ポート類は、左側面にUSB 10Gbps(USB 3.2 Gen 2) Type-C端子とイヤフォン/マイクコンボ端子を、右側面にTunderbolt 4(USB 40Gbps/USB4 Type-C)端子×2を備えている。


 USB Type-C端子は、いずれもUSB PD(Power Delivery)規格の電源入力と、DisplayPort Alternate Modeによる映像出力に対応している。


 本体サイズは約313(幅)×216(奥行き)×14.9(厚さ)mmと、従来のSpectreシリーズの14型2in1モデルよりもコンパクトになっている。重量は約1.34kgで、コンバーティブル構造のモデルとしては比較的軽量な部類に入る。


●GPT-4が実質無料で使える「HP AI Companion」


 HP OmniBook Ultra Flip 14には、本製品を含むHP製Copilot+ PC共通の独自AIアプリ「HP AI Companion」がプリインストールされている。


 このアプリはAIによって日々のタスクの質を高めることをコンセプトとしており、大きく「Discover」「Analyze」「Perform」の3機能を備えている。


Discover


 Discover機能では、OpenAIが開発した言語モデル「GPT-4o」を活用して、「情報の検索」「コンテンツの生成/要約」「AI関連情報の提供」などを行う。ChatGPTのような対話型インタフェースを備えており、ユーザーは文章で質問すると、それに回答してくれる。


 HP製品の使い方の質問の他、一般的な質問にも対応している。文章制作の補助や企画のアイデア出しのような用途にも活用可能だ。


Analyze


 Analyze機能では、本製品に保存されているユーザーの個人ファイルやドキュメントを効率的に分析し、有用な情報を抽出する。テキスト/PDF/Word(docx)ファイルに対応しており、最大5つのカスタムライブラリーを作成可能だ(容量は1つ当たり最大100MBまで)。


 この機能を使うと、「長文レポートの要約作成」「複数文書の比較分析」「重要ポイントの自動抽出」「大量データからの特定情報のフィルタリング」などが行える。例えば、20ページの市場調査レポートを1ページに凝縮したり、異なる部署の予算案を比較して共通点や相違点を自動的にハイライトしたりできる。


 ユーザーは自身のデータセットに対してAI分析機能を適用し、業務や学習の生産性を向上させることができる。


Perform


 Perform機能は、AIを活用してPCのパフォーマンスを最適化する機能だ。デバイスドライバ、UEFI(BIOS)を始めとする各種ファームウェアを常に最新かつ適切に維持し、常にPCをベストパフォーマンスで利用するための手助けをしてくれる。


 これを実現すべく、本製品では「パフォーマンスアシスタント」がバックグラウンドで動作しており、最新構成に更新しようとする際はアプリが通知するようになっている。


 また、チャット形式のインタフェースを通じて、PCに関する技術的な質問やトラブルシューティングも行える。


 上記の機能を利用する際のプライバシーだが、ユーザーが入力したプロンプトの内容はモデルトレーニングに使用されないようになっている。ただし、一部の機能ではデータを解析するためにクラウド上にアップロードする必要がある。


 現在、HP AI Companionは「HPアカウント」の作成/ログインをすれば無料で利用できる。本機を購入したユーザーは、高度なAI機能を追加コストなしで活用できる環境を手に入れられるが、将来的には月間200プロンプトの制限を設ける可能性があるという。


 ユーザーは高度なAI機能を追加コストなしで活用できる環境を手に入れられる。


●NPUを活用した「Poly Camera Pro」


 先述の通り、本製品にはNPUを活用したカメラ画質改善機能としてPoly Camera Proが搭載される。


 その名の通り、この機能は会議ツールの開発を担う「Poly(ポリ)」部門の協力のもとに開発されている。主な機能として「光量/フォーカスの自動調整」「背景ぼかし/バーチャル背景の追加」「補正フィルターのリアルタイム適用」オートフレーミング」などに対応している。


 処理にNPUを使うことで、CPUやGPUへの負荷を軽減し、消費電力を削減できるため、長時間のビデオ会議でもPCの性能低下やバッテリー持続時間への影響を最小限に抑えられる。本機能は基本的にアプリに依存しないため、「Zoom」「Microsoft Teams」「Skype」「Google Meet」など、さまざまなコミュニケーションアプリで有効だ。


●法人向けモデル並みの高度なセキュリティ機能を搭載


 OmniBook Ultra Flip 14では、HPの個人向けPCとしては初めて「HP Wolf Security for Consumer」を搭載している。名前で分かる人もいるかもしれないが、これは同社の法人向けPCに搭載されていたセキュリティソリューション「HP Wolf Security」を個人向けにアレンジしたものだ。


 その“源”となるのが「HP Endpoint Security Controller(ESC)」だ。これは物理的に隔離され、暗号で保護されたハードウェアベースのマイクロコントローラーで、OSの下位レイヤーに位置している。


 このESCを使って提供される「HP Sure Start」は、UEFIに改ざんがないかどうかをハードウェアベースでチェックする。もしも改ざん(不正な状態)が検出された場合は、自動的に正常なUEFIを書き戻すようになっている。


 HPは、AI機能の普及に伴って個人データの活用が進むことで、個人向けPCにおいてもセキュリティとプライバシー保護の重要性が増すと考えているという。そのニーズに応える形で、コンシューマーモデルにもWolf Securityを搭載することにしたという。


●「新しいAI PC」を積極的に投入する日本HP


 HPでは、5月以降に発表されたPC(ゲーミング製品を除く)に新ブランドルールを適用している。それに併せて、Copilot+ PCの要件を満たすモデルには新しいマーク「HP AI Helix」を付与している。これはDNAのらせん構造をモチーフとしており、「AIのDNAをPCに組み込む」というコンセプトを表しているという。


 10月4日に開催された新製品発表会では、日本HPが新しいAI PCを積極的に投入する背景が説明された。


 HPが定期的に実施している「Work Relationship Index」の2024年調査によると、世界12カ国のナレッジワーカーのAI利用率は66%に達し、前年比で28ポイント増加したという。


 この利用率は12カ国の合算で、日本に絞るとAI利用率は38%で、前年比で11ポイント増加したものの、他国と比べると遅れが見られる。AI活用者の73%はAIによって「仕事が楽になった」と感じ、68%は「仕事を楽しむ新たな機会を得られた」と回答するなど、AI活用に対する肯定的な反応が増加している。


 特にZ世代とミレニアル世代の若年層でAIの利用が進んでいるという。


 仕事や学習においてAIの活用が進む中、HPは新しいAI PC(Copilot+ PC)を積極的に開発/販売することで、人々のライフスタイルの変化に対応しようとしている。同社はPCの役割は「パーソナルコンピュータ」から「パーソナルコンパニオン」に変わるという前提の元、活動を進めている。


 日本HPの松浦徹執行役員は「AIの活用というのは、若い人に限定したものではない。AIを今後活用していこうという方々全般に向けた製品になっている」と述べた。


●Snapdragon X搭載の「OmniBook X 14」にアップデート


 今回の発表はOmniBook Ultra Flip 14がメインだが、QualcommのSoCを搭載する「HP OmniBook X AI PC」にもアップデートが行われる。


「Snapdragon X Plus」構成が廉価モデルとして登場


 既存のOmniBook X 14は、Snapdragon X Elite(X1E-78-100)と16GBメモリを搭載する構成(アドバンスモデル)のみ用意されていたが、新たに「Snapdragon X Plus」の8コア仕様(X1P-42-100)を搭載する「スターターモデル」が追加される。ストレージは512GB SSDで、ディスプレイの最大輝度が300ニトから400ニトに引き上げられた。直販標準価格は19万8000円と、20万円を切っている。


「Snapdragon X Elite」構成にはメモリ増量モデル


 また、既存のSnapdragon X Eliteモデルをベースに、メモリを32GBに倍増した「アドバンスプラスモデル」が10月下旬に登場する。本モデルもディスプレイの最大輝度が400ニトに引き上げられている。直販標準価格は26万9500円だ。



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