サッカー日本代表の板倉滉と堂安律は安定感と存在感 町野修斗とチェイス・アンリはうれしい活躍 ブンデスリーガ4選手の現在地

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2024年10月07日 17:11  webスポルティーバ

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ブンデスリーガで日本人選手たちが活躍している。10月のW杯アジア最終予選を戦う日本代表に選ばれた板倉滉や堂安律、すでに4得点の町野修斗やCL出場のチェイス・アンリら4選手のプレーぶりを、現地ドイツで取材を重ねるライターの林遼平氏が詳しくレポートする。

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【安定感のある選手として評価】

板倉滉(ボルシアMG/DF)

 今回の日本代表に選ばれた板倉滉選手は、ドイツ国内でも基本的にチームのなかで安定感がある選手として評価されています。今シーズン、ここまで2勝4敗と苦しい戦いが続いていて、ちょっと失点も多いんですけど、シュツットガルト戦(9月14日)後にはジェラルド・セオアネ監督が「滉はシーズン序盤から非常にいいスタートを切っており、タックルにも非常に積極的だ」という評価を口にしていました。

 特に今季はチーム全体のやり方として、昨年以上に後ろからボールをつなぐ意識が高まっていて、板倉選手自身もいかにボールを前につなげていくかという部分にフォーカスしています。ただ、いい時間帯は前の選手がボールを受けに来てくれるけど、難しい時間帯はなかなか預けるところがない状況もあって、その辺がもう少しうまくいけば、チームとしても勝利が増えていくかなと話していました。

 ただ一つ心配しているのは、先日のウニオン・ベルリン戦(9月28日)ですごくいいパフォーマンスを見せていたんですけど、肩を痛めたシーンがあったんです。現地メディアも「深刻なケガなんじゃないか」と報道していて、そこは今後少し心配です。(10月4日に行なわれたアウクスブルク戦ではフル出場を果たした)。

 代表に関しては、アジアカップで少しミスがあって不甲斐ない思いをしたなかで、今後の代表で自分がもっとやっていかないといけない思いをより強めたと話していました。その点で今後の日本代表の守備陣を彼がどれだけ引っ張っていけるかは、ポイントになってくると思います。

【攻守に貢献で存在感を発揮】

堂安律(フライブルク/MF)

 堂安律選手は今季も開幕からスタメン出場を続けるなかで、これまでのキッカーの採点(第5節終了時点)だと平均で3.15となっています。開幕戦で点を取ったり、ハイデンハイム戦(9月21日)で見事な点を取ったりと調子のよさは感じます(10月5日のブレーメン戦で今季3点目)。

 ただ、前々節のザンクトパウリ戦(9月28日)後に話を聞いた際には「まだまだコンディションはフルじゃない。誰が見ても今の自分は調子がいいんだとわかるぐらいまで上げていかないと」という話をしていました。

 個人的に見る感じでは、チームですごく存在感があると思います。守備で貢献できるし、攻撃でも違いを見せられる。調子がいいんじゃないかと思っていたところで、さらにコンディションを上げていくわけですから、ちょっと楽しみにしています。

 チームとしてはザンクトパウリ戦の敗戦は物足りなさがあったと思います。今季はユリアン・シュスター監督に変わりましたが、以前にも指摘したようにちょっとしたミスで点を取られてしまう。堂安選手が周りとすごくコミュニケーションを取りながら「こうやっていこうよ、もうちょっとタイミング合わせてよ」みたいな感じで言っていたんですけど、なかなかそういう状況にならなかったです。そうしたタイミングを合わせないといい攻撃ができないとも話していたので、そこは難しさを感じているのだと思います。

 代表ではウイングバックでの起用も増えて、攻守に貢献できるようになったと感じます。もちろんアジアの戦いになると相手が引いてくることが多くて、攻撃に目が行きがちですけど、やはりフライブルクで学んだ守備面。相手からボールを奪ってチャンスを作るところに変化が出ています。そこがうまくいっているからこそ、起用されていると思いますね。

 久保建英選手との関係性のよさが言われますが、やはり堂安選手は近いポジションの選手とワンツーでゴール前へ入っていくプレーなどを得意とするので、プレースタイル的に合うのかなと思います。

 ザンクトパウリ戦も、もう少し近くに仲間がいてくれたらボールを動かしていけたシーンも多かったです。近くに仲間がいて、そこをうまく使ったり、使わずにダミーにして動いたりができる。ブレーメン戦ではまさに周りの選手の動きを使って、カットインからゴールを決めましたし、そこは代表戦につなげてほしいです。

【万能型ストライカーへ】

町野修斗(キール/FW)

 ここまで得点ランキング5位タイ(4得点、第6節終了時)と、町野修斗選手は"すばらしい"と言いたいんですけど、少し難しいのはチームがまだ勝てていないことです(0勝2分4敗)。ストライカーとして点を取るのはもちろん評価の基準にはなると思いますが、チームを勝たせたいと本人も言っていましたし、チームを勝たせる得点になっていないのが気になります。

 キッカーの採点も前節の5試合までで平均3.5なんですけど、これが勝利につながっていたら評価はさらに高まると思っています。そういうところを考えると、ここまですばらしいパフォーマンスは続けているけど、チームとして勝っていくことがもう少し必要なのかなと思います。

 プレーに関しては、守備面でもかなり走りますし、2トップの一角に入ったら前線のターゲットマンとしてプレーできる。トップ下に入ったら自分でボールを引き出して、周りを使ったりもできる。万能型ストライカーとして相当確立されてきていると感じます。今後さらに得点を重ねてほしいですね。

 開幕前に「ブンデスリーガでの戦いにワクワクしている」と話していたなかで、あらためてここまでどうかを聞いたら、バイエルン戦の大敗(9月14日、1−6)のことも話しつつ「攻撃に関しては割とチームとしてうまくやれている。ただ、僕自身も含めてイージーミスが多く、そういうところで失点が止まらない状況になっているのが想定外」と話していました。本人自身はやれている感覚はあるものの、チーム全体の出来には納得がいっていない感じのようです。

 今回は残念ながら日本代表に選出されませんでしたが、カタールW杯のメンバーだったこともあり、森保一監督もわかっているところがあると思いますし、タイミングを見ているんじゃないかなと思います。これから結果をさらに残し続けていけば、間違いなく呼ばれる選手だと思います。

【対人の強さで出場機会をつかむ】

チェイス・アンリ(シュツットガルト/DF)

 ここまでで一番の驚きですね。途中出場を含めてこれほど出続けたりするとはまったく思っていなかったので、開幕前の予想に関して申し訳なかったと言いたいです。

 今季の使われ方を見ると、センターバックだけでなく、途中出場で右サイドバック(SB)や左SBでも起用されていて、日に日に自信がついてきていると感じます。それに、ほかの日本人選手と比べても、監督が会見で名前を出すことが多いんです。もちろん質問が出てくるのもあると思いますが、コメントで出てくるのはそれだけ監督が気にしている証拠。シュツットガルトのセバスティアン・ヘーネス監督からは、彼を育てていこうという思いを感じます。

 通用しているのは、やはり対人の強さです。それこそチャンピオンズリーグのレアル・マドリード戦でヴィニシウス・ジュニオールと対峙しましたけど、「2回目からはそんなに相手が力を入れてなかった」と言ってはいましたが、しっかり対応できていたり、高さ勝負や球際の勝負では本当に強さを発揮しています。

 面白いなと思ったのは、レアル・マドリードと対戦した上で「結局あのレベルも慣れだと思う」と話していたことです。「あのレベルでも慣れればいけると思う。だから、こういう試合をいかに経験するかが大事」と振り返っていて、相手の運動量や体の作りの凄さを感じつつも、そこを身につけつつ試合を経験していけば慣れてくるんじゃないかと。

 そんな言葉にも少なからず手応えを感じますし、レベルの高いチームに対してやれるという自覚が出てるのはすごいと思いますね。

 日本代表に呼ばれるタイミングは、スタメンに定着してからではないでしょうか。今は出たり出なかったりの状況で、もし日本代表に呼ばれてしまうとインターナショナルマッチウィークの間にほかの選手が台頭してきてしまう可能性もある。

 そこは森保監督もすごく考えていると思いますし、本人としても今はまずクラブと思っているところなので、まずはチームで頑張ることが大事だと思います。

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