“怒られるのが怖いから上司に従う”が企業不正につながる 組織崩壊につながりかねない「手段の目的化」を防ぐには

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2024年10月09日 17:10  ログミー

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組織づくりの落とし穴と強いチームの作り方を解説

司会者:みなさま、大変お待たせいたしました。これよりSNSサミット最初のトークセッションを開催いたします。最初のテーマは「北の達人が経験した事業を崩壊に導く3つの『組織病』と 組織の急拡大期における正しい組織のつくり方」。

事業拡大に欠かせない人材育成について、これまで数々の組織づくりを経験された3名から、組織づくりの落とし穴と強いチームの作り方をお話いただきます。

お話いただくのは、ステージ向かって右側より元ディー・エヌ・エーの人材育成責任者で、現在組織基盤強化などを手掛ける会社、株式会社Momentor 代表取締役 坂井風太さん。

坂井風太氏(以下、坂井):よろしくお願いいたします。

司会者:株式会社北の達人コーポレーションにて、Webマーケティング部 シニアディレクターの二見淳平さん。進行はSAKIYOMI 樋田洋斗さんに行っていただきます。それではよろしくお願いいたします。

樋田洋斗氏(以下、樋田):みなさん、よろしくお願いします。SNSサミットと言いながら、いきなり組織病的な感じの異色のコンテンツです。「今、この場にどんな人が集まっているのかを認識しながらしゃべりたい」というゲストのお二方からの要望があったので、簡単にアンケートをとらせてください。

今、会社員で、今日のSNSサミットを会社員としてコンテンツを享受しようとしている人か、個人でここからSNSに力入れていこうかなという人。たぶんどっちかだと思うので、1か2で手を挙げてもらっていいですか。じゃあ、会社員側だよという人はどれぐらいいらっしゃいます?

(会場挙手)

樋田:おぉー。ありがとうございます。そっちじゃないよという方。

(会場挙手)

樋田:ありがとうございます。何対何ぐらいだった? なるほど、絶妙な塩梅になりました。じゃあ、その前提で進めていきましょうか。何卒よろしくお願いします。

二見淳平氏(以下、二見):よろしくお願いします。

坂井:よろしくお願いします。

樋田:お願いします。

ゲストは北の達人二見淳平氏×Momentor坂井風太氏

樋田:では、お二方のことを知らない方もいらっしゃると思うので、簡単にそれぞれ自己紹介だけ。坂井さんからいこうと思っていたけど、二見さんからのほうがいいという感じだったので、二見さんからいきましょうか。お願いします。

二見:はい。ご紹介に預かりました、株式会社北の達人コーポレーションでシニアディレクターとしてマネジメント業務をしております、二見淳平と申します。

ふだんは、当社のWebマーケターを育成するマーケター育成の組織プログラムだったり、教育プログラムを運営しておりまして、当社の社員のマーケターに関しては、95パーセントぐらいは僕が教育させていただいているかたちです。

樋田:ありがとうございます。

二見:お願いします。

樋田:次、坂井さん。お願いします。

坂井:はい。みなさん、おはようございます。坂井と申します。よろしくお願いいたします。私は、もともとディー・エヌ・エーというスポーツとITの会社出身でございまして、基本的には子会社の経営や事業サイドのリーダーをしていたのですが、同時並行で人材育成やマネジメントの理論基盤を整備していた者となります。本日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

樋田:お願いします。私は司会進行を務めます、SAKIYOMIの樋田と申します。SAKIYOMIは、2019年の末からInstagramの運用支援事業をやっているんですが、その立ち上げをもともと代表だった石川(侑輝)という人間と2人で行っておりました。

現在は管理本部長という立場と、あとは自社で開発したAIのプロダクトがあるので、そのプロダクトの拡販の部分を主に行っています。何卒よろしくお願いします。

北の達人のV字回復の模様を綴った書籍『チームX』

樋田:ちなみになんですが、お二方のことをどちらかでも知っていたよという人。

(会場挙手)

樋田:嫌ですか(笑)? だから、「お二人のどっちか」と聞いたんです(笑)。知っていたよという人。

(会場挙手)

樋田:微妙な感じでしたね、すみません(笑)。よろしくお願いします。じゃああらためて、「北の達人が経験した事業を崩壊に導く3つの『組織病』と 組織の急拡大期における正しい組織のつくり方」ということで、本日のセッションです。

『チームX』という、北の達人コーポレーションの代表である木下(勝寿)さんが書かれた書籍がございまして、その中でも取り上げられていた、「当時こんなに会社がうまくいっていなかった。その時にこういう事象が起きていた。そこに対して、北の達人はこういうふうに解決した」みたいなところのお話を取り上げつつ。

そこに対して、主に組織論を生業になさっている坂井さんからご意見をいただいていくという流れで、進めていければと思います。

坂井さんから「XとYouTubeで99パーセントお問い合わせが発生している」という話もあったので、本論を巻きめに進めていきながら、後半は可能であれば10分ぐらい残して質疑応答の時間にできたほうが有意義かなと思うので、本日はそんな感じで進めていければと思っています。

「OKをもらうこと」が目的になってしまっていた

樋田:では、さっそく1つ目の当時の企業組織病をご紹介していきたいと思います。「職務定義の刷り込み誤認」ですね。ちょっと難しめの単語になっていますが、当時何があったのかを二見さんからおうかがいしてもいいですか?

二見:はい。今日お話する内容は前提の話にはなるんですが、インフルエンサーの方であったとしても、会社員の方であったとしても、チームを作っていかないといけないタイミングは出てくると思うんですよね。やっぱり、1人で動いていくだけでは成果が最大化しないと思います。

うちの会社は100人とか200人のメンバーがいるんですが、(従業員数が)10人とか5人のところでも同じことだと思うので、そういった意味合いで聞いていただけると、すごく腹落ちしやすいかなと思います。

では、課題解決のプロセスというかたちで進めていければなと思うんですが、まずは当時の状況を赤裸々にお話しようかなと思っております。

私は新人教育をやっているんですが、広告を作って世の中の市場に出していこう、という研修をやっていくんですね。そういった時に、「お客さまに買ってもらうこと」が広告作成の最終的な目的にもかかわらず、「教えている人にOKをもらうこと」が目的になっちゃうというのはあるあるだと思います。

めちゃくちゃ難しい言葉で書いているんですが、これが「手段の目的化」というやつですね。広告で購入してもらうことが目的であるべきなのに、教えてもらう人にOKをもらうことが目的になってしまうことがあるかなと思います。特に、講師陣や代表の木下がSNSでも著名なこともあって、「その人が絶対」というふうに思ってしまうんですね。

整っていないところに不満が出たり、メンバーがぜんぜん成果を出せない、お願いした仕事が完了されない、みたいなことになっているというのが、まず一番にあったかなと思います。

上司に従うことが是になると企業不正が止まらなくなる

樋田:これはたぶん、みなさんも実体験ベースで「わかるわー」「そういうのある」とか、もしかしたら逆の目線もありますよね。自分が会社に対して不満を言っちゃったこともあると思うので、どの会社でもあるあるなんじゃないかなと思います。ちなみに坂井さん、けっこうよく目にするケースですか?

坂井:やっぱり、よく目にするケースだなと思って。ちょっと話を大きくしちゃうかもしれないですが、今の構造って、実は組織不正とつながる問題であると。

フォロワーシップという概念があると思うんですが、あれって誤解が起きると危ない概念なんですね。要は、上司に従うことがフォロワーシップになると、企業不正につながると言われています。

上司が成し遂げようとしていることに従わなければいけないはずが、萎縮したり、怒られるのが怖いから、結局その上司に従うことが是になってしまう。そうすると、実は企業不正が止まらなくなってしまうという構造があるんですよね。

なので、フォロワーシップの話に関連すると、上司に従うんじゃなくて、上司が成し遂げようとしていることに従うという精神や心構えを持たないと、企業不正につながるという話と似ているなと思って聞いていましたね。

樋田:なるほどですね。確かに、特に自分の上司とかは、自分にとってキラキラしている存在だったり、最初にものを教えてもらう存在だと思うので、そこを真似する、そこに進歩するみたいなことはあるあるだと思うので。たぶん、みなさんも実体験ベースであるんだろうなと思います。当時、北の達人はこれを乗り越えてきたんですよね。

研修の卒業条件は「個人成果の黒字化」とシビア

樋田:実際に、その当時にやったことは何だったのかというところが、「KPIの見える化・明確化」。ここを具体的に二見さんから教えてもらってもいいですか?

二見:はい。一般的に言われていることだとは思うんですが、うちの会社は「一般的に言われていることをしっかりやりきる」というところを厳密にやっております。

研修の卒業条件で、広告の卒業条件をかなり厳格に明確化、かつ見える化をしています。実際のスライドを持ってきちゃったんですが、すごくシビアです。本配属になる前に、個人としてその社員が黒字になるまで合格できませんよという基準を付けています。

広告を出して件数が出てくると利益が発生するんですが、例えばその人に月に30万円の給与をお支払いしているのであれば、自分が30万円以上利益を出していないと合格できないという、本当にシビアなものですね。

(卒業基準は)僕らのOKではなくて、自分の利益。自分の利益率を黒字化させることに(卒業条件を)置かせることによって、やっぱりそこに目がいきますし、僕らはその研修卒業のためのアドバイザーとして一緒の立場で目標を見ることができるんですね。

これってすごく組織マネジメント(につながったり)とか、外注さんに業務を依頼する時も、「自分」が相手の矛先にならずに「KPI」が目的になると、すごくうまくいったなと思っております。

樋田:めちゃくちゃすごいですね。ずっと感嘆の声が漏れ続けているんですが(笑)。

坂井:これはすごく重要だと思っています。

伸び続けている企業の特徴

坂井:私も一応ベンチャーキャピタルから出資を受けているので、スタートアップという枠だと思うんですが、スタートアップに対しての違和感は若干あって。「黒字化しなくても当たり前」みたいなのってどうだろう? と思っているんですよ。

ビジネスパーソンではあるけど、商売人じゃなくなっていく会社がけっこう出てくるということですね。それって、実際には「1人損益計算書」「1人PL」みたいな話ですよね。これを教育するというのは、ビジネスパーソンじゃなくて商売人としての姿勢がちゃんと身につくからいいなと思っていた感じですね。

樋田:ありがとうございます。今日って写真を撮ってもいい? 誰に聞いていいんやろう。(資料が)読めないこと、理解できないことがあると思うので。たぶん資料配布はしていないので、撮るんやったら今撮ってください。

坂井:社員教育もけっこうスパルタだと思うんです。私もいろんな組織を見ている中で、ちゃんと伸び続けている企業って、やはり商売人魂をちゃんと社員に植え付けられている場合がいいなと感じています。

新卒の時に、だいたい最初は営業配属されるじゃないですか。あれって昔はよくわからなかったんですが、どこからお金が生まれているかとか、1人PLを感じるみたいなことを徹底させようとしているんだなと思いました。なので、これはすごく大事な育成思想だなと思う。

どういう会社に入ると商売人や事業家になるのかなと思ったんですが、「自分で利益を生み出して管理しなければいけない」というものに、最初に出会っておいたほうがいいんだなと思っていましたね。

樋田:ありがとうございます。確かに、どの会社でも初期研修やオンボーディングに絶対に入れるべき内容だと思います。

個人の方だったら、もしかしたら自分が生きていくために自然と考えざるを得ないかもしれないですが、特にチーム化していく中でも、仲が悪くならないとか一緒に長くやっていくためにも、必要な部分だなと思いました。ぜひこれを参考にしてもらえたらなと思います。

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