ロッシ×ロペス組カローラは惜敗、北米“インディカー帰り”のカナピノ組シボレーが勝利/TC2000第9戦

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2024年10月10日 18:00  AUTOSPORT web

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北米“インディカー”帰りのアグスティン・カナピノが、ゲストによるスプリントとメインレースの双方を制覇している
 アルゼンチン最高峰のFFツーリングカー選手権、TC2000の第9戦はシリーズが誇る“クラシック”として、国際ゲストを多数招いて争われる『ブエノスアイレス200km』の第18回大会が催され、予選最速を射止めたルノー・フルーエンスGTにシボレーYPFクルーズやトヨタ・カローラTC2000が喰い下がる展開に。

 そのトヨタ陣営内で不動のエースを務める“5冠”王者のマティアス・ロッシには、現在もWEC世界耐久選手権で活躍するホセ-マリア・ロペスを、同じく僚友のマルセロ・チャロッキには、今季限りでABB FIAフォーミュラE世界選手権のニッサン陣営から離脱したサッシャ・フェネストラズという豪華ペアドライバーを招聘したTOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアだったが、終盤までロッシ/ロペス組の117号車が首位を維持しながらも、最後のセーフティカー(SC)出動で勝機を逸することに。

 自身が“2冠”を達成した古巣でもあるYYPFエライオン・オーロ・プロ・レーシングに合流し、ダミアン・フィネンチ(シボレーYPFクルーズ)とタッグを組んだ北米“インディカー”帰りのアグスティン・カナピノが、ゲストによるスプリントとメインレースの双方を制覇している。

 首都ブエノスアイレスに位置する国際トラック、オスカー・ファン・ガルベスにて10月5〜6日に開催されたシリーズ最大の祭典には、隣国からSCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”が越境し、ルーベンス・バリチェロやフェリペ・マッサ、リカルド・ゾンタにネルソン・ピケJr.など、同国を代表する元F1ドライバーらもシリーズ戦を併催。

 さらにTCRサウスアメリカ・シリーズもカレンダー終盤の一戦としてアルゼンチンに到着し、週末の2ヒートではWTCC世界ツーリングカー選手権3連覇の“ペチート”ロペスも飛び入り参加でTCR初参戦を果たすなど、まさに“Gran Premio(グランプレミオ)”の名に相応しいメンバーが集った。

「南米のもっとも重要なカテゴリーの面々とこの週末を共有できることを光栄に思う。昨年と同様に素晴らしいパーティーを繰り返すことになるだろうね」とレースウイークのレセプションで挨拶したのは、TC2000を統括するタンゴ・モータースポーツ代表のアレハンドロ・レヴィ。

「今回のブエノスアイレス200kmでは、ハイレベルなドライバーが参加する予定で、国内外のモータースポーツの最高の体験を世界中のファンの人々に楽しんでもらいたいと考えている。アルゼンチンのモータースポーツは、世界中で傑出したドライバーを輩出する南米のベンチマークのひとつだからね」

 その週末のホストとして、先陣を切って開始されたTC2000のシェイクダウンでは、ロッシのカローラTC2000がベストタイムを記録。しかし続くゲスト専用のフリープラクティス(FP)からはルノー陣営のアクシオン・エナジー・スポーツが先行し、明けた土曜のFP4まで“3冠”王者リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)と、ペア組むニコラス・モスカルディーニが交互に首位タイムをさらっていく。

 迎えた予選でも、最終ラップでベストを更新したペーニャが同大会4年連続のポールポジションを奪うと、フィネンチのシボレーがフロントロウ2番手、ロッシのカローラが2列目3番手に着け、ルノー、シボレー、トヨタの異なるブランドがトップ3を占めた。

■土日ともカナピノが奮起。6連覇のルノーを止める
 そのまま土曜午後14時を回って7周の勝負が実施されたゲスト向けスプリントでは、そんなルノーの牙城を切り崩そうと2016年と2021年のシリーズチャンピオンでもあるカナピノが奮起。傷心のなか北米トップフォーミュラのシートを追われた南米随一のハコ使いのひとりが、スタートで素晴らしいダッシュを披露し、83号車ルノー・フルーエンスGTのマルコス・シーベルトを圧倒。

 最終的に2位に浮上した元WTCC王者ロペスのカローラも抑え切り、実に888日ぶりにこのカテゴリーで勝利を収めることに。シボレー・ブランドとしては、昨季大会のリカルド・マウリシオ(ユーロファーマRC)に続く連覇となった。

 その勢いはドライバー交代の義務付けられた日曜の200km戦でも衰えず、スターターを務めたフィネンチがロペスを従えて首位に躍り出る。そのまま24周目にドライバー交代のためピットインするまで後続との差を維持した“ピンクリボン”カラーの36号車は、シートベルト装着に手間取ったせいで遅れたにも関わらず、後半スティントのカナピノが粘りのドライブを続けていく。

 同じく交代を終えたロッシが、今季よりレギュラーシートに復帰した117号車でトップチェッカーを目指していた終盤戦に、レースの流れを変えるセーフティカーが発動。そのリスタートで狙っていた背後の36号車YPFクルーズは、ターン9のアウト側から豪快にカローラをオーバーテイク。

 これで55周を走破したカナピノ/フィネンチ組が同大会6連覇を続けていたルノーの記録を止める勝利をもたらし、フィネンチにとっては通算6勝目、そしてカナピノは29勝目を飾る結果となった。

「YPFエライオン・オーロ・プロ・レーシングのチーム全員にダミアン、そして僕を信頼してくれた皆さんに感謝したい。この瞬間、父のことをたくさん思い出している」と、感極まった状態で感謝の言葉を絞り出したカナピノ。

「今年は僕にとって非常に厳しい年だった。不特定多数の彼らは、僕にとてもひどい時間を与えた。そして今回のこと……ブエノスアイレス200kmでの勝利は、非常に大きな回復の助けになるよ」

 惜敗の2位となったロッシ/ロペス組の背後には、ピットウインドウが開く直前にタイヤトラブルを抱えながら、なんとかポジションを回復したペーニャ/モスカルディーニ組のルノーが続き、これで3メーカーがポディウムを分け合うことに。

 その6名中5名がチャンピオン獲得経験者という豪華な顔ぶれとなり、前述のカナピノに続きロッシは2006年、2007年、2011年、2013年、2020年、ロペスが2008年、2009年、2012年、歴代最高齢記録を更新するペーニャは2019年、2022年、2023年に、そしてモスカルディーニは2019年にアルゼンチンの旧TC2000シリーズのチャンピオンを獲得している。

 さらに同じく、この5名が「ブエノスアイレス200kmで勝つことの意味が何なのかを知っている」ドライバーとなり、ペーニャが4勝(2019年、2021年、2022年、2023年)でトップ、これにロッシ(2006年、2015年)の2勝、カナピノ(2016年、2024年)、フィネンチ(2019年と2024年)が続き、ロペス(2008年)も1勝を挙げている。

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