生徒1人にPC1台を掲げた「GIGAスクール構想」。国は小中学校には一律で端末を配備し、公立高校については、自治体に対し低所得世帯に貸し出す端末の購入やリースを補助するとした。しかし結局貸し出し端末は3分の1が余り、補助金換算で12億円分が使われていない──会計検査院は10月15日、こんな調査結果を公表の上、文部科学省に改善を促した。
調査は19道府県の38自治体が調達した貸し出し用端末9万5554台を対象に実施。4月末までの貸与状況を管理台帳などから調べたところ、ピーク時でも6万2752台の貸し出しにとどまり、残る3万2802台(使った補助金は12億7048万円近く)は余っていたことが分かった。
自治体ごとの貸与状況も調査。保有する貸し出し用機の台数に対して、最大でどれだけ貸し出しているかの割合「最大貸出率」を調べたところ、14自治体で最大貸出率が50%を割っていた。
最大貸出率が低調だった理由を14自治体に聞いたところ、(1)貸与希望者が想定より少なかった、(2)コロナ禍による家計の急激な変化で必要な台数が増える可能性があり、端末の所有状況の調査をしていなかった、(3)一定の余裕を見込んだうえで、(貸与の対象として想定していた)前年度の奨学給付金等受給世帯数を基に算出したため──などの回答があった。
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会計検査院は結果を踏まえ、文科省による情報の周知に問題があったと指摘。「文科省は端末の貸与について奨学給付金等受給世帯以外の生徒に貸与することも可能であることを、自治体に周知したとしている。しかし事務連絡では、補助事業の趣旨を踏まえつつ実情に応じ適切な運用をするなどと記載されているのみで、貸与が可能な生徒として奨学給付金等受給世帯以外の生徒が具体的に示されていなかった」とした。
さらに「奨学給付金等受給世帯以外の生徒への補助端末の貸与が可能であることが明確に示されていないとして、補助端末の貸与の対象を見直していないとする事業主体も見受けられた」とも指摘した。
会計検査院は、コロナ禍の影響もあり「奨学給付金等受給世帯等の増加を見込み、ある程度の余裕をもたせざるを得ない状況もあったと考えられる」としつつ、「奨学給付金等受給世帯等の生徒への貸与の妨げとならない範囲で補助端末の生徒への貸与を促進するために、貸与の対象を見直すなどの方策について検討し、その結果を踏まえ、事業主体に対して、参考となる情報を提供すること」などと改善を促した。
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