薄れる改革色、維新に逆風=公明、「常勝関西」懸け―衆院大阪16区ルポ【注目区を行く】

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2024年10月18日 08:01  時事通信社

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 大阪を創業地とする日本維新の会は今回、公明党とすみ分けてきた関西6選挙区に候補を立て、議席奪取を狙う。その一つが堺市の北半分を占める大阪16区。だが、一時の勢いは消え、前兵庫県知事を巡る問題や万博など悪材料が重なって最近は逆風が吹く。一方の公明は強固な地盤を武器に「常勝関西」死守に懸命。立憲民主党も交えて火花を散らす。(敬称略)

 ◇支持率、半年で3割減

 「日本には改革政党が必要だ。裏金政治をぎゃふんと言わせよう」。15日夕、維新共同代表で府知事の吉村洋文が南海電鉄堺東駅前でマイクを握った。もっとも、市の中心部ながら足を止める人は少なく、陣営幹部は「もう少し集まってほしかった」と漏らした。

 維新は看板の「大阪都構想」実現へ公明から協力を得る代わりに、大阪の四つ、兵庫の二つの選挙区で候補擁立を見送ってきた。2023年の統一地方選で大阪府・市両議会の過半数を制したことを受け、直接対決に踏み切った。この統一選では全国的に躍進した。

 ところが、「失点」を重ねる中で状況は一変した。維新が旗を振ってきた25年大阪・関西万博の追加負担が問題となり、大阪府議のハラスメントも起きた。今年の通常国会終盤には政治改革に関する自民党との中途半端な妥協が混乱を招いた。前兵庫県知事のパワハラ疑惑では維新県議団が最終盤まで辞職を求めず、「かばっている」と批判された。

 「改革」イメージの後退は数字に表れた。地域政党「大阪維新の会」が府民を対象に行い、9月下旬に公表した調査結果によれば、現在の支持率は28.5%。この半年で約3割下がった。

 維新は4月の大東市長選、8月の箕面市長選で敗れた。箕面では、大阪維新公認の現職首長が府内で初めて負けた点で衝撃を与えた。

 維新内には、大阪16区の候補を堺市議だった黒田征樹に決めた昨夏の「予備選」のしこりが残る。衆院選が始まると、予備選で敗北した側の動きの鈍さが気になる。陣営幹部は「統一選直後に思い描いた状況と違う」と認めた。

 ◇「知人の孫にも」

 公明は、引退を決めた当選10回の重鎮北側一雄の後継として、参院でキャリアを重ねてきた山本香苗に白羽の矢を立てた。

 勝負を分けるとみるのが無党派層への浸透。維新参戦により、北側に票を投じてきた自民や維新の支持層が相当程度流れると予想するためだ。

 合言葉は「知り合いから、その子や孫まで」。支持母体の創価学会を中心に電話掛けを展開。山本は一日中、地域に顔の利く党支持者と共に16区内を徒歩と自転車で回る。

 政策面では、現役世代に配慮して高齢者医療費負担を3割に引き上げる維新の公約をやり玉に挙げる。「命と暮らしを守る」を前面に出す。

 ◇当選ライン低下に期待

 立民の森山浩行は民主党が政権を取った09年に初当選したが、小選挙区勝利はこの時のみ。2回続けて落選し、直近2回は比例代表で救われた。維新を交えた三つどもえとなり、当選ラインが下がると見込まれることから、陣営幹部は「選挙区で勝てる最大のチャンス」と意気込む。

 選挙戦では政治改革と万博に重心を置く。堺で盛んな製造業などの労働組合が活動の中心。16日、森山も堺東駅前で「自公政権、大阪の維新はそろそろ代え時だ」と訴えた。



 

 ◇衆院大阪16区立候補者

 黒田 征樹 44 元堺市議   維 新

 山本 香苗 53 元厚労副大臣 公 新

                推(自)

 森山 浩行 53 元党副幹事長 立 前(3)

(注)敬称略、届け出順。年齢は投票日(27日)時点、丸数字は当選回数、「推」は推薦。維=日本維新の会、公=公明党、自=自民党、立=立憲民主党。 

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