スズキが『GSX-S/Rミーティング2024』を開催。GSXオーナー、レースファン大満足のイベントに「来年はGSX-R40周年記念を実施」

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2024年10月21日 18:50  AUTOSPORT web

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GSX-S/R Meeting 2024の集合写真
 10月20日、株式会社スズキ二輪は、スズキ株式会社の浜松工場にて『GSX-S/R Meeting 2024』を開催した。静岡県にある二輪車製造拠点となるスズキ浜松工場おいては初のイベント開催となり、全国からたくさんのGSXシリーズが集結(約1,800台/2,200名が来場)。公式ホームページなどでは、事前告知がなかったサプライズの目白押しに、来場者も大満足な一日となった。

 開場と同時に、物販コーナーには、お目当てのGSX-S/RミーティングオリジナルTシャツを手に入れるために、長蛇の列ができた。出展ブースでは、スズキ系のレースチームをはじめとした18ブースに加え、ラーメンなどのキッチンカーも登場し、お祭りの様相と化していた。

 特設会場には、今回サプライズ発表となったGSX-S1000(新型)、GSX-S1000GT(新型)に加え現行GSXシリーズも展示。また、2022年MotoGPで活躍したGSX-RRの#42号車(アレックス・リンス)、#36号車(ジョアン・ミル)、2024年鈴鹿8時間耐久ロードレースに出場したTeam SUZUKI CN CHALLENGEのGSX-R1000R #0の他、ヨシムラ、オートレース宇部、浜松チームタイタン、テラモトのレーシングマシンを展示。

 開会宣言では「GSX-Rが初登場したのは1984年であり、2025年をGSX-Rイヤーとして盛り上げていく。今年は40周年のプレイベントとし、来年この会場で40周年記念をやりたいと思います」と鈴木俊宏社長があいさつ。

 鈴木俊宏社長は、来場者が乗ってきたたくさんのスズキのオートバイを丹念に見て回り、初代GSX-R(400)などGSX-Rシリーズの前では足を止めて見入っている姿があった。また、オーナーらと記念撮影に気軽に応じていた。

■第一部『ヨシムラSERT Motul EWCシリーズチャンピオン獲得祝いトークショー』
 2024年 FIM世界耐久選手権(EWC)のシリーズチャンピオン獲得後、初となる凱旋報告が行われ、加藤陽平チームディレクターと鈴木俊宏社長と共にEWCの年間チャンピオントロフィーを掲げてシリーズチャンピオン獲得を報告した。

「シリーズチャンピオンを獲るのは、2021年のチャンピオン獲得から3年ぶりとなりました。2022年も最終戦までリードしていながらチャンビオンを獲れませんでした。2023年もランキング2位と悔しい思いをしてきたので、今年のチャンピオンは満足がいくというか感慨深いものです。スズキとヨシムラがコツコツと積み重ねてきた結果のチャンピオン獲得となりました」(加藤陽平TD)

「スプリントレースとは違い、耐久レースはレース中もメカニックがライダーを支えることができる唯一のレースであり、チーム一丸となって取り組んだ結果優勝できました」(鈴木正人 レース実験課課長)

「鈴鹿8耐だけレースを走らせてもらいましたが、その他のレースはリザーブライダーとして帯同しました。3人のライダーはとても速くペースも安定し、チームスタッフもすばらしいです。鈴鹿8耐は安心して走れました。自分の仕事は終わったわけではなく、来年に向けてしっかりと開発を進めていきます。来週の鈴鹿で開催される全日本ロードレースに出場するので応援よろしくお願いします」(渥美心)

「2024年のル・マン24時間には初めて行きましたが、24時間は長いと脅されました(笑)。8時間はあっという間。序盤の転倒で8耐の感覚だと厳しいなと思いましたが、チームを見るとメカニックもライダーも誰一人としてあきらめていませんでした。最終的に優勝しました。あきらめてはいけない、ということを学びました」(佐原伸一 チームスズキCNチャレンジ PL兼TD)

「2025年のチャンピオン獲得に向けて参戦します。今年2回の24時間は優勝し、スパ・フランコルシャンでは2位、鈴鹿では渥美選手の大活躍で3位、全戦で表彰台を獲得できました。来年も今年以上、特に日本の皆さんが見ている鈴鹿8耐での優勝を目指します。佐原さん率いるスズキCNチャレンジと一緒にスズキのレースを盛り上げていきます」(加藤陽平TD)

 2024FIM世界耐久選手権 "コカ·コーラ" 鈴鹿8時間耐久ロードレースに"カーボンニュートラル"の取り組みとして参戦したTeam SUZUKI CN CHALLENGEも登場。チームの成り立ちについては既に周知されていることから、ライダーの起用、テストなどの裏話が披露された。

「自然にやさししいサステナブルな燃料やパーツを使ったマシンで出場し、スタッフはスズキ社員で公募したチームで鈴鹿8耐に参戦するという取り組みでした。今年のモーターサイクルショーで参戦発表しましたが、ライダーは決まっていませんでした。会場でライダーをリサーチして濱原選手に目を付けました」(佐原伸一PL兼TD)

「チーム参戦の話を聞き、自ら手を挙げ、佐原さんへ連絡したのが参加のきっかけでした」(生形秀之)

「モーターサイクルショーでの発表を見て、こういうマシンでレースしたいなと思いました。ライダーがまだ決まっていないという情報を聞きつけ、X(旧Twitter)のメッセージで佐原さんに連絡し手を挙げました」(濱原颯道)

「津田選手については相談はしていましたが、他のチームで走ることが決まっていたことから、残念ながら乗ってもらうことは叶いませんでした。しかし、竜洋を走り慣れておりテストライダーとしては適任であったことからテストしてもらいました」(佐原伸一PL兼TD)

「竜洋テストコースは、ヨシムラのマシンやMotoGPのマシンで走り慣れていました。裏方ではありましたが、少しでもこのプロジェクトに参加できて良かったと思います。最初のテストでダメ出ししたパーツが2週間後にはほぼ解決されて仕上がってきたので、協力メーカーさんの底力には驚きました」(津田拓也)


「とにかくレース本番までに時間がなかった。大きな課題のひとつが、濱原選手と生形選手のライダーの体格差でした」(今野岳クルーチーフ)

「スズキや協力メーカーさんが、環境問題に取り組んでいることをPRしなくてはなりませんでした。鈴鹿のテストの時点では、本番用カウルが1セットしかありませんでした。普段のテストでは中古のヨシムラカラーのカウルを借りて走行していました。大事な撮影の際には、ツナギもマシンも本番用カウルにして走行しました。その時に、濱原選手が速いタイムで走り、我々をドキドキさせました」(佐原伸一PL兼TD)

「カウルも1セットしかないのに、ベストタイムを更新してくるなと怒られました(笑)」(濱原颯道)

「撮影が終わって本番カウルから、中古のカウルに戻したりしなくてはならず、担当の広報の方々とはけっこうケンカしていました(笑)」(今野岳CC)

「トップ10トライアル出るぞ、と意気込みすぎてしまい、予選は16番手となりましたが、グリッドの正面がスズキ応援席だったので結果オーライと思っています。土曜日が自分の60歳の誕生日で、サプライズで赤いTシャツをプレゼントしてもらいました。本当はトップ10トライアルに出た際に着る予定でしたがダメでした。そこだけが残念(笑)」(佐原伸一PL兼TD)

「決勝では、今野さんから何かあると、スズキ1万5千人の社員を背負ってるからね、とプレッシャーをかけられました」(濱原颯道)

「来年はさらに強くなって帰ってきます」と佐原伸一氏。このプロジェクトは来年以降も継続して続けられる模様であり、カーボンニュートラルな素材の進化から目が離せない。

■第二部『GSX-Sシリーズ設計者とテストライダーによるトークショー』
「GSX-R1000K1がスタートですね。K1〜K5で現役を走りましたがチャンピオンを獲得させてもらいました。2005年、2006年のK5のエンジンですが、24時間という過酷な耐久レースでもノントラブル。その信頼性の高いエンジンがGSX-S1000に搭載されています」(北川圭一)

 初代GSX-S1000は、佐原氏がプロジェクトリーダーをしており、GSX-Rの系譜となるレース直系のエンジンが搭載されたマシンとなるが、『S』はStreetのSでStreet向けに電子制御化し扱いやすくしたマシンでありパワフルながらも非常に街乗りに適したマシンであるとのこと。

●サプライズの浜松工場ライン見学
 事前に公開されていなかったサプライズとして、普段は立ち入ることのできない浜松工場の2輪車製造ラインの無料見学会が開催された。物販のみならず、こちらも順番待ちの長蛇の列が連なった。

 整理され効率的な配置となる生産ラインでは、GSX-R1000[2025 U.S. model]とGSX-8Sの2レーンの組み立てラインを見学することができた。2台2レーンの組み立て工程は、それぞれの車種に合った組み立て方法とされており、エンジンにフレームが載り、ラインが進むのに従ってオートバイの形となっていく光景は圧巻であった。

 残念ながら撮影禁止エリアとなっていたことから写真に収めることはできなかったが、自分の所有するオートバイが完成していく様を見学できるということは至福のなにものでもない。

●その他、1台を長く愛してるで賞、じゃんけん大会を開催
 我こそは、1台を長く所有し大事にしてきたオーナー(自己申告)に対して、スズキオリジナル前掛けが授与された。

 じゃんけん大会では、出展者からバッテリーをはじめとした豪華景品が多数提供された。ライダーサイン入りのレーシングスライダーは争奪戦となった。

■来年に向けて
「来場いただいた二輪車は約1,800台ほど。工場見学していただいた人数は1005名。これだけ愛されているGSX-SとGSX-Rのブランドを大事にしていきたいと強く実感しました。これからも愛されるバイク、これを作っていかなければなりません。どうか皆さんは今のバイクに加えてもう一台お求めいただくようお願いしたいです」

「GSX-Rを使ったレース活動について、ヨシムラSERT Motulに代表される勝つためのレース、性能を証明するためのレース、それとTeam SUZUKI CN CHALLENGEの未来につながるレース、これを続けていきます。応援をよろしくお願いします」

「オープニング時に鈴木俊宏社長からありましたが、GSX-R 40周年を来年迎えます。40周年を皆さんと一緒に来年もこの場所で祝いたいです。きっと本年以上のミーティングになるものと期待しています。皆さんも楽しみに!!」(田中強 二輪事業本部長)

 来年のGSX-R40周年記念イベントでは、どんなサプライズが登場するのか。レース活動に強く言及されていることからも、GSX-R1000Rの新型登場を期待したい。

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