【F1第19戦無線レビュー(1)】メルセデス代表、ペナルティを受けたラッセルを庇うも「完全にジョークだ」と不満

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2024年10月23日 18:50  AUTOSPORT web

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2024年F1第19戦アメリカGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)
 2024年F1第19戦アメリカGP。三つ巴のトップ3で迎えた決勝レースのスタート、ポールポジションのランド・ノリスはマックス・フェルスタッペンと争う間にフェラーリ勢に先行を許してしまった。各車トラックリミットやペナルティに苦しむなか、レース中盤に向けては予想以上にタイヤが持つ様子も見えてきた。アメリカGP前半を無線とともに振り返る。

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 アメリカGP決勝日のスターティンググリッド。前日の予選をまさかの19番手で終えたルイス・ハミルトン(メルセデス)は、上位グリッドからのスタートに慣れているだけに、こんな感想を漏らした。

ハミルトン:遠いなあ。

 スタート直後のターン1。アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)と接触したエステバン・オコン(アルピーヌ)がスピンを喫した。

オコン:リヤのダメージをチェックしてくれ。
ジョシュ・ペケット:今、調べている。とりあえずタイヤは大丈夫だ。

アルボン:フロントウイングをチェックしてくれ。
ジェームズ・アーウィン:ダウンフォースに問題はないようだ。
アルボン:ダメージはないようだね?

 オコンは緊急ピットイン。12番手から最後尾に後退してしまった。

 ハミルトンはスタートダッシュを決めて一気に12番手まで順位を上げた。しかし2周目のターン19で単独スピン。リタイアとなった。

ハミルトン:みんな、すまない。

 一方ポールシッターのランド・ノリス(マクラーレン)は、今回もスタートで順位を落としてしまう。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とバトルをする隙をつかれる形で、シャルル・ルクレール(フェラーリ)に先行され、カルロス・サインツ(フェラーリ)にも抜かれて4番手に後退した。

ウィル・ジョゼフ:ターン1は何が起きたんだ。
ノリス:向こうが押し出してきたんだ。クラッシュを防ぐために、コースから出ざるを得なかった。
ノリス:ブダペストと同じで、僕を抜くために外に出て行った。

 しかしこのバトルに関しては、お咎めなしとなった。

9周目
サインツ:ノーパワーだ。コーナー出口でパワーがない。
リカルド・アダミ:それについては対策がない。
サインツ:すごくガソリン臭いんだけど。

サインツ:臭いがどんどん強くなっている。

 繰り返し訴えるサインツ。しかしこのトラブルは大事には至らなかったようで、サインツはその後も3番手を快走した。

 パワーユニット交換で19番手スタートとなったリアム・ローソン(RB)は、11周目には11番手まで上がっていた。担当エンジニアのピエール・アムランは、ハイペースすぎてタイヤが持つか気が気でないようだ。

アムラン:セクター1でタイヤを労わるんだ。

 12周目、5番手走行中のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が、戦略を打診された。

トム・スタラード:プランAについてのフィードバックをくれ
ピアストリ:(プランAは)大胆すぎる。

「大胆すぎる」という言葉からすると、プランAは1回ストップ作戦を指すのか。去年までは2ストップが定石だったが、結果的に今年は大部分のドライバーが1ストップで走り切った。しかしこの時点でのピアストリは、まだその戦略に手応えが持てなかったようだ。

14周目
ブライアン・ボッツィ:このままフェルスタッペンを引き離すつもりなら、プランAがいいと思う。
ルクレール:僕はプランBかCがいい。

 フェラーリの戦略も詳細は不明だが、どんな選択肢でも実行可能だというルクレールの自信が感じられる返答だった。

 ピットレーンスタートのジョージ・ラッセル(メルセデス)は、次々に先行車を追い抜き、16周目には13番手に。しかしバルテリ・ボッタス(キック・ザウバー)をかわす際に、5秒ペナルティを科された。

16周目
マーカス・ダドリー:ジョージ、バルテリを押し出して5秒ペナルティだ。
ラッセル:マジ?
トト・ウォルフ代表:あれでペナルティなんて、完全にジョークだ。

 ウォルフはラッセルに非はないと伝えたかったのだろうが、FIAの判定を公然と批判するコメントだった。

 他のサーキットと比べても、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)は特にトラックリミット違反絡みのゴタゴタが多い。

18周目
ギャリー・ギャノン:ペースはいいんだが、トラックリミットを2回違反している。1回目は角田(裕毅)とのターン12で、2回目はターン19だ。
ニコ・ヒュルケンベルグ:冗談だろう? 角田とレースをしていて、僕が押し出されたのに。

 レースは23周目を迎え、中盤に差し掛かろうとしていた。しかしミディアムタイヤでスタートしたドライバーも、予想以上にタイヤの持ちがいいようだった。

ジョゼフ:前の2台(フェルスタッペンとルクレール)を見ると、デグラデーションがひどくない。僕らもスティントを伸ばそうと思う。タイヤはどうだ?
ノリス:ペースは落ちていない。

 結局ノリスは折り返し点を過ぎてもステイアウトし、31周目まで引っ張った。よりフレッシュなタイヤで、レース後半に勝負をかける作戦だったのだろう。
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F1第19戦無線レビュー(2)に続く

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