ミュージカル「レ・ミゼラブル」に再び挑む、石井一彰「お客さまの人生の記憶に残るジャベールを演じられれば」【インタビュー】

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2024年10月24日 08:10  エンタメOVO

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石井一彰 【ヘアメーク:米尾太一(untitled)】(C)エンタメOVO

 俳優の石井一彰が、12月20日(プレビュー公演は12月16日)から開幕するミュージカル「レ・ミゼラブル」にジャベール役で出演する。石井は、2006年に東宝ミュージカルアカデミーに第1期生として入学し、翌年のミュージカル「レ・ミゼラブル」で俳優デビュー。今回、16年ぶりに戻ってくるミュージカル「レ・ミゼラブル」への思いや意気込み、さらに刑事・蒲原勇樹役で出演するドラマ「科捜研の女」(テレビ朝日)について話を聞いた。




−ミュージカル「レ・ミゼラブル」への思いを聞かせてください。

 僕は初舞台が「レ・ミゼラブル」で、芸能生活のスタートが「レ・ミゼラブル」でした。そこでの経験は今も人生の軸の1つになっていると思います。うまくいったこともいかなかったことも、いろいろな経験をさせていただき、今になって「あのとき、こうした経験をして良かったな」と思えます。あの作品でスタートを切れたことによって、今の自分があるのかなという気がしています。

−元々、ミュージカル作品に出演したいという思いがあって、芸能の世界を目指されたのですか。

 そうです。ミュージカルをやりたいって思ってこの世界に入りました。

−そうした中、最初の作品が「レ・ミゼラブル」というのは大きなチャレンジだったのでは?

 かなり大きかったです。全てのスケールが大きかったので、圧倒されている間に終わってしまったような気がします。何とか作品の一つの歯車として少しでも結果を残せたらと、必死な気持ちで毎日、ステージに立っていました。

−当時、一番思い出に残っていることは?

 デビューした当時というのは、社会人1年目ですので、舞台以外でも分からないことが多かったんですよ。それまで大学生として生きてきて、そこからは一人の社会人として生活していかなければいけない。なので、芸能の世界での居方には苦労したかもしれません。役者として必要なことも全く備わっていなかったですし、ほかの俳優さんと一緒に仕事をするのも初めてだったのでどう接していけばいいのかも分からず、分からないことだらけでした。

−初めてのプロのステージはいかがでしたか。

 プレッシャーも感じないくらい、その舞台の世界のことを分かっていなかったかもしれません。とにかく必死にやっていたという思い出しかないんですよ。ただ、お客さまからいただいた拍手はよく覚えています。

−そうした経験からどのようなことを学びましたか。

 失敗を恐れずに挑戦し続けることや、常に向上心を持っていなければならないということが心に深く刻み込まれたなと思います。同じ芝居を毎日、同じようにできなければいけない。でも、今日、ご覧になられたお客さんが、もし、明日もご覧になられるとしたら、今日よりも明日のほうが感動したと思っていただけるように、日々、どこかに挑戦を見つけてやっていくというのが大事だなと感じました。俳優として向上心を持つことがマストだと学んだように思います。

−2007年にフイイを演じて以来、16年ぶりに「レ・ミゼラブル」に出演されますが、また出演したいという思いはずっとあったのですか。

 舞台に立ちたいという気持ちはずっと持っていました。ただ、そこに固執して「ずっと戻りたかった」というよりは、自分の積み重ねの中で出会う作品の1つだという認識です。もちろん「レ・ミゼラブル」がゴールではなく、積み重ねの中で出会えたのがこのタイミングだったのかなと思います。

−今回、ジャベールを演じますが、石井さんが目指す「ジャベール像」はすでに見えてきていますか。

 今の段階(9月取材当時)では、漠然とではありますが、ジャン・バルジャンに対する執着を強く出したいと思っています。ジャベールとジャン・バルジャンは表裏一体、二人で1つというイメージが僕の中にはあるんですよ。もちろん別の人間ですが、どうしても相いれないところがある二人が最後には交わることができる。「俺が白で、あいつは黒だ」とずっと執着していたけれども、段々とそれがグレーになっていく。そうした変化を見せたいです。ジャベールは、ジャン・バルジャンに出会ったことで人生が大きく変わっていくので、影響され変わっていき、自分自身に混乱する姿を見せられたらと思っています。

そのジャン・バルジャンを演じるのは、吉原光夫さん、佐藤隆紀さん、飯田洋輔さんの三人です。

 まだ歌稽古の段階なのでこれからですが、皆さん、それぞれ歌声もせりふの言い方も違うので、僕の芝居も少しずつ変わってくるのかなと思います。吉原さんは10年以上、ジャン・バルジャンを演じられていて、ジャン・バルジャンそのものというエネルギーがある方だと思います。佐藤さんと飯田さんは、鋭さよりも柔らかさを感じます。一緒に相対して歌稽古していてもそれぞれの違いを感じているところです。

−ジャベール役も伊礼彼方さん、小野田龍之介さんとのトリプルキャストです。お二人の印象は?

 伊礼くんとは20代の頃に一緒にお仕事をさせていただいていますが、その頃からすごく熱い人だなと感じていました。今はさらに熱いとお聞きしているので楽しみです。龍之介くんは彼が17歳くらいの頃にお会いしたのが初めてでした。今回、久しぶりに会いましたが、ずっとミュージカルの第一線で活躍されていて、これまでに培ってきた経験がその体に染み付いているという印象があります。お二人からいろいろと刺激を受けることが多いのではないかなと思っています。

−ところで石井さんは、ドラマ「科捜研の女」をはじめ、映像作品でもご活躍されていらっしゃいますが、映像作品に出演することへの思いや映像でのお芝居の面白さはどのように感じていますか。

 映像はさまざまな挑戦ができる現場だと感じています。最近は、リハーサルがないこともあるので、より緊張感もありますし、どこまでやっていけばいいのかと監督や共演者の空気を読みながら挑戦していくことが大切だと思います。もちろん、舞台でも稽古の段階では挑戦を重ねていきますが、本番が始まったら稽古での挑戦を元にお客さまに届けることが大事。映像の場合は、本番でも挑戦できることがありますし、挑戦することで楽しさが増すように思います。

−「科捜研の女」にはベテランの俳優の方々も多数ご出演されていますが、そうした方々からはどんな刺激を受けましたか。

 これだけ長く続いている作品で、愛され続けているのは、やっぱり沢口靖子さんの存在が大きいのだと思います。すごく真面目な方で、とても真摯(しんし)に作品に取り組まれる姿を間近で拝見させていただいています。今年の夏はとにかく暑かったですが、ロケ中も靖子さんは暑いとも寒いとも言わない。作品をよくすることしか考えていないのが伝わってきましたし、そうした彼女の作品に対する真面目さにものすごく刺激を受けました。それから、内藤剛志さんからは現場での居方を教えていただきました。とにかく現場を明るくして、みんなで楽しく作品を作ろうとなさる方なので、沢口さんと内藤さんのバランスもすごく良いと思います。内藤さんは、スタッフの方々にもすごく気さくにお話をされて、ゲストで来られた方にも分け隔てなく話しかけられていて、本当に和やかな空気を作ってくださるので、とても挑戦しやすくなるんです。なので、現場の空気感というのはとても大事なのだなと改めて感じました。

−では、今、石井さんの俳優としての目標は?

 イメージを壊していきたいです。それから、京都で仕事をさせていただくことが多いので、もっと時代劇にも挑戦したいという思いもあります。もちろん、このタイミングで「レ・ミゼラブル」という作品に出演させていただけるので結果を残し、周りの方にも喜んでいただけたらと思います。

−改めて、「レ・ミゼラブル」への意気込みや読者にメッセージをお願いします。

 舞台やミュージカルから離れていた期間がありましたが、その間に培ったものや経験したことを生かして演じていけたらと思います。「レ・ミゼラブル」は本当にたくさんの方に愛されている作品ですので、お客さまに求められる以上のものを表現できればと思いますし、お客さまの人生の記憶に残るジャベールを演じられればと思います。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 ミュージカル「レ・ミゼラブル」は、12月20日〜2025年2月7日に都内・帝国劇場ほか、大阪、福岡、長野、北海道、群馬で上演。(プレビュー公演は、12月16日〜19日 帝国劇場)


ミュージカル「レ・ミゼラブル」

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