「めっちゃ安売りしていますね」井浦新、多忙を極める背景に恩師からの“金言”

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2024年10月24日 09:10  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

井浦新 撮影/廣瀬靖士ヘアメイク/山口恵理子スタイリング/上野健太郎衣装協力/sacai、FRANKLEDER、HenderScheme

甲斐さやか監督の長編デビュー作『赤い雪 Red Snow』('19年)のときに、“いつか一緒にやりたい作品があるんです”と(甲斐監督に)言っていただいて

自分を磨いて研ぎ澄ませておこうと思いました

 と話す井浦新。当時はざっくりと“クローンの話”としか聞いていなかったそうだが、必然的に1人2役だと想像したという。

「『赤い雪』のとき、甲斐監督が作る世界観にほれ込み、感動して。ご自身で(脚)本を書かれるのですが、映像になる前からすでにできあがっていて、素晴らしいんです。

 『徒花-ADABANA-』で再び甲斐監督の世界観に全身思いっきり浸れることは大きな喜びでしかないし、自分へのご褒美になる。撮影の日を迎えるまでいろんなことをすごく頑張れると思ったし、すべてにおいて自分を磨いて研ぎ澄ませておこうと思いました

 主演の井浦が“特別な作品”と言い切る『徒花』が10月18日、公開を迎えた。

 今からそう遠くない未来。日本では上流階級の人のみ、最新技術を用いたクローンの生成が許され、推奨されていた。死に至る病に侵された新次(井浦新)が“それ”を身代わりとした治療で生き延びられるなら? たとえ自分より“それ”のほうが豊かな心を持っていても?

「甲斐監督が自分にこだわって選んでくれたことに対して、僕はお芝居でしか返せないので。自分の最大値をすべて閉じ込めようと撮影に挑みました。そして、やはり甲斐監督の世界は一筋縄ではいかないし、簡単には捉えることができない。本当に不思議で、言葉ではなかなか言い表せない世界観なんです。

 “自分に何ができるのか”ではなく、“自分には絶対できないだろうな”ということを作品の中で実験し続け、正直、めちゃくちゃ楽しかったです。“これこそ映画を撮ってる!”という実感があり、すごく充実した撮影の日々でした。“もっと続けばいいのに”と思う反面、そうなったら心を病んだだろうな、とか(笑)

 井浦の熱量と自信がひしひしと伝わってくる。同時に難解な作品なのではと構えてもしまうが、

「決してわかりづらい作品ではないと思います。『徒花』のようなタイプの映画に触れたことのない方は、難しいとかではなく、新しいものやわからないことに出会った喜びを感じてもらえたら、と思います。例えば、牛丼を食べるとき。七味や紅ショウガを入れるのは味変をして、刺激がほしいわけですよね、きっと。

 だから『徒花』は七味や紅ショウガだと思ってもらって、この記事を読んでもらいたいです。もし読んで“よくわからないな”と思ってくれたなら、それだけでありがたい。僕はわからないことや難しいことは、決して悪いことではないと思っていて。

 わからないものをシャットアウトするのは簡単ですが、そのわからなさをもっと味わってみるのは、楽しさのひとつじゃないかと思います。そしてそれは、映画館で作品を見たそのときだと思うんです。見終わったあとには、帰り道のいつもの景色が絶対に変わって見えるし、心にいろんな栄養がしみ込んでいると思います

 9月に50歳を迎えている。

半世紀、すごいなって思います。その数字にびっくりしますし、50歳まで生きてこられたことに感謝しています。でも自分の転機はゾロ目の年だったので、そっちのほうが大事だと思っていて

 23歳のとき、是枝裕和監督の映画『ワンダフルライフ』('98年)に主演。初めて映画の現場に飛び込んだ。その準備を始めたのが22歳だったと振り返る。その後も映画で俳優活動をしていたが、33歳くらいからドラマにも出演するように。

「ドラマで仕事をするというのは、僕の中の概念になくて。映画に生んでもらったから、映画の現場で学び、返していきたい。俳優をやっていくことって、本当にシンプルにそれだけだったんです。デビューして10年くらいたったとき、恩師(若松孝二監督)との出会いがあって。

 “可能性を狭めてるのはおまえ自身だ。来たものはなんでもやれ”と言われ、今に至ってます。ドラマだけではなく、バラエティー、ドキュメンタリー……自分が求められてできることは、たとえできないことでも1回、お腹を壊してもいいから食べてみる。ダメだったらそこで考えてみればいいと思うようになって。そんな精神で今に至っています

 今クールではドラマ『無能の鷹』(テレビ朝日系)『ゴールデンカムイ-北海道刺青囚人争奪編-』(WOWOW)に出演。8月公開の映画『ラストマイル』にも出演している。映画にドラマに大忙しだ。

めっちゃ安売りしていますね(笑)。でも今までもこれからも、自分の中にブレずにあるのは“映画館を満席にできる俳優になりたい”です。それができる俳優であるために、毎日の仕事をしているんだと思います

『徒花-ADABANA-』

10月18日(金)テアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開
出演/井浦新、水原希子、三浦透子、永瀬正敏 ほか 配給/NAKACHIKA PICTURES

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