「嵐」デビュー25周年 本を通してニッポンを盛り上げた、国民的アイドルグループとしての多大なる貢献

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2024年10月24日 13:00  リアルサウンド

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予約殺到した、嵐の歌絵本『君のうた』(ストームレーベルズ)

◼️デビュー25周年の11月3日、全てのMVが解禁


 嵐が今年11月3日に25周年を迎えること受けて、スペシャル企画を実施する。過去のライブDVDを計12タイトルのBlu-ray化や、全Music VideoのYouTube公開など、改めて彼らの功績を振り返る1日となりそうだ。



【写真】Snow Man・目黒蓮が表紙を飾る『ハーパーズ バザー』


 『バレーボールワールドカップ1999』のイメージソング、そしてドラマ『Vの嵐』(いずれもフジテレビ系)の主題歌として一気にお茶の間に浸透したデビュー曲「A・RA・SHI」に始まり、『木更津キャッツアイ』シリーズ(TBS系)の「a Day in Our Life」や、『花より男子』シリーズ(TBS系)の「WISH」「Love so sweet」「One Love」に、『山田太郎ものがたり』(TBS系)の「Happiness」、『怪物くん』(日本テレビ系)の「Monster」など挙げればキリがないくらい、メンバーが出演してきた数々の名作ドラマ・映画の主題歌を歌ってきた。


 さらに、米津玄師が作詞・作曲を手掛けたことでも話題となった「カイト」は、NHKの『みんなのうた』でも親しまれ、パンデミックに揺れた日々を勇気づけてきた。嵐と過ごした四半世紀。音楽番組はもちろんのこと、報道に、ドラマに、バラエティにと嵐が沸かしてきたシーンは実に幅広い。そんな中、11月3日には相葉雅紀が主演したドラマ『僕とシッポと神楽坂』(テレビ朝日系)の主題歌としても親しまれた「君のうた」が絵本となって発売される。思い返せば、嵐は出版業界にとっても日本を大いに盛り上げてきた。


◼️学校図書として寄贈された『ニッポンの嵐』、収益は東日本大震災の復興支援に


 アイドル雑誌、テレビ誌、ファッション誌など様々な雑誌に登場しては、ファンを楽しませてきた5人。出版業界では「嵐が表紙になれば売り上げが大きく伸びる」と言われるほど、嵐が誌面を飾るたびに大きな反響があった。実際に、週刊誌で重版がかかるのは極めて異例と言われている中で、櫻井翔が表紙を務めた雑誌『an・an』(マガジンハウス)2010年1月27日号では、史上初の重版となったことも。


 それだけの注目度を誇りながら、2010年秋には書籍『ニッポンの嵐』を国の小・中・高等学校などに対して学校図書として寄贈したことでも話題となった。嵐は、2010年4月に国土交通省・観光庁では初となる「観光立国ナビゲーター」にボランティアとして就任。「ニッポン再発見」を目的に、メンバーが旅をする様子を記録したものだ。2008年、『Touch! eco 2009 いま、私達にできること。 ズームイン!!SUPER×NEWS ZERO』(日本テレビ系)のエンディングテーマ曲にもなった「Green」で、「地球環境や子どもたちの未来のためにできることは何か?」を問いかけた嵐。そして「ほんの少しの行動でも変わっていく物があるならば、僕たちは行動していくんだ」という意気込みから、この本が生まれたという。


 メンバー自らが旅をしたい場所を提案したことも、この書籍の大きな特徴だ。2008年に初の個展を開催した大野智は「ものづくり」をテーマに青森県を訪れる。世界的アーティスト・奈良美智の作品に触れたり、スプーン作りやこぎん刺しを体験していった。祖父への想いを胸に秘めた相葉雅紀は、出身地・千葉県から神奈川県、京都府、奈良県へと「福祉、介護」の現場に足を運び、触れ合っていく。


 松本潤は、都会から移り住む人が多いという島根県の離島・中ノ島を訪れ、「島の人々」と最後はガッチリと握手を交わすほど熱く語る時間を過ごした。キャスターとして日本の様々な課題を知る櫻井は、奈良県の大和高原にて茶摘みや製茶などの農体験を通じて「農業」の希望を見つめる。そして、根っからのゲーム好きな二宮和也は京都府に本社を構える世界的なゲーム開発企業・任天堂で『スーパーマリオ』の生みの親と対談。さらに東京都のスタジオジブリでは、宮崎駿監督や鈴木敏夫プロデューサーらと「エンターテインメント」を発信していく矜持に触れる。


 もちろん、そんな充実した内容の本に一般販売を望む声が絶えず、翌年にはポケット版の『ニッポンの嵐』(角川グループパブリッシング)として発売。わずか4日で23.7万部を売上げた。ちなみに、発行元の収益はすべて東日本大震災の復興支援のために被災地へ寄付されたというのも、また胸が熱くなる話だ。


 「日本はとても美しく、日本人はとても優しい この確かな気持ちを未来へ」とは、本書の帯に書かれたキャッチフレーズだ。この感覚を、嵐というグループそのものに感じている人も少なくないのではないだろうか。


◼️嵐が「国民的アイドルグループ」であり続ける理由


 嵐を見ていると1人ひとりがスターでありながら、ごく自然に相手を引き立てる謙虚さを感じる場面がある。その理由を考えたとき、2005年に発売された単行本『アラシゴト まるごと嵐の5年半』(集英社)に収録されたメンバーの1万字インタビューを思い出した。


 生まれながら長男気質の櫻井や、小さい頃から動物に囲まれて育ったという相葉の面倒見の良さ。そして、ジュニア時代からコンサートの構成を手掛け続けてきた松本や、デビュー直前に事務所を辞めてアメリカで映画製作を学ぼうとしていた二宮、同じくアイドルではなく絵の仕事に転向しようとしていた大野。5人のメンバーそれぞれが持つ、異なる職人的視点。それぞれ全く異なるバックグラウンドを持つ5人は、何よりも「嵐」という居場所を大切にしてきた。


 『ARASHI SUMMER 2002HERE WE GO!』では、朝まで「今後の嵐をどうするか」「自分をどうするか」「嵐らしさ」について話し合ったという。そうして話し合っていること自体が「十分、嵐らしいと思った」という二宮の言葉に、こちらまで頬が緩んでしまった。嵐という集合体を愛し、引き立て、やがて国民的アイドルグループとなった彼らの姿勢がニッポン全体に広がっていったのではないだろうか。


 みんなで手を取り合って取り組む「愛情深さ」、「真面目さ」、「堅実さ」……嵐を通じて思い浮かぶキーワードが、どれも私たちの理想とする「ニッポン」に通じているような気がする。同時に、そんな彼らの真摯な歩みは、こうしてじっくりと振り返ることができる書籍という形式との相性もいいように思うのだ。そう、まるで愛しいアルバムを紐解くかのように。


 日々、形を変えつつあるニッポン。その誇りのひとつとして、再び嵐が揃って活動する姿も待ち望まれている。再始動された暁には、ぜひまた令和の『ニッポンの嵐』が実現してほしい。嵐の良さ、そしてニッポンの良さを、彼らと共に味わう。そんな未来が待っていることを願わずにはいられない。



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