東京国際映画祭開幕、今年初上映は藤原季節、アマプラテイクワン賞受賞金監督長編デビュー作

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2024年10月28日 14:20  日刊スポーツ

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東京国際映画祭Nippon Cinema Now部門に出品された「あるいは、ユートピア」ワールドプレミア上映に登壇した、左から行定勲監督、金允洙監督、藤原季節、渡辺真起子(撮影・村上幸将)

東京国際映画祭が28日、開幕した。同日、TOHOシネマズシャンテで、本年度の最初の先品として、Nippon Cinema Now部門に出品された「あるいは、ユートピア」(金允洙監督)が、ワールドプレミア上映された。


「あるいは、ユートピア」は、21年の第34回東京国際映画祭で、第1回のAmazon Prim Videoテイクワン賞を「日曜日、凪」で受賞した、金允洙監督(キム・ユンス=38)の長編デビュー作。同監督は受賞で、賞金100万円とAmazonスタジオでの長編映画製作を模索する機会が提供されており、3年越しで実現した。


この日は、主演の藤原季節(31)と、第1回のAmazon Prim Videoテイクワン賞で審査員を務め、出演もした渡辺真起子(56)が登壇した。渡辺は「そんな結果になると思わず、審査していた。その時の金君のたたずまい、作品に力があり、この先の未来につながって欲しいと投票した。審査に関わった者としても、とてもうれしく思っております。私は俳優として役に立てたかなと思い、立っております」と感慨を口にした。


Amazon Prim Videoテイクワン賞は23年をもって終了したが、審査委員長を3年、務めた行定勲監督(56)も登壇。「おめでとうございます。映画は完成しないことがあるので…うれしいです」と金監督を祝福した。その上で「素晴らしい廃油を拝した群像劇を気負うことなく見せてくれたことに感動しております。配信の意識はあると思うが引き画にこだわりがある。(劇中に)『風の谷のナウシカのオウムみたいな』というせりふで借景した部分が印象的。僕らの時代なら、もっと狂っていく方向に行くが、そうじゃない。裏切られたと思うし、今の若手監督が作る着地点だと感動しました」と評価した。


物語は、大量発生した謎の巨大生物によってホテルに残された12人が、非暴力&不干渉を合言葉に助け合いながら平穏に暮らしている中、1人が遺体となって発見される。藤原は「現代的で、面白い。規律を作り、聖域のような場所ができていくのが面白かった」と作品を評した。物語には虫が出てくるため「虫に慣れないといけないので、ホテルに持ち帰った。電気を消すと、カサカサいうので、ウワーッと」と撮影を振り返り、笑った。


撮影中のエピソードを聞かれると、藤原は「ホテルにカンヅメの撮影だったので、原日出子さんが手料理を毎日、作ってくれた。時々、真起子さんも作ってくれた」と、共演の原日出子(64)に感謝した。「感謝したら『役作りだから』と言われ、格好いいと思った」と、共演陣への心遣いを役作りと言い切る、原のスタンスに受けた感銘を口にした。


藤原は舞台あいさつの最後に「個人的な話になりますが、今作が映画の撮影は2年ぶり。企画がつぶれたので、俺、ダメなのかなと思ったら…お話が来た。感謝しています」と映画への愛を口にした。

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