【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。
ピックアップするのは、M.ナイト・シャマラン監督の最新作『トラップ』(2024年10月25日公開)です。サスペンススリラー映画にこだわってきたシャマラン監督。さて、最新作はどんなサスペンスでドキドキハラハラさせてくれるのかな〜と、公開初日に劇場へ観に行きました! いつもと少し違うシャマラン映画でしたよ。では物語から。
【物語】
愛する娘ライリー(アリエル・ドノヒューさん)のために人気アーティストのレディ・レイブン(サレカ・シャマランさん)のライブチケットを手に入れたクーパー(ジョシュ・ハートネットさん)。
親子で仲良くライブ会場へ行きますが、クーパーは警備の厳重さ警察官の多さが気になり「何かあったのか」とグッズ売り場のスタッフに聞くと、ライブ会場に猟奇的殺人鬼がいるため、閉じ込めて捕まえようとしている!と聞きます。
驚愕するクーパー。なぜならその殺人鬼はクーパー自身だったからです!
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【捕まるか逃れるかのサスペンスが…あれ?】
M.ナイト・シャマラン監督といえば大ヒット作『シックス・センス』(2000年)に代表されるようにオカルトや超常現象など奇想天外な設定が毎回楽しみ。なのですが、本作は “猟奇的殺人鬼が警察に包囲されたライブ会場から抜け出せるか…” という、正統派のサスペンス映画の設定。
「ドキドキハラハラ必至!」と思ってワクワクして見たのですが、ちょっと期待と違っていたんです。
映画は早々に警察が追っている殺人鬼は主人公のクーパーであることを明らかにし、クーパーも自分が包囲されていることを知ります。しかし、娘にとってはいいパパなので警察に追われる殺人鬼であることを娘に知られないようにライブ会場から脱出する道を探るわけです。
そんなクーパーの行動と並行してレディ・レイブンのライブが映し出されるんですが、このライブが長いんですよ〜。
【警察がポンコツ過ぎてびっくり】
ライブが盛り上がっていく臨場感は体感できますが、クーパーのあの手この手の作戦にライブを挟むからハラハラドキドキがブチっと切られてしまうような印象がありました。
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クーパーはグッズ販売のスタッフから情報を得たり、会場のどこから脱出するかアンテナを張り巡らせているのですが……。また警察も仕事できなさすぎ!クーパーを自由に動かせすぎ!
ところが後半、サスペンスの舞台はライブ会場から移動し、なんと歌手のレディ・レイブンが大活躍するんですよ!
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【クーパー VS レディ・レイブン!という意外な展開】
ライブ会場で娘のライリーはファン代表として選ばれ、ステージに上がります。その後、楽屋に呼ばれ、お土産をもらったりして……と、ハッピーなことが起こる中、クーパーはレイブンを利用して会場から脱出しようと画策するんです。
ネタバレになるのでここからは劇場で見ていただきたいのですが、レイブンは正義感が強く機転が効く女の子で、後半に展開していく彼女とクーパーのバトルは、話がどう転ぶか予測がつかず、なかなか面白かったです。
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とはいえ、最後まで鑑賞して思ったのは「シャマラン監督のわりに普通のサスペンスだったな…」と。主人公も猟奇的殺人鬼という設定のわりに狂気があまり感じられず……。もっとひねりが欲しかったなあ〜という気持ちです。
ちなみにレディ・レイブンを演じたサレカ・シャマランさんはシャマラン監督の娘さん。もう1人の娘、イシャナ・ナイト・シャマランさんはスリラー映画『ザ・ウォッチャーズ』(2024年)で監督デビューをしているし、シャマランファミリーすごいんです!ふたりがお父さんを超える日が来るかもしれませんね!
執筆:斎藤 香(C)Pouch
Photo:(c)2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED
『トラップ』
2024年10月25日(金)より全国ロードショー
監督・脚本:M.ナイト・シャマラン
出演:ジョシュ・ハートネット、アリエル・ドノヒュー、サレカ・シャマラン、ヘイリー・ミルズ、アリソン・ピル