トヨタ・ガズー・レーシングの8号車トヨタGR010ハイブリッドを駆り、予選でポールポジションを獲得したブレンドン・ハートレーは、トヨタが最前列を独占したにもかかわらず、直近7連勝中のバーレーン8時間の決勝レースではポルシェがレースペースの点で優位に立つ可能性があると考えている。
■最前列独占のトヨタ陣営「レースが楽勝になるとは思っていない」
ハートレーは、金曜日の夜にハイパーポールでチームメイトのニック・デ・フリースをリードし、マニュファクチャラー選手権をめぐる戦いでポルシェを追い抜くチャンスを高めた。
しかし彼は、木曜と金曜に行われた3回のフリープラクティス(FP)の結果から見るに、ポルシェのロングランペースが強力であると懸念していると語る。
「タイヤのデグラデーションには自信を持ってここに来たのだが、正直なところ、FPではポルシェがかなり速く見えた」
「彼らの正確なランプログラムは分からないが、1年前と比べて彼らが進歩したことは現れていた。彼らはあらゆる分野で確実に進歩している」
「とくに我々は、タイヤへのダメージが比較的強いトラックであるサンパウロでの優位性がここでも通用するかもしれないと考えていた。しかし、フリープラクティスの後では、あまり確信が持てていないのが現状だ」
トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパのテクニカルディレクターであるデイビッド・フルーリーも、ハートレーと同様の意見を述べ、マニュファクチャラー選手権でポルシェに9ポイント差をつけられている現状を覆すには「まだ長い道のりがある」と主張している。
「前回の富士では、予選で順調に見えたものの決勝は難しかったので、今回も自分たちがすでにチャンピオンに近づいているとは思えない」
「各チームの力関係をフリープラクティスから読み取るのは難しいが、レースペースの点では(ポルシェは)強いと思う。レースが楽勝になるとは思っていない」
一方、選手権をリードしているポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、予選を担当したケビン・エストーレ(6号車ポルシェ963)とマット・キャンベル(5号車ポルシェ963)が6番手と7番手を確保。6号車のエストーレ、アンドレ・ロッテラー、ローレンス・ファントールの3名は、決勝を9位以内でフィニッシュすれば、現在リードしているドライバーズタイトルが確定する状況だ。
ハートレーのコメントがキャンベルに伝えられると、ポルシェがレースでトヨタより優位に立つのではないかという予想を軽視した。
「それは少し大胆な推測だと思う」とSportscar365に語る。
「その唯一の理由は、FPでは各チームが実際に何をしているのかを判断するのが非常に難しいからだ。タイヤには多数のヒートサイクルがあり、他の要素にもいろいろなパターンが想定できてしまう」
「ただ、FPでは確かに競争力があったと思う。それは明らかなことだが、本当に1スティントの後半を走ってみるまでは、誰が本当にレースペースでリードしているのかは誰にもわからないと思う」
「このサーキットがタイヤの劣化について、どのチームにとっても厳しい状況であることは確かだ。明日のレースもFPと同じように厳しいものになると思う」
■「トヨタはもはや何だってできるはず」と爪隠しを疑うフェラーリ陣営
タイトルを競う最期の一角であるフェラーリAFコルセは、ハイパーポールで51号車フェラーリ499Pのアントニオ・ジョビナッツィがハートレーより0.366秒差のベストラップをマークし、トヨタにもっとも近い3番手を確保した。
さらに、アントニオ・フォコが乗り込んだ僚友50号車フェラーリも、ニール・ジャニの99号車ポルシェ963(プロトン・コンペティション)に次ぐ5番手につけている。
トヨタとポルシェの間に割って入る位置からスタートするフォコは、トヨタが予選アタックで優位に立ったことには驚かなかったと語り、それがレースにも反映されるだろうと読んでいる。
「正直言って、トヨタの速さにはあまり驚かなかったよ。FPで彼らが本当に強いことはすでに分かっていた」
「昨年も彼らはここで週末を通して本当に強かったので、それほど驚きはなかった。我々も昨年と比べて改善できていると思う。少なくとも、予選での差を埋めることはできたようだ」
「ただ、レースペースを見ると、決勝の戦いは本当に厳しいものになると思う。トヨタだけでなく、ポルシェも強力なペースを持っているだろう」
最後に、レースペースではポルシェが優位だろうというハートレーの意見に対し、フォコは次のように答えた。
「トヨタはもはや何だってできるはずだ。ポルシェだけが優位に立つようなことはないだろう」
「双方が本当に良いペースを持っているはずだし、さらにそれを高度にマネジメントしながら戦っていくことになるだろう」