フェラーリのグローバル・エンデュランス部門の責任者であるアントネッロ・コレッタは、今週末のFIA世界耐久選手権のシーズン最終戦バーレーン後、83号車フェラーリ499P(AFコルセ)のクルーであるロバート・シュワルツマンがラインアップから離脱することを確認した。
予選の行われた金曜日、コレッタは記者団に対してシュワルツマンは2025年にAFコルセの83号車フェラーリのラインナップに加わることはなくなり、プレマ・レーシングとのNTTインディカー・シリーズへの参戦という新たなチャンスを追求することになると語った。
シュワルツマンのインディカー移籍の可能性は数カ月前から噂されていたが、コレッタはシュワルツマンが今後フェラーリと正式な関係を持たないことも明らかにした。
25歳の彼は、2017年後半からフェラーリのドライバーとして活躍しており、当初はFIA F3やFIA F2などのフォーミュラカテゴリーでジュニアドライバーとして、その後2022年からはフォーミュラ1でスクーデリア・フェラーリのテストおよびリザーブメンバーとして活躍している。
「彼は別の選択をすることに決めたが、彼に最大限の敬意を払っている」とコレッタは語った。
このニュースは、先週末のフェラーリ・フィナーリ・モンディアーリ(F80を発表したレースシーズン最終イベント)で、来年ファクトリー・エントリーする2台の499Pのドライバーに変更はない、とコレッタが述べたことに続くものである。
Sportscar365から、フェラーリは来シーズン、シュワルツマンか同じくチームメイトのイーフェイ・イェのどちらかをファクトリーシートに昇格させることを検討したかと尋ねられたコレッタは、次のように答えた。
「我々の目標は、非常に安定した3台の車を用意することであり、率直に言って、我々は50号車と51号車のドライバーに非常に満足している」
「それに加え、83号車に優秀なドライバーがいることも重要だ。必要であれば調整を加えるが、現時点では近い組み合わせを維持することに満足している」
イェは、来年も新加入のフィル・ハンソンとともに83号車のクルーとしてチームに残る予定と見られるが、ロバート・クビサが2025年に残るかどうかは不明だ。
コレッタは、ポーランド人ドライバーが今年初めにイタリアのチームとの関係を延長するか否かということに懸念を示していたが、クビサが最終的にAFコルセに残ることを選択することを期待していると述べた。
「我々はロバート(・クビサ)が83号車のラインアップに残ってくれることを願っている」
「今週末、フェラーリとロバートは最終ミーティングを行う予定だ。我々は、彼の積み上げてきた経験と価値を知っている。彼が残ってくれることは、すべてのプロジェクトにとって価値があると信じている」
■ロベラとワドゥは2025年もGT3継続か
コレッタは、フェラーリのファクトリーチームに所属する他のふたりのドライバー、LMGT3クラスの55号車フェラーリ296 LMGT3に乗るアレッシオ・ロベラと、日本のスーパーGT GT300クラスで45号車PONOS FERRARI 296に乗っているリル・ワドゥの将来についても語った。
このふたりはともにハイパーカーの499Pをテストしたことがある。なかでもロベラは今年、同ブランドのハイパーカーのリザーブを務め、来年は83号車のシートを手にする候補ではないかと考えられていたが、コレッタはロベラのGTドライバーとしての価値も強調した。
「アレッシオはおそらくGTでもっとも安定したドライバーのひとりだ」
「彼はLMHのリザーブであり、2023年開始前にはすべてのテストに参加していたが、GTプログラムの競争力を維持する役割も担うことになるだろう」
「しかし将来的には、ハイパーカーのラインアップに加わる可能性もあるだろう。彼はLMP2でも走っており、彼がプロトタイプでのスピードを維持することも私たちにとって重要だ。将来的には彼もハイパーカーに乗るひとりとして検討することになる」
一方のワドゥは、昨年バーレーンでのシーズン後ルーキーテストでフェラーリ499Pをテストし、今年はPONOSレーシングが運営する296 GT3でSUPER GTのプログラムに、AFコルセが運営するLMP2車でIMSAに時間を割いている。彼女の2025年の計画について、コレッタは次のように語った。
「彼女はGTに残るだろう。日本での経験はリル(・ワドゥ)にとって非常に良いものになっている。スポーツランドSUGOでは、彼女は何周もトップをキープする走りを見せ、最終的には2位でフィニッシュした」
「そのため、彼女の成長には非常に満足している。確かにリルのためには多くのプランがあるが、ほかのドライバーとの兼ね合いもあるため、まだ未確定な状況だ」
「GT3プログラムは、大体11月下旬または12月上旬に決定するため、世界中のすべてのプログラムに関する完全なビジョンを持つことはまだ困難なのだ」
「しかしリルには、一貫した価値をもたらす最高のプログラムを提供したい。彼女は才能豊かなので、なるべく良いクルマに乗せたいと考えているよ」