11月3日、スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションの坂東正明代表は、栃木県のモビリティリゾートもてぎで行われた決勝日のGTA定例記者会見に先立ち、2025年からインターコンチネンタルGTチャレンジ(IGTC)の一戦として復活する鈴鹿1000kmに、GT300クラスに参戦するGT3規定車両の参加を認めることでSROモータースポーツ・グループと合意したと発表した。
真夏の耐久レースとして、長い歴史をもつ鈴鹿1000kmは、2006〜2017年はスーパーGTの一戦として開催され、2018〜2019年はIGTCの一戦として、鈴鹿10時間にかたちを変えて開催されてきた。2020〜21年はコロナ禍の影響で開催できなかったものの、2025年からふたたびIGTCの一戦として復活し、9月12〜14日に開催されることになった。
そんな一戦はGTワールドチャレンジ・アジア参戦チームの参戦が推奨され、併催となるジャパンカップの参戦チームもエントリーが可能だが、さらにGT300チームへの門戸がひらかれることになった。スーパーGT第8戦もてぎの決勝日に行われたGTA定例記者会見のなかで、坂東代表はバレンシアで行われたFIAモータースポーツ・ゲームスの会場で、SROのファウンダー兼CEOのステファン・ラテルと会談し、GT300車両の参加を認めることで合意したと発表した。ただ2025年については、今後のレギュレーション次第となるが、GT3規定の車両のみとなりそうだ。
スーパーGT GT300クラスに参戦する車両は、GT3規定車両であってもスーパー耐久など他のGT3を使うシリーズに参戦することができないが、スーパーGTとして2025年の鈴鹿1000kmではこれを認める。ただレギュレーションについてはSROルールのなかで戦うことになる。タイヤもスーパーGTで使用しているマルチメイクのものではなく、SROが指定するタイヤを使う。
この合意について坂東代表は、「チームからも出たいという要望があった」と語った。過去に鈴鹿10時間として開催されていたときも多くのGT300チームが出場し、海外の強豪と戦ったことがあったが、この光景がふたたび観られることになりそうだ。
さらに坂東代表は、2025年のGT300車両の参加が「2026年に向けた布石として受け取ってもらえれば」と語った。2025年はあくまでIGTCにチームが加わることになるが、2026年に向けレギュレーションを調整し、GTA-GT300規定車両を含めたGT300チームと海外チーム、GTWCアジア参戦チームが戦う一戦が、スーパーGTのシリーズのひとつとして生まれる可能性が出てきた。
「スーパーGTのシリーズのひとつとしてGT300のポイントを与えるのであれば、それまでに検討し、その方向で進もうかという話をステファン(ラテル)としている」と坂東代表は語った。過去には2013年のアジアン・ル・マン富士に参加したGT300車両に、スーパーGTのポイントがついたこともある。
今後、2027年に向けて新たなGT3カーの誕生も少しずつ噂されており、「ヨーロッパのマニュファクチャラーと、GT3規定をコントロールするSROと、どういうかたちでレースづくりをしていくかを密にコミュニケーションをとっていきたい」と坂東代表は語った。
「GTワールドチャレンジ・アジアとのコミュニケーションの取り方、GT3、さらにGTA-GT300規定、タイヤメーカーの違いをどう入れていくかの会話の窓口を、2026年に向けひとつの方向に進んでいることを示すために、2025年のIGTCにGT300車両の参加を認めていく」
同じGT3車両を使い、スーパーGTでも戦う鈴鹿を走るといえど、ワンメイクタイヤを使うことでセットアップやドライビングも変化してくる。2020〜21年の参戦では苦戦する日本チームも多く見られたが、その教訓も活かされるはずだ。また通常とは異なるドライバーがGT300チームに加わる可能性もファンにとっては楽しみなところだろう。
まだ具体的な参戦チームは明らかにされていないが、2025年の鈴鹿1000kmに向けた楽しみが大きく増す発表と言える。