世界中にファンが多い日本のアニメだが、現在、インドでもっとも人気が高い作品と言えば『おぼっちゃまくん』だ。漫画家の小林よしのりによって「コロコロコミック」で連載されたギャグ漫画の傑作であり、日本でもアニメ化されてヒットしたが、これがインド版に翻訳されて現地で大ウケしている。
なんと、インドオリジナルの作品が製作されるまでに至っており、2025年春にはインド全土で放送開始という。日本では漫画の連載が1986年から、アニメの放送が1989年〜1992年に行われた。このたび、テレビ朝日とソニー・ピクチャーズ・ネットワークス・インディア(SPNI)の日印共同で制作されるインド版は、実に約32年ぶりの新作となる。
小林は10月30日までにブログを更新し、インド版『おぼっちゃまくん』の感想を述べているが、そのクオリティは「着色されたインド版『おぼっちゃまくん』のアニメが3本、送られて来た。やっぱりアニメになると、可愛いし、絵が綺麗だし、見やすくて最高だ」と高く評価している。
しかも、3本のうち「応援団に入部ぶぁい」に関しては「茶魔の女装姿・茶魔美がすっごく可愛い! 表情がよく描けているし、ヘリコプターからロープで吊られて動く茶魔や、鼻ホジホジしている茶魔、扇子を両手に猫を応援する茶魔、団旗を振って凶暴な顔をして応援する茶魔などなど、どれも面白く笑える絵になっている」と、絶賛している。
インド版で誰しもが気になってしまうのが、主人公・御坊茶魔の定番ギャグ“茶魔語”である。「そんなバナナ」や「おはヨーグルト」などのギャグは当時、日本の子どもたちの間で大人気で社会現象になった。それは日本語特有の言葉遊びといえるが、小林はブログの中で、茶魔語をどう翻訳しているのかと不思議がっている。確かに、どんな表現をしているのかは気になるところだ。
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日経MJの11月4日に掲載された小林よしのり氏のインタビューによると、「ともだちんこ」は使わず、代わりに「フレンドリッチ」としたと語るなど、現代の感覚と世界を意識したマイナーチェンジは行われているようだ。
大手出版社の編集者は、「『おぼっちゃまくん』は、とにかくキャラクターの絵のインパクトが抜群。純粋に絵を見るだけで笑える」と話し、「海外でウケる日本のアニメといえば、いわゆる少年漫画原作の作品や、バトルもの、萌え系など中心だが、ギャグアニメがこれほどの規模でヒットしたケースは稀だと思います」と分析する。
日本のギャグ漫画原作のアニメを海外に輸出する際、言語の壁がたびたび問題になっていた。日本語に近いニュアンスで翻訳するのが難しく、日本と同じように海外の人々に受けるかどうかは未知数であったためである。そんななかで、『おぼっちゃまくん』がヒットしたのは極めて大きな意義をもつ。今後、日本のギャグアニメの輸出が加速する可能性もありえそうだ。
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