クリスマスのテーブルを楽しくする「シュトレン」2024年は進化形に注目!
11月になるとパン屋さんの店頭に並び始めるドイツ発祥の発酵菓子「シュトレン」。ナッツやフルーツがたっぷり入って、コーヒーや紅茶だけでなくお酒にも合い、日持ちもするので手土産や贈り物に適しています。本来はクリスマスを待ちながら少しずつ食べるお菓子ですが、パーティーなど人が集まる機会に一気に楽しむのもいいでしょう。毎年、店ごとにさまざまな趣向を凝らしたシュトレンが登場します。
クラシックタイプは中心にマジパンを包みますが、最近ではマジパンと生地を一体化させているものもあれば、特別な何かを仕込んでいるシュトレンもあります。ベースとなる小麦粉やフルーツの漬け込みに使うお酒やスパイスはもちろんのこと、外側の粉糖までも、つくり手によってまったく異なるのがおもしろいところです。
All Aboutパンガイドでもある筆者がレポートする「2024年最新版シュトレン」速報、今年は新感覚のシュトレンを中心にご紹介します。
マンダリン オリエンタル 東京の「チョコレートシュトレン」
パネットーネにパンドーロにとフェスティブシーズンを彩る伝統の発酵菓子が毎年大人気の「マンダリン オリエンタル 東京」。もちろん、シュトレンにもヘッドベーカーの中村友彦シェフのセンスが光っています。
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オリジナルにブレンドしたウィンタースパイス(クローブ、シナモン、カルダモン、メース)の挽きたてを用いた定番の「シュトレン」(税込3780円)もおすすめです。
■ザ マンダリン オリエンタル グルメショップ
住所:東京都中央区日本橋室町2-1-1
電話:0120-806-823
営業時間:11:00〜19:00
販売:店頭のみ、2024年11月1日から12月25日まで
365日の「シュトレン」
素材の鮮度とクオリティにとことんこだわる「365日」。オーナーシェフの杉窪章匡さんの今年の新作シュトレンは、無農薬、天日干しなど、選りすぐりのドライフルーツやナッツ(ブラックレーズン、グリーンレーズン、白イチジク、クランベリー、ピスタチオ)の味わいを活かすため、洋酒に漬け込まずに使っているのが特徴です。
クランベリーも果汁をそのまま残した砂糖無添加のもの。お酒はブランデーV.S.O.Pを自家製のパートダマンドクリュ(フランス菓子に使う生のマジパン)に忍ばせて用いています。
生地は国産小麦「ゆめちから」と「ミナミノカオリ」。キャラメル、レモンジュース、蜂蜜で生地の苦味と甘味と酸味を調整し、スパイスは潔くシナモンのみで素材のおいしさを最大限に引き出し、まとめ上げています。
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■365日
住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-2-8
電話: 03-6804-7357
営業時間:7:00〜19:00
販売:2024年11月1日から12月31日まで。「365日と日本橋」(日本橋高島屋S.C.)、「365日とCOFFEE」(玉川高島屋)でも販売
GARDEN HOUSE CRAFTSの「苺とローズヒップのシュトレン」
「GARDEN HOUSE CRAFTS」の今年のテーマは「ティーと果実のマリアージュ」。「キタノカオリ」をはじめとする3種類の国産小麦をブレンドした生地を、カンパーニュにも用いるルヴァン種ほか2種類の酵母種で発酵させています。
「苺とローズヒップのシュトレン」(税込3900円)は生地にドライストロベリー、フリーズドライの苺フレーク、自家製苺ジャムのほか、クランベリーとブルーベリーも入ってベリー感満載。ローズヒップティーは果実の漬け込みのほか、茶葉をそのまま練りこんでもいます。
ナッツはピスタチオとクルミ。アニス、有機シナモンをアクセントに、チャーミングな色合いのシュトレンになっています。
もう1種類の「ジャスミン香る洋梨のシュトレン」(税込3500円)はジャスミンティーと洋梨、マスカットレーズン、レモンピールをアルザスのブランデー「ポワールウィリアム」に漬け込み、ミルで挽いた茶葉が粉糖と一緒にシュトレンを包んでいます。
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住所:東京都渋谷区代官山13-1 LOGROAD DAIKANYAMA 5号棟
電話:03-6452-5200
営業時間:8:30〜18:00
販売:2024年11月16日から。新宿、みなとみらい、横浜、鎌倉ほか関東のGARDEN HOUSE各店およびKABEAT日本生産者食堂でも販売予定
シニフィアン シニフィエの「シュトーレン<シトラス>」
2023年、冷凍販売に特化するためのラボ移転に伴い実店舗を閉店した「シニフィアン シニフィエ」では、オンラインショップで引き続きパンが購入できます。2024年のシュトレンは2種類(常温発送予定)。
「シュトーレン<シトラス>」(税込5940円)は爽やかな3種類の柑橘ピール(オレンジ、レモン、グレープフルーツ)とクランベリー、そしてピスタチオが彩りよく練りこまれています。
生地は3種類の国産小麦とフランス産有機小麦。届いてから約10日間は外側のビスケットのようなホロホロとした食感が楽しめます。これはオーガニックシュガーを加えてホイップした発酵バターによるもの。表面を贅沢に包む和三盆が口の中でスッと溶けていくこともあわせて、ほかにない極上の食感を体験できます。
もう1種類の「シュトーレン<プレーン>」(税込5616円)は赤ワイン、グラッパ、カシスリキュールに漬け込まれたマカダミアナッツ、クルミ、アーモンド、チェリー、レーズンが生地に対し150%以上も入っていて、こちらもホリデーシーズンにふさわしい贅沢さです。
■シニフィアン シニフィエ
販売:オンラインショップにて。出荷は2024年11月20日〜12月20日
Et Nunc Daikanyamaの「シュトーレン」
2024年4月に代官山にオープンしたばかりの「Et Nunc Daikanyama」(エトヌンク代官山)は、株式会社パレスホテルの子会社が運営する街のパン屋さん。ホテルの支店としてではなく独立して国産の小麦粉の選定から焼成までを行うブーランジュリーブランドです。
そのEt Nunc Daikanyamaの「シュトーレン」(税込3240円)にはレーズン、イチジク、バナナなど約10種類のフルーツとナッツが入っているのですが、漬け込んでいるのが日本のクラフトコーラとキルシュというところがおもしろい。コーラの実を含むスパイスや柑橘がこのシュトレンの味わいを深めています。卵を使用していないのも特徴の一つです。
同時に販売されるのは「柚子とジャンドゥーヤのシュトーレン」(税込3340円)。ナッティーなチョコ感と柚子ピールの甘酸っぱさを味わえるこちらのシュトレンには烏龍茶の茶葉を練りこんだマジパンが包まれています。
■Et Nunc Daikanyama
住所:東京都渋谷区代官山町20-23-1 Forestgate Daikanyama 1階
電話:03-5422-3604
営業時間:9:30〜18:30
販売:2024年11月9日から12月25日まで。店頭または電話にて予約可。売り切れ次第終了
東京マリオットホテルの「抹茶のシュトーレン」
小ぶりの楕円フォルムが特徴の「東京マリオットホテル」のシュトレンは、「オリジナル」「ダーク」「抹茶」の3種類が、大(税込3000円)と小(税込1600円)のそれぞれ2つのサイズで販売されています。
抹茶のグリーンの生地に大納言小豆、黒豆、栗の甘露煮などがゴロゴロと入った「抹茶 シュトーレン」は、和のテイストのシュトレン。スパイスが苦手でシュトレンを敬遠する方にも食べやすい、やさしい味わいです。
「オリジナルシュトーレン」は、「メーカーズマーク」のバーボンに漬け込んだレーズン、イチジク、オレンジ、そしてピーカンナッツ、クルミが練りこまれています。オリジナルブレンドのスパイス入りの定番品です。
これをビターショコラテイストにアレンジしたのが「ダーク シュトーレン」。こちらはブランデーとラム酒に漬け込んだマロン、イチジク、カカオニブ入りのココア生地です。
■東京マリオットホテル
住所:東京都品川区北品川4-7-36 東京マリオットホテル Pastry & Bakery GGCo.
電話:03-5488-3929
営業時間:10:00〜20:00
販売:2024年11月1日から12月25日まで。予約受付中
清水 美穂子プロフィール
2001年よりパンに特化した取材執筆活動を開始。注目のベーカリーやつくり手について、Web、TV・ラジオ、新聞・雑誌等のメディアや書籍で発信中。企画監修、講師、各種審査員なども行う。All Aboutパンガイド。(文:清水 美穂子(ブレッドジャーナリスト))