2025年シーズン中の“ジョーカー”投入は禁止の方向か。ザウバーの風洞改修も事態を複雑に

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2024年11月06日 13:10  AUTOSPORT web

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2024年WEC第8戦バーレーンのスタートシーン
 2025年のWEC世界耐久選手権では、ハイパーカークラスの車両における“Evoジョーカー”と呼ばれるアップデートは、2025年のシーズン中には禁止される可能性が高そうだ。

 このルールが確認されれば、ハイパーカークラスに参戦するマニュファクチャラーは、2月にカタールで行われる第1戦にアップデートを導入するか、さもなければ2024シーズンとまったく同じ仕様のマシンで1年間を戦うことになる。

 2024年シーズン中にEvoジョーカーを使用、または検討した例は複数あるが、もっとも顕著だったのは4月の第2戦イモララウンドから“リヤウイング付き仕様”を導入したプジョー9X8だった。

 また、フェラーリも7月の第5戦というシーズン中盤のタイミングで499Pにアップデートを導入。一方ポルシェは割り当てられた5つのトークンのうちひとつを使用して963のクランクシャフトをアップデートすることを検討していたが、最終的にこれは実行されなかった。

 複数のパドック関係者は、シーズン中のアップデートを禁止する規則が2025年に導入されることはほぼ確実だと示唆しているが、Sportscar365がコンタクトしたFIAの広報担当者は、最終決定は下されていないと述べた。

 プジョー・スポールのテクニカルディレクター、オリビエ・ジャンソニーも、先週末のバーレーンでのシーズン最終戦を前に記者団に対し、この問題は解決していないと述べている。

 シーズン中のEvoジョーカーが禁止されることを予期しているかとの質問に対し、「これは、我々にとっても、現在のところあまり明確ではない」とジャンソニーは答えた。

「実際に何が許可されるかについては、今後数週間で決定が下される予定であり、我々はACO(フランス西部自動車クラブ)およびFIA(国際自動車連盟)と協議する。我々の(アップグレードに関する)計画はそれ次第だ」

 ジャンソニーは以前、プジョーは今シーズンの失望を受け、9X8をさらに進化させて2025年を迎える可能性があると述べていたが、フランスのブランドはシーズン後のテストプログラムが終了するまで最終決定を下さない。

 一方、ポルシェはバーレーンの最終戦で、2025年の開幕に5つの許可されたEvoジョーカーのうちふたつ目を使用する予定であることを明らかにした。

 フェラーリは499Pにこれ以上の変更を加えずに新シーズンに臨むと述べ、トヨタはGR010ハイブリッドのアップグレード計画を明らかにすることを拒否したが、これまで同車のホモロゲーション期間中に少なくともひとつのジョーカーを使用したことは知られている。

 シーズン中のEvoジョーカーを禁止するというアイデアが浮上した理由のひとつは、プジョー9X8などの大幅なアップデートには新しい初期パラメーターを定めることが必要になるため、BoP(性能調整)プロセスを簡素化したいという願望であると理解されている。

 さらに状況を複雑にしているのは、FIAがWECにおけるル・マン・ハイパーカーとLMDh車両のホモロゲーションに使用してきたザウバーの風洞が現在改修工事のため使用できず、その再開の明確なスケジュールも決まっていないことだ。

 つまり、すべてのハイパーカーチームは、通常IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のホモロゲーションに使用されている、アメリカ・ノースカロライナ州のウィンドシア社の風洞を使用しなければならないのだ。

 6月のル・マン24時間レースを前に明らかにされた、現在のハイパーカーのホモロゲーション期間をさらに2年間延長して2029年までとする決定においては、参戦するマニュファクチャラーに対し2028年と2029年に使用可能なジョーカーが、さらにふたつ付与されることが確認されている。

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