アーサー・ルクレールは、バーレーンで行われたWEC世界耐久選手権のルーキーテストでフェラーリ499Pをドライブした1日を「特別」だったと表現した。
モナコ出身のドライバーで、フェラーリF1レーサーのシャルル・ルクレールの弟である彼は、11月3日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたテストにおいて、午後のセッション終了時に1分50秒460のベストタイムを記録。これは、午前・午後の2セッションを通じて、ルーキードライバーの最速タイムとなった。
ルクレールは現在、フェラーリF1の開発ドライバーを務めており、今年はLMP2チームのパニス・レーシングからのELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ出場というメインプログラムに加え、イタリアGT選手権でフェラーリ296 GT3を走らせてきた。
「いい1日だった」とルクレールは記者団に語った。
「まずはこのクルマに慣れることがカギだった。僕がこれまで慣れ親しんだクルマとはまったく違うからね。でも、かなりいい結果が出せたと思うし、チームも適切なサポートをしてくれた。かなりいい気分だった」
「ル・マン24時間レースで優勝したハイパーカーに乗ってここにいられるのは、特別な気分だ。それがフェラーリで、若い頃からの夢だったから、さらにいい気分だ」
ベストラップタイムについて、ルクレールはこう付け加えた。
「トラフィックに巻き込まれて、クリーンなラップを走るのがちょっと難しかったけど、フェラーリの素晴らしい仕事のおかげでこのクルマができたと思う。このクルマはデビューイヤーではないし、運転しているとそれが分かるんだ」
「プッシュする自信を与えてくれる良いクルマだから、それ(ポテンシャル)を引き出すだけだった」
ルクレールは、これまで慣れ親しんできたLMP2やシングルシーターのマシンと比較したハイパーカーの重量と、499Pの直線速度性能、そしてシミュレーターでの事前準備があまりできなかったことが相まって、目を見張るような体験になったと語った。
そんな状況にも関わらず、午前のセッションで50号車を準備してくれたニクラス・ニールセンと、同じくフェラーリF1シミュレーターのドライバーでルクレールの兄シャルルの親友でもあるアントニオ・フォコのアドバイスを受けることができ、最終的には好走できた。
「運転の仕方がまったく違う」とルクレールは説明した。
「ハイパーカーでは小さなミスが大きな代償になることがある。ブレーキングポイントを2メートル逃すと、10メートルもワイドになってしまうことがあるんだ! 少し重いし、代償が大きい。このクルマを運転するのはかなり難しいよ」
「この1日で、かなり進歩したと思う。1日で処理するには膨大な量の情報だ。すべてがまったく違ったけど、最後のセッションはマシンから最大限の力を引き出せるものだ。かなり良かった。自分の仕事に満足しているよ」
先月のフェラーリ・フィナーリ・モンディアーリで、同ブランドの耐久レース部門のグローバル責任者、アントネッロ・コレッタは、ルクレールが2025年にフェラーリのハイパーカー3台体制に加わる可能性はないと述べ、GTに集中し続ける可能性が高いと語っていた。
しかしながら、ルクレールは最終的に499PでWECに参戦したいという希望を改めてバーレーンで表明した。
「もちろん、いつかハイパーカーをドライブしたい。来年でも、2年後でも、3年後でも、いつでもいい」と彼は語った。
「ハイパーカーでレースをするのが僕の夢だ。ル・マン24時間レースで優勝したいし、幼い頃から夢見てきたチームであるフェラーリで優勝したい」
フェラーリの耐久レースカー部門責任者であるフェルディナンド・カニッツォは、ルクレールが最後の走行でニュータイヤを履いていなかったこと、そして「少なくとも15〜20周は使用していた」ミディアムタイヤを履いていたことを明らかにした。
しかしカニッツォは、ルクレールのパフォーマンスだけでなく、日曜日に初めてワークス499Pを運転したフェラーリファクトリーGTドライバーのトーマス・ノイバウアー、そして2025年にサテライトチームのAFコルセの83号車に乗ることが確定しているフィル・ハンソンにも、感銘を受けたと語った。
「今日はドライバー全員が良い仕事をした」とカニッツォ。
「彼らにとって、以前運転していたものとはかなり違うクルマに乗り込んで学ぶのは簡単ではなかった。ハンソンは(ポルシェ963という)ハイパーカーをすでに知っていたドライバーだったのでもっとも近い存在だったが、プラットフォームが異なっていたため、彼にとってはまだ新しい発見だった」
「ドライバーが変わるたびに違う視点が見えるので、我々にとっても興味深い一日だった。非常に興味深かったよ」