GAKU-MC、『ぼくとパパ、約束の週末』の父親に共感「特別な体験」明かす

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2024年11月06日 18:51  cinemacafe.net

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『ぼくとパパ、約束の週末』試写会&上映後トークイベント © 2023 WIEDEMANN & BERG FILM GMBH / SEVENPICTURES FILM GMBH
ドイツ映画『ぼくとパパ、約束の週末』の一般試写会と上映後トークが11月5日に行われ、音楽とともにサッカーにも情熱を注ぐミュージシャンのGAKU-MCと精神科医の山登敬之氏が登壇。上映後に映画について語り合った。

映画上映後、ステージに登壇したGAKU-MCは「とても楽しく拝見させていただきました」と笑顔。自閉症の息子の推しサッカーチーム選びに付き添うために、毎週末、サッカースタジアムに通うことになったパパの姿に、「主人公のお父さんが抱え持つ悩みに共感しました」と言う。

「お金を稼がないといけないですし、奥さんのフラストレーションも解きほぐさないといけない。子どもの前では立派な父でなくてはいけない、といったことで。日本とドイツでは距離があるかもしれないですけど、似たような気持ちになったことがたくさんありました」と語るなど、娘2人息子1人の3人の子の父親として共感するところも多かったという。

一方の山登医師は「これまで自閉症の人や家族を主人公にした映画というのは今までも何本かあって。有名なところでいうと(ダスティン・ホフマン、トム・クルーズ共演の1988年の映画)『レインマン』などがありましたが、子役が自閉症当事者を演じているのははじめて見ました」とコメント。

山登医師によると、自閉症という呼び方は「1943年に(アメリカの精神科医)カナーが提唱した“早期幼児自閉症”からはじまって、それから90年代には“広汎性発達障害”という名前になりました。それが(2013年に)変わって“自閉症スペクトラム障害”となりました。“広汎性発達障害”と呼ばれていたころは、アスペルガー症候群も、カナーが提唱した重度の自閉症も、それは別々に分けて、“広汎性発達障害”の中に入っていたんですけど、いまは自閉症のグループの中にまとまっています」という。

その上で二大特長として「ひとつは独特の強いこだわり、そしてもうひとつは人間の心の動きがうまく読めないために、対人関係や集団適応に苦労すること」だという。

本作での出張の多いジェイソンの父ミルコは、息子の世話を妻に任せっきりでしっかりと向き合ってこなかった。だが息子と一緒に週末の旅をする、という共通の体験を積み重ねていく中で、だんだんとジェイソンのことを理解していくようになる。

同じ父親の立場として、GAKU-MCも「僕も基本的には毎週末にライブがあったので、なかなか子どもたちと遊ぶこともできなかったんですが、去年、思い立って末っ子を連れてエジプトからスリランカまでの旅に出かけました。やはりずっと子どもと付き合っていると、妻が『たまにはあなたも面倒を見てよ』と言いたくなる気持ちも分かるなと思って。それは特別な体験でした」という。

映画を通して「こういうやり方を提示してくださったので。僕らも、もうちょっとポップに取り入れられたらいいですよね」と思いを語った。

GAKU-MCは2012年に、「Mr.Children」の桜井和寿といったサッカー仲間たちとともに、音楽とフットボールで人と人をつないでいく「MIFA」という団体を立ちあげたり、桜井と組んだユニット「ウカスカジー」でサッカー日本代表の応援ソング「勝利の笑みを 君と」を発表したりと、サッカーと音楽が人生そのものといった日々を送っている。

そのモチベーションについて尋ねられると「僕はミュージシャンになる前は、高校生までサッカー部に所属していて。サッカー選手になりたいという青春を送っていたんですけど、レギュラーになれなくて。自分の場所はここではないなとあきらめたんです。次に情熱を傾けられるものを探していたんですが、それが音楽であり、ラップであったわけです」とその経緯を説明。



そしてその後、音楽の世界で実績を積み重ねていったGAKU-MCの心に、ふたたびサッカーへの思いがわき上がった。「やはり当時好きだったサッカーをもう一度好きになりたいと思い、草サッカーをはじめました。そうすると、『Mr.Children』の桜井もそうですが、サッカーがいろんな人をつないでくれた」と語り、「いま、僕が付き合いのある連中は、みんなサッカーを通じて、一緒にボールを蹴っているような人たちが多い。音楽も簡単に人と人をつなげるということがありますが、サッカーも同じ側面があるので。サッカーと音楽を通して、皆さんをハッピーにするようなプロジェクトを推進していきたいなというのが僕の思いですね」と明かす。

そんなGAKU-MC自身、世界各国のサッカースタジアムに足を運んだことがあるという。「ドイツのスタジアムはすてきなんですよ。ドイツのスタジアムはほぼサッカー専用なので、客席のすぐそばで激しい試合が行われている。あのダイナミックな感じがドイツのサッカーの魅力かもしれないですね」と語った。

そして最後に山登医師がオススメするシーンについて「ジェイソンがバス停に座っているおばあさんに向かって、ここは僕のいすだというシーン」だという。

「日本だったら、お母さんが子どもを我慢させるか、相手にお願いします、と頭を下げるところでしょうが、このお母さんは『あなたにこの子の苦しみが分かるのか!』というわけです。そこで席をずれて譲ってくれたおばあちゃんにダンケシェン(ありがとう)というのもとてもクールでしたね」とコメント。

さらにGAKU-MCが「面白い映画を紹介していただき本当に良かったなと思います。自分の大好きな音楽とサッカーの、両方が詰まっているすてきな作品だと思うので。(本作のモデルとなったパパも)日本を舞台にしたパート2をつくりたいといってましたからね。その映画に日本のラッパーも入りこめるよう頑張りたいと思います」と意気込んでいた。

『ぼくとパパ、約束の週末』は11月15日(金)より新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほか全国にて公開。





(シネマカフェ編集部)

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