化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された冤罪(えんざい)事件を巡り、元顧問が死亡したのは勾留先の東京拘置所で適切な医療を受けられなかったためだとして、遺族が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(木納敏和裁判長)は6日、遺族側の控訴を棄却した。請求を棄却した1審・東京地裁判決(2024年3月)を支持した。
元顧問の相嶋静夫さん(享年72)は20年3月、軍事転用可能な装置を不正輸出したとして、社長らとともに外為法違反容疑で逮捕、起訴された。勾留中の20年10月に胃がんと判明し、外部の病院に入院したが、21年2月に亡くなった。
判決は、20年7月の血液検査で貧血の所見があった際、他の検査では異常がなかったと指摘。翌8月には胃痛を訴えたが、それ以外に体調不良の申し出はなく、医師は胃薬を処方したとし、拘置所の対応が医学的に不適切だとは認められないと判断した。
判決後、原告で相嶋さんの長男(51)は「残念な判決。同じような犠牲者が出ないよう拘置所は対応を改善してほしい」と話した。
【遠藤浩二】
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